日銀、0.25%ポイントの追加利上げを決定 政策金利は0.5%に

日本銀行は1月23~24日に金融政策決定会合を開催し、大方の予想通り0.25%ポイント引き上げ、無担保コール翌日物金利を0.5%程度とすることを決定しました。日銀による利上げは2024年7月以来、半年ぶりになります。日銀は声明文の中で、「経済・物価はこれまで示してきた見通しに沿って推移、先行き、見通しが実現していく確度が高まってきている」との判断に基づいて利上げを決定したことを明らかにしました。また、今後の政策運営に関しては、「現在の実質金利がきわめて低い水準にある」ことから、「経済・物価見通しが実現していく」とすれば「政策金利の引き上げを続ける」との姿勢を示しました。今回も利上げに関して「金融緩和度合いの調整」との文言を使用していることから、日銀が現在の政策金利は中立金利を下回っていると考えているようです。

同時に公表した展望レポートにおける消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比見通しは、24年度が+2.7%(24年10月時点:+2.5%)、25年度が+2.4%(同+1.9%)、26年度は+2.0%(同+1.9%)とそれぞれ上方修正されました。リスクバランスに関しては、2024年度、25年度に関しては「上振れリスクが大きい」との認識を示しました。

2024~2026年度の政策委員の大勢見通し

(注)値は、前年度比%、なお、<>内は政策委員見通しの中央値。 各政策委員は、既に決定した政策を前提として、また先行きの政策運営については市場の織り込みを参考にして、上記の見通しを作成している。「大勢見通し」は、各政策委員が最も蓋然性の高いと考える見通しの数値について、最大値と最小値を1個ずつ除いて、幅で示したものであり、その幅は、予測誤差などを踏まえた見通しの上限・下限を意味しない。
(出所)日本銀行資料より野村證券投資情報部作成

発表直後(12時23分から13時00分頃)の金融市場では、ドル円レートは155円台前半まで円高が進行した一方で、日経平均株価は小幅ながらプラス圏を維持しました。総じて、追加利上げに対する初期反応として、金融市場に大きな混乱は見られなかったと言えるでしょう。

日銀の政策金利は1995年9月以降、0.5%を上回ったことがありません。このため、今後は利上げペースに加え、政策金利の着地点が注目されます。この点に関しては、15時半から行われる植田総裁の記者会見で何らかの見方が示されるかが注目されます。足元の先物金利は、25年末までに追加1回の利上げを織り込んでいます。トランプ政権を巡る不透明感が依然として高いうえ、夏場には参議院選挙を控えていることから、追加利上げに対しては慎重な見方が有力なようです。

(野村證券投資情報部 尾畑 秀一)

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