来週の注目点:米大統領就任式と大統領令、日銀の政策判断

2025年の金融市場の行方に影響する最も重要な要素の一つが米国の次期政権の政策です。1月20日にトランプ次期大統領及びバンス次期副大統領が就任します。トランプ次期大統領は、議会で就任演説を行うとともに、公約実現のために就任初日から様々な大統領令を出すと見られています。関税、移民制限、バイデン政権のエネルギー政策の転換など、大統領令での実行が可能な政策が先行することが予想されます。

他方、米国の金融政策については、1月28日(火)-29日(水)のFOMCを控えて、18日(土)からブラックアウト期間(金融政策に対する公的な発言を自粛する期間)入りしています。米経済指標の発表も24日(金)の25年1月S&PグローバルPMI速報値、24年12月中古住宅販売件数などに限られます。市場の関心はトランプ次期政権の動向、米主要企業の24年10-12月期決算発表に集まります。

日本では、23日(木)-24日(金)に日本銀行の金融政策決定会合が開催され、24日に結果発表と植田日銀総裁の記者会見が行われます。1月会合の判断については、14日の氷見野日銀副総裁に続いて15日には植田日銀総裁が「米新政権の政策や春闘の賃金動向などを精査し、追加利上げを行うかどうか判断」する旨を明言しました。20日の就任式前後に金融市場が不安定化した場合には、日銀が利上げを見送る可能性はあるものの、市場では利上げ予想が高まっています。野村では日銀の金融政策に関するシナリオを変更し、利上げ予想を25年3月会合から、1月会合に前倒ししました。

日本の経済指標では、20日(月)に24年11月機械受注、24日(金)に12月全国消費者物価指数(CPI)、25年1月auじぶん銀行PMI速報値が発表されます。野村では12月の生鮮食品を除くコアCPIインフレ率は前年同月比+2.9%と、24年11月(同+2.7%)から伸び率が加速すると予想します。政府による電気代・ガス代抑制策の終了がエネルギー価格の加速につながったと見られます。 

(野村證券投資情報部 坪川 一浩)

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