来週の注目点:米国の雇用と景気指数、FRB高官発言、中国の景況感

8月23日のジャクソンホール会議でパウエルFRB(米連邦準備理事会)議長は「時が来た」とし、9月17日(火)~18日(水)に開催される9月FOMC(米連邦公開市場委員会)での利下げを示唆しました。他方、9月会合における利下げ幅やその後の政策スタンスに関しては経済データ次第という姿勢を維持しています。FRBは足元で雇用悪化への警戒感を強めており、インフレ動向よりも雇用統計などの景気動向を重視して政策判断にあたると考えられます。市場では9月会合での0.25%ポイントの利下げを見込む向きが大勢ですが、0.5%ポイントと予想する向きもあり、結果次第では株式や為替市場が大きく変動する要因になります。

米国の経済指標は、9月3日(火)に8月ISM製造業景気指数、4日(水)に地区連銀経済報告(ベージュブック)、5日(木)に8月ADP全米雇用レポート、8月ISMサービス業景気指数、6日(金)に8月雇用統計と重要統計の発表が続きます。また、7日(土)から9月FOMCを前にしたブラックアウト(金融政策に関する発言を自粛)期間に入ります。ブラックアウト期間前のFRB高官の発言にも注目です。

日本では、9月5日(木)に7月毎月勤労統計が発表されます。野村證券では、7月の現金給与総額(1人当たり賃金)は前年同月比+2.3%と、前月から減速すると予想します。夏季賞与の支給タイミングが6月にずれ込んだことが7月の賃金の伸び率の鈍化をもたらしたと見ています。

中国では、8月31日(土)に8月政府版PMI、9月2日(月)に8月財新版・製造業PMI、4日(水)に8月財新版・サービス業PMIなどの景気指数が発表されます。中国経済は、不動産不況に伴う内需の低迷を、堅調な輸出が下支えする構造が続いています。中国政府は2024年5月以降、不動産市場の支援策に加え、企業の設備更新や消費財の買い替え策などの需要喚起策を相次いで発表しており、これらの効果がどの程度現れるか、注目です。

(野村證券投資情報部 坪川 一浩)

(注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2024年8月30日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。
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