ファクターとは、銘柄間に共通するリスク・リターンの要因であり、代表的な株式ファクターとして、グロース、バリュー、小型、モメンタム、低ボラティリティ、クオリティなどが知られている。これらのファクターに傾斜をかける投資スタイルによってリターンの獲得を目指すのが株式ファクター投資であり、その中でも特に直近10年間好調であったのはグロース投資とクオリティ投資である。

 グロース投資は、将来にわたって売上や利益の成長率が高いと期待されるグロース株を選好する投資である。足元までのグローバルな低金利環境においては、資金調達や事業拡大のしやすさなどから将来の成長性が高く評価されていたために、グロース投資が好調であったと考えられる。一方で、今後金利が上昇すると、比較的リスクが低い資産でありながら利回りが高くなった債券の魅力度が上昇し、逆にリスクが高い資産である株式の魅力度が低下しよう。その中でも特に、株式益利回りが低いグロース株の魅力度の下落幅は相対的に大きく、グロース投資のパフォーマンスが劣後しやすくなるだろう。

 2020年度後半は主要国の長期金利が上昇したが、この期間のグロース投資は不調であった。今後もグロース投資を活用する際には、金利動向を意識するべきだろう。

 クオリティ投資は、自己資本利益率などから財務健全性や収益安定性が高いと判断されるクオリティ株を選好する投資であり、株式市場全体の上昇時にはできるだけ追随しながらも、大きな下落時には下落を抑える特徴がある。新型コロナショックの20年3月にもクオリティ投資は下落を大きく抑えられており、相対的に良いパフォーマンスとなっている。

(瀧澤 秀明)

※野村週報2021年7月19日号「資産運用」より

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