(注)画像はイメージです。

海外市場の振り返り

14日の米国株式市場は主要3指数が揃って上昇しました。米7月CPI(消費者物価指数)は、前年同月比+2.9%と市場予想の同+3.0%を下回りました(前月は同+3.0%)。また、変動の大きい項目を除くコアCPIは同+3.2%と市場予想と一致しました(前月の同+3.3%から低下)。前月比では中古車価格が下落した一方で、家賃が上昇しました。CPIを受け9月17・18日のFOMC(米連邦公開市場委員会)での市場が織り込む利下げ幅は0.40%から0.35%に縮小しました。CPIが景気後退につながる急激な景気の悪化を示唆しなかった一方で、9月FOMCでの0.50%ポイントの利下げの見方がやや後退したため、金利に敏感なテクノロジー株の比率の高いナスダック総合の上昇は小幅となりました。

相場の注目点

米国株が最高値を更新するためのカタリストが注目されます。8月22~24日開催のジャクソンホール会議(カンザスシティ連銀主催の金融・経済シンポジウム)、9月FOMC、大統領選挙後の財政政策、企業業績などです。S&P500は、7月半ばの最高値後の急落から回復しましたが、回復幅は下落幅の61%に留まります。景気後退に対する懸念や7月の日銀会合での追加利上げの影響に対する不透明感、中東情勢などから、現状ではしばらく不安定な地合いが続くとみられています。FRBはコロナ禍後の高インフレに対応して利上げと量的金融引き締めを継続したため、利下げや量的引き締めの縮小といった金融政策のツールを使用する余地があります。ジャクソンホール会議で、金融市場の安定化への取り組みで各国の参加者が合意することが期待されます。米国では大統領選でどちらの政権になっても高水準の財政赤字を財源とする景気対策が継続される見通しですが、大統領選の結果が決まるまでは一部の企業の意思決定が先送りされるとみられます。

(投資情報部 竹綱 宏行)

(注)データは日本時間2024年8月15日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。

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