※画像はイメージです。
※2024年8月15日(木)引け後の情報に基づき作成しています。
急上昇の反動をこなしつつ、着実にフシを超えることができるか
今週の日経平均株価は、米国景気悪化に対する過度な懸念が後退し米国株高が進んだことから、大幅上昇となりました。
チャート面からこれまでの動きを振り返ってみましょう(図1)。日経平均株価は、8月5日に歴代1位の下落幅を記録し一時31,156円をつけましたが、各種テクニカル指標は軒並み極端な売られ過ぎの水準まで低下したことから、翌6日以降は自律反発に転じました。
その後、13日に8月2日~5日のマド埋め(35,880円)を完了し、15日には今年7月以降の下落幅の半値戻し(ザラバベース:36,791円)を達成しました。
この先、まずは200日移動平均線(8月15日:36,984円)を奪回できるか注目されます。奪回となれば、25日線(同:38,092円)や75日線(同:38,666円)、下落幅の2/3戻し(38,669円)等の水準がさらなる上値メドとして挙げられます。
この先の水準には日足チャート上のフシが多く待ち構えており、急上昇の反動をこなしつつ、着実にフシを超えることができるか注目されます。
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(注1))直近値は2024年8月15日。 (注2)日柄は両端を含む。(注3)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。
(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成
一方、当面の戻りが一巡し調整再開となる場合は、急落後の戻り局面で一旦上値を抑えられた35,000円前後の水準に向けて二番底を固めにいく展開が見込まれます。
今年8月安値にかけて歴史的下落を演じた株価ですが、2010年代から続く、超長期上昇トレンド自体は継続中だと考えられます。この先、しばらくは、振れ幅の大きい展開が続くとみられますが、徐々に落ち着きを取り戻していくと考えられます。
日経平均8月急落は、超長期上昇トレンド上の出来事
日経平均株価は、7月高値(42,224円)から8月安値(31,458円)にかけて急落し、わずか1ヶ月弱で1万円を超える下落となりました。その過程で、日足や週足チャート上のフシを次から次へと割り込み、これまでのトレンドが崩れる形となりました。しかし、これら崩れを含む今回の調整は、”超長期上昇トレンド上”での出来事だとみられます。
長期月足チャート(図2)をみれば、2010年代から強気シグナルが複数(P7図中:①~③)みられており、現在、超長期上昇トレンドを形成中だと考えられます。
これら超長期上昇トレンド内においては、これまで何度も大幅下落を経験してきましたが、コロナショック時(2020年3月安値)を除き、概ね5年移動平均線が下支えとなってきました。今回の急落も5年線(8月15日:28,523円)より上の価格帯での出来事であり、超長期上昇トレンドを否定するものではありません。
また、下落率の観点で見ても、今回の調整(下落率:25.5%)は超長期上昇トレンド内の過去3回の大幅調整時(P7:19.4~31.8%)のレンジ内に留まっています。
(注1)直近値は2024年8月15日。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。
(出所)日本経済新聞社データより野村證券投資情報部作成
今年8月安値形成後に大幅反発となっていますが、8月安値にかけての急落で一度壊れた日足や週足チャートの修復にはやや時間がかかる可能性もあります。
ただ、超長期上昇トレンドが維持されているのであれば、それら局面は長期視点の投資家にとってみれば、チャンスと捉えることができるのではないでしょうか。
(野村證券投資情報部 岩本 竜太郎)