DMG 森精機(6141) 機械

世界最大の工作機械メーカー
日本の森精機、ドイツのDMG が統合して誕生した世界最大の工作機械メーカー。日本側がドイツ側の株式を87%保有する。
経営の特徴は、欧州の独創的な発想、日本の精緻な作り込み、きめ細かなサービスという双方の強みを持つことであろう。
製品戦略では複雑な加工や工程集約が可能な5軸加工機、自動化システムなどの高付加価値品に力を入れる。それを直販体制で顧客へソリューションとして提供する。
また、脱炭素・環境、サステナビリティ経営を推進する。好例が自社製品のカーボンニュートラル化(実質ゼロ)への取組みで、自動車など顧客産業で広がる設備機械を含めたCO2削減の動きへ対応する。
欧州、米州の需要回復を取り込める
受注の地域別構成比(2021年1~6月期)は欧州53%、米州18%、中国12%、日本11%で、欧州、次いで米州が高い。
工作機械需要は欧州、北米で強い回復が見込まれ、当社はそれを取り込めよう。欧州、米州でEV(電気自動車)用部品(例えばモータやバッテリーのケース)、欧州で洋上風力発電システムの部品など、社会と産業の変化で新しい需要が生まれている。
当社は損益分岐点管理にも強い。固定費を管理し、自動化やソフトウエアで付加価値を高めて販価の引上げも進める。その成果に増収が加わり、営業利益は22.12期に400億円と前回ピーク(19.12期373億円)を越えると予想される。




(齋藤 克史)
ダイキン工業(6367) 機械

空調機器のグローバルトップ企業
空調機器のグローバルトップ企業であり、空調機器と冷媒の両方を開発・生産する。1924年に大阪市で創業、51年に日本初のパッケージ形エアコンを開発。2007年のOYL グループ買収、12年のグッドマン社買収を通じて、米国においても住宅用空調でトップシェアを確保し、グローバルトップの空調メーカーとなった。
21年4~6月期の営業利益は1,093億円と野村予想の780億円を大きく上回り、ややポジティブな印象だった。原材料価格の上昇による悪影響はあったが、欧州、米国、中国とも大幅増収で野村予想を上回った。会社は4~6月期の業績上振れ分を加算し、22.3期の業績計画を上方修正した。
調達難をシェアアップの好機に変える
野村でも好業績を考慮して欧州、米国を中心に業績予想を上方修正し、22.3期の営業利益は3,100億円と会社の新計画の2,900億円を上回る水準を見込んでいる。米国では住宅向けの旺盛な需要の継続に加えて、今後は業務用の需要の改善も売上成長を牽引すると考える。欧州も住宅向けの需要成長に加えて、ヒートポンプ暖房も伸長している。半導体不足などによる生産抑制はリスク要因ではあるが、当社は供給網の状況を早期に把握し対応し、製品供給への悪影響を抑制できており、引き続きシェアの拡大が図られよう。リスクを好機に変える当社のマネジメント力は高く評価できると考える。




(前川 健太郎)
日本電産(6594) 電気機器

関潤CEOへの交代で進化する経営
創業者の永守重信会長から関潤CEO へ日々の経営がバトンタッチされたことで、永守会長が、長期の経営ビジョン策定、合併・買収や業務提携、企業経営の骨組みともいえる人事評価体系の刷新など、より高度な経営課題に専念する体制に進化した。
当社は、1973年に設立された、大手電子部品の中で、もっとも創業年が若い企業である。急成長を支えてきたのは、永守会長の進化し続ける経営と、経営トップ自らが、事業の細部に亘って目を行き届かせる、「ハンズオン」の経営スタイルであったと考えられる。売上高2兆円の到達が目前に迫るなか、より組織化された企業へ脱皮することが求められているのだろう。
低価格EV向けモータの開発を急ぐ
関CEO には、EV(電気自動車)用トラクションモータ事業の拡大を通じて、日本電産の成長を加速させることが期待される。中国では、購入補助金がなくても、低価格EV が、地方都市の若い女性に売れることが分かってきた。低価格EV は、今後中国ローカルメーカーの主戦場になることが予想される。当社モータの採用が、同市場で進むかが重要になってこよう。
EV のように、急成長する市場では、群雄割拠の時代を勝ち抜く企業が、その後に、高い市場シェアを占有する例が多い。部品メーカーは、勝ち抜く企業と一緒に成長できるかがポイントになる可能性が高いだろう。




(秋月 学)
※野村週報2021年9月13日号「銘柄研究」より