※画像はイメージです。
訪日外国人客数は史上初の300万人超え
訪日外国人客数は、2024年3月に初めて月間で300万人の大台に乗せました。国別では、国際線定期便数が回復した韓国からの訪日客数が最も多くなっているほか、台湾や米国からの訪日客数はコロナ禍前を大きく上回っています。一方、中国からの訪日客数は、コロナ禍前の7割程度に留まっていますが、2023年8月に団体旅行が解禁されて以降、回復傾向にあります。政府は2025年までに訪日客数について、2019年の3,188万人を上回る目標を掲げていますが、現状のペースで進めば前倒しで達成できる見込みです(2024年1-5月で計1,464万人)。
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(注)データは月次で、直近の値は2024年5月。
(出所)JNTO(日本政府観光局)より野村證券投資情報部作成
インバウンド消費額は過去最高額を更新
観光庁が公表した「訪日外国人消費動向調査」によると、2024年1-3月期の訪日外国人旅行消費額は1兆7,505億円と四半期ベースで過去最高額を更新しました。訪日外国人1人当たりの旅行支出は20.9万円と、円安の追い風を受け、コロナ禍前に比べると6.2万円高くなっています。
(注1)数字の単位は万円。
(注2)費目別では、「その他」を除いている(2019年1-3月期は0.01万円、2024年1-3月期は0.009万円。
(出所)観光庁「訪日外国人消費動向調査」より野村證券投資情報部作成
インバウンド消費は「モノ」より「コト」が増加
訪日外国人1人当たりの消費額(2024年1-3月期)を費目別に分解すると、飲食費(2019年1-3月期比+40.0%)や宿泊費(同+57.3%)に加えて、娯楽等サービス費(同2.2倍)の伸びが顕著です。娯楽等サービス費の中では、テーマパークやスキー場リフトなどへの支出額が大きくなっています。また、買物代(同+17.4%)も増加していますが、上記項目に比べると増加率は限定的であることから、インバウンドの消費が買物を中心とする「モノ消費」よりも「コト消費(体験や経験)」を重視する傾向が強いことが分かります。足元、日本の文化やコンテンツを体験できるサービスを提供する飲食や宿泊施設などへの需要が高まっています。
ご参考:インバウンド関連銘柄の一例
- 寿スピリッツ(2222)
菓子の製造、販売大手で、主要国際空港において北海道の「ルタオ」など地域ブランド菓子を展開している。 - 三越伊勢丹HD(3099)
2022年10月外国顧客担当を新設し、インバウンドの開拓・関係強化を行っている。 - トリドールHD(3397)
うどん「丸亀製麺」をはじめ、焼鳥、天ぷら、ラーメンなど多様な業態を運営する。Webサイトの多言語化などインバウンドに向けた情報発信を行い、集客につなげている。 - FOOD & LIFE COMPANIES(3563)
回転寿司チェーン最大手「スシロー」を展開している。 - オリエンタルランド(4661)
入園者数世界有数の東京ディズニーランド、ディズニーシーを運営している。 - パン・パシフィック・インターナショナルHD(7532)
中核業態であるドン・キホーテでは、人気商品案内の多言語対応や、化粧品・食品・医薬品などの免税サービスなどインバウンドへの取組みを積極的に行っている。 - 東日本旅客鉄道(9020)
2022年12月より、海外在住の外国人向けにサブスクリプション型会員サービス「JAPAN RAIL CLUB」を開始した。参加型・交流型イベントを企画し、JR東日本エリアの東北や信越地方への訪問を促すことを目指している。 - 東海旅客鉄道(9022)
インバウンドに人気が高いエリアを対象とした(富士山・静岡エリアや高山・北陸エリアなど)周遊きっぷなどを販売している。 - 西武HD(9024)
鉄道事業に加えて、「プリンスホテル」など国内で50のホテルを運営している。 - 阪急阪神HD(9042)
京阪神を結ぶ鉄道事業を主軸に、商業施設やホテルの運営、阪神タイガースや宝塚歌劇などエンタテインメントの提供など幅広い事業を展開している。 - 日本航空(9201)
国際線を中心に能力増強を進めるなど、インバウンドの取り込みに力を入れている。 - ANAHD(9202)
国際線の規模拡大を進めている。傘下にLCC(低コスト航空会社)のピーチを保有する。 - 共立メンテナンス(9616)
1993年にホテル事業へ参入した。ビジネスホテルは17,107室、リゾートホテルは4,268室を有している(2024.3期末)。
(注)全てを網羅しているわけではない。HDはホールディングスの略。
(出所)各種資料より野村證券投資情報部作成
(野村證券投資情報部 澤田 麻希)