※画像はイメージです。

※2024年11月5日(木)引け後の情報に基づき作成しています。

持合いレンジ上限突破となれば、7月11日につけた史上最高値も視野に

今週の日経平均株価は、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用見直し方針に関する報道や、半導体株の上昇を受け、堅調に推移しました。

チャート面からこれまでの動きを振り返ってみましょう(図1)。日経平均株価は、11月28日に一時37,801円まで下落したものの、10月24日安値(37,712円)は割らずに反発に転じています。

12月3日にかけての株価上昇で38,200~700円のレンジに収れんする25日・75日・200日移動平均線を明確に上抜け、5日には一時39,632円まで値を戻しました。

この先11月7日高値(39,884円)や、10月15日高値(40,257円)等によって形成される9月下旬以降の保ち合い水準のレンジ上限を超えるか注目されます。上限突破となれば、7月11日につけた史上最高値(ザラバベース:42,426円)を視野に入れる動きとなると考えられます。

一方で、目先の上値が重く、再度25日線(12月5日:38,737円)や200日線(同:38,672円)を下回る水準に押し戻される場合は、11月28日安値(37,801円)が下値のメドと考えられます。 他方、8月安値(31,156円)以降の上昇過程で底入れのパターンであるダブルボトムが完成しています。また、8月安値から、これまでに約4ヶ月が経過し、9月下旬以降の保ち合いについても既に約2ヶ月半が経過しており、日柄調整が十分となっています。この先、保ち合いを上抜けし、本格的な上昇相場再開となることが期待されます。

※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。

(注1)直近値は2024年11月6日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。
(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成

2024年 年間概況  -史上最高値更新と夏の大波乱-

2024年の日経平均株価は、円安と米ナスダック総合指数上昇を受けて上昇基調となり、2月22日には、約34年ぶりの史上最高値更新となりました。脱デフレや、企業改革の進展、新NISA制度のスタートという大きなうねりの中での歴史的瞬間の到来となりました(図2)。

もう一つの大きな転換点として、日銀が3月19日にマイナス金利政策を含む大規模緩和の解除を決定したことが挙げられます。その後、長期金利が上昇し日本株の重荷となりましたが、米国株上昇等を背景に、7月11日に日経平均は42,224円(終値ベース)の高値を記録しました。

しかし、その後の金融市場は大きな波乱に見舞われました。7月31日に日銀が追加利上げを行い、円高が加速しました。さらに米国株が景気減速の懸念から下落し、8月5日には日経平均が前営業日比4,451円安という歴史的急落を記録しました。ただ、翌日には大幅反発となる等、極めて振れ幅の大きい動きとなりました。その後、徐々に相場は落ち着きを取り戻し、10月中旬に4万円目前まで上昇しました。

10月27日の衆議院選挙では自民党が議席を大幅に減らし、少数与党となりました。11月の米大統領選で共和党トランプ氏が勝利し、減税や規制緩和の期待で米国株は上昇基調となりましたが、日本株は関税強化の懸念で再び上値を抑えられ、11月末を迎えました。

テーマ面では、「生成AI」の利用が広がり、半導体関連の設備投資に引き続き期待が寄せられる中、10月には石破首相が誕生し、「防災」や「防衛」への注目が集まりました。2024年、物言う株主(アクティビスト)の活動が活発化する中、企業は株主や投資家目線での経営にさらに注力することが求められており、今後、日本株や日本経済が次の段階へと進化できるかが注目されます。

(注1)直近値は2024年11月末時点。 ドル円相場は日銀公表値。株価の高値・安値の表記は、日経平均、NYダウは終値ベース、ドル円はザラ場ベース。為替介入の日付は報道ベース。
(出所)各種データより野村證券投資情報部作成

(野村證券投資情報部 岩本 竜太郎)

【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら

ご投資にあたっての注意点