新型コロナウイルス(以下コロナ)の感染が拡大した2020年から、少額投資非課税制度(NISA)の中でも未成年者を対象とするジュニアNISAの利用が増えている。

 21年6月までの1年間に口座数は49%、買付額は60%増加した。利用が増えている理由として下記の点が考えられる。

 第一に、NISA 利用者が増加したことで、ジュニアNISA を含めたNISA 制度全般への理解が進んだことである。ジュニアNISAは未成年者を対象としており運用管理は原則として親権者等が行うため、親権者等による制度理解が欠かせなかった。

 第二に、コロナ禍の下では、口座開設手続きが容易になり、利用を促す工夫もなされていることである。テレワークを行う人が増えた一方、金融機関との手続きのデジタル化も進み、利便性も増している。

 第三に、ジュニアNISAは23年12月末で制度が終了する予定である。そのため利用希望者が駆け込みで利用を始めたことに加えて、制度終了に伴い口座資金の払出し制限が実質的に解除されることも注目されている。

 第四に、コロナ禍という不測の事態に直面し、家計側の意識が変化したと見られることである。教育費支払いや借金返済が困難になった人は増えているが、同時に、教育資金を予め準備する大切さやそのための手段を考える人も増えてきたと見られる。

 ジュニアNISA は制度終了となるものの、「子どもの将来のための資金をどう手当てするのか」という家計が抱える問題は解消されていない。今後は、子どもの将来のための資金確保へ向けて、官民で協力し、さまざまなアイディアを出し検討していく必要がある。

(宮本 佐知子)

※野村週報 2021年12月6・13日 合併号 「資本市場の話題」より
(本年は最終号となり、次号は2022年1月17日より通常発行いたします。)

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