来週の注目点:FRB高官講演と米インフレ指標、植田日銀総裁コメント

4月2日にトランプ大統領は相互関税の詳細を発表しました。最低10%の一律関税に加え、一部の国・地域には個別に高率の追加関税を課す計画であり、中国が34%、EUが20%、日本には24%関税が賦課されます。中国は既存の20%追加関税に上乗せされ、54%の関税率となります。一律関税は4月5日、個別の高率関税は4月9日に発効する予定です。今後の焦点は、各国の対応策や米国との交渉、品目別関税へと移行すると見られ、トランプ関税を巡るあく抜け感が市場で醸成されるまでには今しばらく時間を要しそうです。

米国の相互関税の発表を経て、今週は各国の政府高官や政策当局者による評価が注目されそうです。米国では9日(水)のバーキン・リッチモンド連銀総裁を皮切りに複数のFRB高官の講演が予定されています。特に11日(金)のウィリアムズNY連銀総裁の講演が注目されます。ウィリアムズ総裁は3月FOMC会合後、関税によるインフレへの影響は「一過性」であるとしたパウエルFRB議長に同調する発言をしました。その後、複数のFRB高官がより慎重に判断すべきとの趣旨の発言を行っています。ウィリアムズ総裁の判断に変化があれば、市場の利下げ期待に水を差す可能性があります。

経済指標では10日(木)の3月消費者物価指数と11日(木)の生産者物価指数、4月ミシガン大学消費者マインド速報値が注目です。消費者物価が2月に続いてインフレ鎮静化の継続を示す結果になれば、長期金利の低下を通じて米国株にも追い風となることが期待できます。

日本では、次の利上げのタイミングを探る上で7日(月)の日銀支店長会議、9日(水)の植田日銀総裁の挨拶が、経済指標では7日(月)の2月毎月勤労統計、8日(火)の3月景気ウォッチャー調査が注目されます。足元で購入頻度の高い食品価格が上昇していることから、消費の持続力を探る上で実質賃金の動向に対する関心が高まっています。

その他、今週は9日(水)にニュージーランドとインドで金融政策の決定会合が予定されています。

(野村證券投資情報部 尾畑 秀一)

(注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2025年4月4日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。
(注2)画像はイメージです。
(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成

ご投資にあたっての注意点