保険が満期になり、いざ受け取る段階になって「税金を支払うの?」「申告はどうすればいいの?」など、分からないことばかり。満期保険金(または解約返戻金)を受け取った場合の税金について、大手町トラストの税理士に伺いました。

(注)画像はイメージです。

はじめに

生命保険契約の満期や解約により保険金を受け取った場合には、保険料の負担者、保険金受取人が誰であるかにより課税関係が異なります。今回は、満期保険金や解約返戻金(以下、満期保険金等)の課税関係について、ケース別にご説明します。

満期保険金等の受取に対する課税関係

満期保険金等を受け取った場合には、保険料負担者、保険金受取人が誰であるかにより、所得税(・住民税)、贈与税のいずれかの課税がなされます。下記表のとおり、保険料負担者と保険金等受取人が同じである場合には 所得税(・住民税)が、保険料負担者と保険金等受取人が異なる場合には 贈与税が、それぞれ保険金等受取人に対して課されます。また、満期保険金等を一時金で受け取るか、年金で受け取るかによっても課税関係が異なります。

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※1 解約返戻金の場合には、その受取人に対して課税されます。

ケース1 所得税(・住民税)が課税される場合

① 満期保険金等を一時金で受け取った場合
  ⇒ 一時所得が課されます。

<計算方法>{(満期保険金等−払込保険料)−50万円(※2)}× 1/2
※2 その年中の他の一時所得とあわせた上で、最高50万円の特別控除額を差し引いて確定申告を行います。

■一時所得の申告
所得税の確定申告は、毎年1月1日~12月31日に得た所得と、それに応じた所得税を計算し、翌年2月16日~3月15日に申告・納付する仕組みになっています。

<給与所得者の場合>
給与等の収入金額が2,000万円以下の給与所得者等については、その給与以外の所得金額が年間20万円を超えない場合には、確定申告をする必要がないこととされています。一時所得については、50万円を控除した残額に2分の1を乗じた金額によって所得金額を計算することとされており、他の一時所得とされる所得との合計額(50万円控除前の金額)が90万円を超えないのであれば、確定申告をする必要はありません。ただし、住民税の申告は必要となります。

なお、一時払い養老保険等で保険期間等が5年以下のもの、および保険期間等が5年超で5年以内に解約されたものは、「金融類似商品」として取り扱われるため、源泉分離課税※3 が適用され確定申告は不要です。

※3 「源泉分離課税制度」とは、他の所得と全く分離して、所得を支払う者(保険会社)がその所得の支払の際に一定の税率で所得税を源泉徴収し、それだけで所得税の納税が完結する課税方式です。満期保険金等を受け取る際に、税金分が差し引かれています。

② 満期保険金等を年金で受け取った場合
  ⇒ 雑所得(公的年金等以外)が課されます。

<計算方法>{受取年金額 - 必要経費額(※4)}
※4 その年中の受取年金額に対応する払込保険料または掛金の額を差し引きます。

なお、年金を受け取る際には、原則として所得税が源泉徴収されます。

ケース2 贈与税が課税される場合

① 満期保険金等を一時金で受け取った場合
  ⇒一時金に対して、贈与税が課されます。

② 満期保険金等を年金で受け取った場合
  ⇒年金受給権に対して、贈与税が課されます。

なお、毎年支払を受ける年金(公的年金等以外)に係る所得税については、年金の収入金額を非課税部分と課税部分(年金受給権に相当する部分とそれ以外の部分)に振り分けたうえで計算します(※5)。年金を受け取る際には、原則として所得税が源泉徴収されます(※6)。

※5 実際に贈与税の納税額が生じなかった場合も、上記の方法で計算します。
※6 平成25年1月1日以後に支払われる生命保険契約等に基づく年金のうち、その年金の支払いを受ける人と保険契約者とが異なる契約等で一定のものに基づく年金については、源泉徴収されません。

贈与税の申告
贈与税の申告と納税は、原則、財産をもらった人が、もらった年の翌年の2月1日から3月15日までに手続きすることになっています。贈与税の申告書の提出先は、原則、贈与を受けた人の住所を所轄する税務署になります。

「死亡保険金」について

被保険者の死亡により死亡保険金を受取った場合は、保険の契約形態により課される税金が、「相続税」「贈与税」「所得税(・住民税)」と、異なります。「死亡保険金」については、次回、掲載を予定しています。

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