FRBは予想通り0.25%ポイントの利下げを実施
FRBは2024年11月6-7日にFOMCを開催し、大方の予想通り0.25%ポイントの利下げを決定し、政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標を4.50-4.75%に引き下げました。会合後の記者会見でパウエル議長は「今回の政策スタンスのさらなる調整は、経済と労働市場の強さを維持する一助となる」との考えを示しました。また、大統領選挙の結果は当面の金融政策決定に「何ら影響しない」と利下げ姿勢の継続を示唆しました。
米大統領・議会選挙の結果を受けて金融政策見通しを改定
2024年11月5日に行われた大統領・議会選挙では、トランプ氏の再選が確定的となりました。上院でも共和党が過半数を奪還、下院も共和党が優勢の模様です。この結果を受けて野村證券では米国の金融政策見通しを改定しました。1回当たりの利下げ幅を0.25%ポイントとして、2024年中は1回(12月)との見通しを据え置く一方、25年は、従来の3月から3ヶ月毎に4回の利下げ予想を3月1回のみへと変更しました。26年に関しては1-3月期、4-6月期に各1回ずつの利下げを予想します。結果、政策金利の誘導目標は24年末が4.25-4.50%、25年末が4.00-4.25%、26年末は3.50-3.75%になります。併せて、政策金利の着地点に関しても3.00-3.25%から3.50-3.75%へ上方修正しました。
米国の金融政策に対する野村證券の見通し
(出所)ノムラ・セキュリテーズ・インターナショナル(NSI)より野村證券投資情報部作成
見通し変更の主因はトランプ氏が掲げる輸入関税の引き上げです。減税などの財政政策は議会での承認が必要になりますが、輸入関税の引き上げは大統領令で可能なことから、新政権発足後、早々に実施されることが予想されます。野村證券では25年半ばに対中輸入関税を60%、その他の輸入関税を10%へ引き上げると想定し、コアPCE(食品・エネルギーを除く個人消費支出)デフレーターの見通しを、25年は前年比+3.2%、26年は同+2.7%(修正前は同+2.3%、同+2.1%)へ上方修正し、それに伴って金融政策見通しを改定しました。
(野村證券投資情報部 尾畑 秀一)