米国市場(11/24)の相場動向

 24日の米国株式市場で、NYダウは前日比-0.02%、S&P500指数は同+0.22%、ナスダック総合指数は同+0.44%となりました。NYダウは3営業日ぶりの下落、ナスダックは3営業日ぶりの上昇となりました。経済指標では労働需給のひっ迫やインフレ高進が示されましたが、米10年債利回りが低下したことを受け、金融株は下落、大型テクノロジー株の上昇が目立ちました。11/20の週の米新規失業保険申請件数は52年ぶりの低水準、FRBがインフレ指標として注目する10月のPCEコアデフレータも市場予想を上回り、労働市場とサプライチェーンがともに逼迫した状況が続いています。

本日の相場動向・注目点

米長期金利の見通し
 引き続き、米国10年債利回り(長期金利)が世界の株価を左右する展開が続きそうです。 野村のNY拠点であるノムラ・セキュリティーズ・インターナショナル・インク(NSI) のマクロチームが、FRB(米連邦準備理事会)が実施しているテーパリング(量的緩和に伴う資産購入額の減額)の終了時期を、従来予想の2022年6月から2022年3月に変更しました。先週のFRB高官の発言を受けて、12月のFOMCにおいてテーパリングペースの引き上げが決定され、減額ペースを現行の月間150億ドルから、月間300億ドルに引き上げました。ハト派と目されるFOMC参加者も利上げに前向きな発言が相次いでいることから、利上げ開始時期の予想も従来の2022年12月から同年9月に前倒ししています。

半導体株の動向
 24日の東京市場ではソフトバンクグループや東京エレクトロンなどのテクノロジー株が軟調となり日経平均株価の重石となりました。一方、昨日の米国市場では、米10年債利回りは一服し、エヌビディアなどが堅調に推移しナスダック総合指数やフィラデルフィア半導体株指数の上昇率が相対的に高かったことなどから、本日25日は東京市場で半導体関連などのテクノロジー株が相場の支えとなるか注目が集まります。

 24日の日経新聞では、日本政府が先端半導体工場建設支援用の財源に約6,000億円計上すると報じられています。記事の真偽については確認が必要ですが、正式な閣議決定は26日に予定されています。この報道の背景には世界的な半導体安全保障に対する意識の高まりが考えられます。また、各国では政府による半導体産業への支援の動きが具体化しつつあり、半導体製造装置市場拡大には追い風とみられるため、日本政府の動向には注目が集まります。

円安と自動車株
 足もとのドル円相場は1ドル=115円40銭台と、前営業日の15:00時点の114円90銭台から円安です。野村では、FRBが一段とタカ派化するとの期待が高まりやすい状況で、為替市場でもドル高期待が強い状況になると見ています。24日の株式市場では、日経平均株価が大きく下落する中、ドル高円安を追い風にトヨタ自動車や日産自動車は逆行高となりました。本日もドル高円安が自動車株の支えとなるか、値動きが注目されます。

注目の予定
 日本では場中に、10月全国スーパー売上高、10月全国百貨店売上高が発表されます。緊急事態宣言が全面解除され、経済の正常化が進む中、消費動向に変化が見られるか確認する機会となるでしょう。

 米国では、25日は感謝祭の祝日のため米全市場が休場、26日は株、債券、商品市場が短縮取引となります。米国の年末商戦は近年にも前倒しとなっている模様で、感謝祭の週末の売り上げ状況など、米国の小売や消費動向には注目が集まると見られます。

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