(注)画像はイメージです。

海外市場の振り返り

4日の米国市場は独立記念日のため休場、欧州株式市場は総じて軟調な展開となりました。9日に相互関税の上乗せ分の停止期限を控え鉱業株や自動車株が下落した一方で、ヘルスケアや通信株が相対的に堅調でした。為替市場では米ドルが主要通貨に対してまちまちの動きとなる中で、円が全面高の展開となりました。5月の実質消費支出が前年比+4.7%と市場予想(同+1.2%)を大幅に上回る高い伸びとなったことから、日銀に対する利上げ観測が高まり、円高に繋がりました。

相場の注目点

7月9日にトランプ政権が導入した相互関税の上乗せ分の一時停止措置の期限を迎えます。トランプ大統領は4日、記者団に対して10~12の貿易相手国・地域に対して関税率を記した書簡を7日から送付すると述べました。対象国や関税率など詳細は不明ですが、トランプ大統領は「関税率はおそらく60~70%から10~20%の範囲になるだろう」と述べています。米国と貿易協議で合意したのは英国やベトナムなど一部の国に過ぎません。ベッセント財務長官は8月1日まで交渉期限を延長する可能性を示唆していますが、多数の国・地域に対して4月2日発表分を上回るような関税率が導入されることになれば、市場が再び不安定化するリスクもあり、注意が必要です。

米国では4日、トランプ大統領が「一つの大きくて美しい法案」と呼ぶ、2026年度(25年10月~26年9月)の連邦政府予算が成立しました。CBO(議会予算局)と米国議会の合同税制委員会の試算によると、今後10年間で連邦財政赤字は3.4兆ドル増加する見通しです。財政赤字の拡大に関しては既に織り込み済みだと見受けられますが、本日の市場の反応が注目されます。

(野村證券 投資情報部 尾畑 秀一)

(注)データは日本時間2025年7月7日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。

ご投資にあたっての注意点