来週の注目点:月初の米国の重要統計、日銀短観、ECBの年次総会

市場では引き続き日米欧の金融政策に対する注目度が高い状況が続いています。FRB(米連邦準備理事会)は2024年中の利下げ見通し(中央値)を従来の3回相当から1回相当へ修正しました。市場の期待はFRB見通しよりも利下げ方向に傾いていますが、カナダや豪州、一部の新興国ではインフレ再燃の動きが見受けられ、予断を許さない状況です。米国の政策金利がより長期間にわたって据え置かれるとの見方が高まれば、長期金利上昇、株安、ドル高円安要因となる可能性が高いため注意が必要です。

米国では今週、月初の重要統計が発表されます。具体的には、7月1日(月)の6月ISM製造業景気指数、2日(火)の5月雇用動態調査(JOLTS)、3日(水)の6月ISMサービス業景気指数、5日(金)の6月雇用統計が挙げられます。ISM景気指数はヘッドラインもさることながら物価関連のサブインデックスにも注意が必要です。また、今後の金融政策を見極める点から3日(水)の6月FOMC議事要旨も市場の関心を集めることが予想されます。

日本では1日(月)に日銀短観(6月調査)が発表されます。同統計は大企業から中小企業の業況判断や設備、人員の過不足感から売上高、収益見通しまでを収めた網羅的な統計です。金融政策の観点からは、業況判断に加えて、25年の春闘に向けて企業業績や販売・仕入れ価格の動向などが注目を集めそうです。

欧州では1日(月)からECB(欧州中央銀行)の年次総会が開催されます。ラガルドECB総裁に加えて、パウエルFRB議長も出席します。足元では、各中銀ごとに政策姿勢が異なる、過去にはあまり例のない状況にあります。各中銀の政策姿勢だけではなく、この点に対する評価も注目したいと思います。

(野村證券投資情報部 尾畑 秀一)

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