総選挙は与党に厳しい結果

10月27日に第50回衆議院議員総選挙(以下、総選挙)が行われました。28日8時時点の議席状況によると(以下、カッコ内は議席数)、自民党(191)と公明党(24)の与党の合計議席数は215となり、過半数の233議席を割り込みました。衆議院解散時に石破首相が述べた勝敗ラインの「自民党と公明党(の与党)で過半数」に達しなかったことで、責任論や求心力の低下が生じる可能性があります。公明党の石井代表や現職閣僚の落選など、与党に厳しい結果でした。総選挙後の特別国会では、衆参両院の過半数を得た人が首相に指名されます。石破首相は、無所属議員の取り込みや野党の閣外協力を含め、新たな政権の枠組みを模索することになります。

今後の政治情勢のポイント

株式市場としては、総選挙後の政権の枠組みが不明な点は、重石となります。一方、9月27日に自民党総裁選挙を実施して間もないことや、石破首相に批判的とみられる自民党議員の多くが落選したこと、11月はAPEC首脳会議やG20首脳会議などの日程が詰まっていること、12月は2025年度の税制改正や予算編成があることなどから、2025年3月の2025年度予算成立までは、首相交代論は出にくいとみられます。石破首相は、まずは選挙期間中に言及した、13兆円を上回る規模の補正予算の成立に向けた議論を進めるものとみられます。当面は党勢の回復に向け、批判の高まり易い増税などの政策は手控えられるでしょう。時間の経過とともに政策の予見可能性が高まり、補正予算による財政出動は、日本株市場の下支えになるでしょう。

(野村證券投資情報部 小髙 貴久)

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