(注)画像はイメージです。

海外市場の振り返り

10日の米国株式市場では主要3指数が揃って下落しました。S&P500指数は前日比0.94%安、指数を構成する全11業種中、エネルギーを除く10業種が下落しています。注目された3月のCPI(消費者物価指数)は、変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数が前月比+0.4%、前年比+3.8%と3ヶ月連続で事前の市場予想を上回りました。この結果、市場の利下げ観測は後退し、先物金利は利下げ開始は早くても9月、24年中の利下げ幅は0.42%ポイント程度と、年内中に2回の利下げを完全には織り込めていません。利下げ観測の後退から米国債市場では利回り曲線全域に渡って金利が大幅に上昇、これを受けてドル円は一時1ドル=153円24銭と、1990年以来の円安水準まで下落しました。

相場の注目点

153円台まで円安ドル高が進行したことから、当面の注目点は本邦金融当局による為替介入の有無です。152円目前まで円安が進行した3月27日、財務省と金融庁、日本銀行は3者会合を開催し、同水準を超える円安への警戒感を示しました。このため、市場では152~155円まで円安が進行すれば為替介入が講じられるとの見方が優勢です。植田日銀総裁は昨日、円安による輸入物価の上昇を通じて基調インフレの上振れリスクが高まれば「金融政策の変更も考える必要がある」との見解を示していることから、円安に歯止めがかからなければ日銀に対する市場の早期利上げ観測が高まることが予想されます。FRB(米連邦準備理事会)のパウエル議長は、CPIの上振れに対してもインフレ見通しに対する評価を維持してきました。次回のFOMC(米連邦公開市場委員会)までには3月PPI(生産者物価)とPCE(個人消費支出デフレーター)が発表されます。CPIを含めこれらのインフレ統計の結果を受けたFRB高官の見解が注目されます。 

(投資情報部 尾畑 秀一)

(注)データは日本時間2024年4月11日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。

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