金融市場では「レッドスウィープ」が意識される展開に

現在、米国では大統領・議会選挙の投開票が進んでいます。大統領選挙に関しては大接戦を演じており、両候補とも事前に優勢が予想された州で着実に選挙人を獲得しています(日本時間11月6日15時30分時点)。このため、選挙戦の行方は選挙のたびに勝者が変わり易い「スイングステート」と呼ばれる激戦7州の結果に左右されそうです。このうちノースカロライナ州(選挙人は16人)、ジョージア州(同は16人)はトランプ氏が獲得した模様です。残り5州のうちミシガン(同15人)、ウィスコンシン(同10人)、ペンシルベニア(同19人)の各州はラストベルト(錆びた地帯)と呼ばれ、かつては民主党の牙城でしたが、2016年にはトランプ氏が勝利しました。また、これら3州は過去30年間、勝者が割れたことはありません。最終的にはこの3州の結果が大統領選挙の結果を左右することになりそうです。

議会選挙に関しては、上院、下院とも共和党が優勢の模様です。特に上院に関しては、現時点で非改選議席を合わせて共和党が過半数の51議席を獲得したとの調査結果もあります。このような状況を踏まえて日本市場では、トランプ氏再選、共和党が上下両院で過半数を占める「レッドスウィープ」が意識されているようです。日経平均株価は一時3万9,600円台を記録、前日比1,005円高の3万9,480円で引けました。ドル円相場は日本時間早朝1ドル=151円台半ばの水準から、154円台まで円安が進行しています。

トランプ氏は個人所得税の減税延長や法人減税など拡張的な財政政策と輸入関税の引き上げ、移民規制の強化などを掲げています。これらの政策は米国内のインフレ圧力を高め、金利上昇とドル高圧力につながることが予想されます。株価にとっては大統領選挙という不透明材料の消化が追い風になるとの見方もありますが、輸入関税の引き上げや移民規制強化が拡張財政政策に先行する可能性が高いことから、株高の持続力は慎重に見極める必要がありそうです。

(野村證券投資情報部 尾畑 秀一)

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