(注)画像はイメージです。

海外市場の振り返り

中国の輸出規制強化に対抗し、トランプ大統領が対中関税を引き上げる考えを示したことから、10日の米国株式市場で主要3指数は軒並み大幅安となりました。貿易摩擦懸念から市場では警戒感が広がり、VIX指数は一時、節目となる20を突破しました。しかし、トランプ大統領が強硬姿勢を和らげたことを受け、週明け13日には市場のムードが好転し、NYダウは大幅反発となりました。また、13日にブロードコムがオープンAIとの半導体の共同開発を発表したことが材料視される中、AI関連銘柄を中心に買いが波及し、SOX指数は5%近く上昇、ナスダック総合は3営業日ぶりに反発しました。

相場の注目点

日本では10日、公明党が自民党との連立から離脱することが明らかとなり、日経平均先物が急落しました。衆参両院は10月下旬の臨時国会で次期首相を指名する見通しです。衆院ではこれまで与党(自民196議席+公明24議席)が220議席を占め、野党3党(立憲民主党、日本維新の会、国民民主党)を合わせた210議席を上回っていました。しかし、公明党の離脱により勢力図が一転したことで、野党3党が統一候補を立てた場合は与党を上回ることになります。一方、公明党との関係が連立入りの障害とされてきた日本維新の会が連立入りをはたした場合は合計議席が231議席(過半数は233議席)となり、政策期待が一気に高まる可能性もあります。本日は野党3党の幹事長による会談が予定されており、首相指名選挙に向けた各党の動きが注目されます。他方、10日から週明けにかけては、米国の関税政策が市場心理を大きく動かしましたが、10日の債券市場で米10年国債利回りは低下しており、債券価格が急落(金利は上昇)した4月の相互関税発表時とは様相が異なります。引き続き米中両国の動きが注目されますが、足元で過度な懸念は後退しています。一方、米国では連邦政府機関の一時閉鎖が続いており、長期化に伴う悪影響には引き続き注意が必要です。

(野村證券 投資情報部 引網 喬子)

注)データは日本時間2025年10月14日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、中心限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。

ご投資にあたっての注意点