来週の注目点:米中の主要経済指標、FRB高官発言
前週の米国では、大統領・議会選挙で共和党のトランプ氏の再選が確実となり、上院でも共和党が過半数を奪還、下院も共和党が優勢の状況です。次期政権による減税等への期待から米国株は上昇、米国債市場では長期金利を中心に上昇し、為替市場でもドルは主要通貨に対して全面高となりました。
このような「トランプ・トレード」はしばらく継続すると見られますが、次第に、次期政権における期待とリスクを足元の経済環境と金融政策に織り込む相場展開に移行すると見ています。次期政権が志向する減税や規制緩和は景気を後押しする一方、関税引き上げなどの通商政策、移民規制はいずれもインフレ圧力を高め、かえって経済成長を下押しする可能性もあります。また、トランプ氏は金融政策への介入を強める意向で、FRBの独立性を揺るがす恐れがあります。
米国では、12日(火)~14日(木)にパウエルFRB議長を含む複数のFRB幹部による講演が予定されており、今後の金融政策を占う上で注目されます。米国の経済指標では、13日(水)に10月CPI(消費者物価指数)、14日(木)に10月PPI(生産者物価指数)、15日(金)に11月NY連銀製造業景気指数、10月小売売上高、10月鉱工業生産など重要統計の発表が相次ぎます。
日本では、11日(月)に10月日銀金融政策決定会合における主な意見、10月景気ウォッチャー調査、15日(金)に7-9月期実質GDP(1次速報値)が発表されます。7-9月期実質GDP成長率は前期比年率-0.5%(市場予想は同+0.6%)と、2四半期ぶりのマイナス成長に転じると野村では予想します。
ユーロ圏では、12日(火)にドイツの11月ZEW景況感調査が発表されます。ドイツの景況感に底打ちの兆しが見えれば相場の下支えとなります。
中国では、15日(金)に10月小売売上高、鉱工業生産、1-10月固定資産投資、不動産投資などの主要月次経済統計が発表されます。野村では、景気刺激策の効果による消費者心理の改善が消費の押し上げに寄与したと見ています。
(野村證券投資情報部 坪川 一浩)
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