米国:2021年の振り返り

 米国を代表するS&P 500 指数は、年明け以降、堅調な企業業績と積極的な財政政策などを背景に、一進一退ながらも上昇しました。9月2日に史上最高値を更新した後、「デルタ株」の感染拡大やインフレ高進懸念などから、全般的に上値が重い展開が続きました。

 10月中旬以降に発表が始まった2021年7-9月期決算では好決算も多く、加えて米長期金利の上昇も一服したこともあり、S&P 500 指数は上昇基調に復帰し、11月18日に終値での史上最高値を更新しました。

 その後、「オミクロン株」への警戒もあり、株式市場は一時軟調となりましたが、オミクロン株への懸念後退で、12月23日にS&P 500 指数は史上最高値を更新しました。12月FOMCでは、テーパリング加速と政策金利引き上げ前倒しが示され、株式市場のボラティリティは高くなっています。

米国:2022年への示唆と注目点

 FRBは2022年3月にテーパリングを完了し、政策金利の引き上げを開始すると予想します。株価変動が大きくなるかもしれませんが、FRBの主眼が金融政策の正常化でインフレ抑制のための強い引き締めとならない限り、株式市場の上昇基調を妨げることはないとみます。

 調査会社リフィニティブの12月17日時点の集計では、S&P500指数構成企業の1株当たり利益は、22年は前年比+8.0%の222.85ドル、23年は同+9.5%の244.12ドルと予想されています。

 米長期金利は緩やかに上昇し、22年末は2.00%程度と予想します。上昇する過程で一時的に急上昇することはあっても、それが定着するようなことはないとみます。地政学的リスク等に留意は必要ですが、長期金利の上昇が緩やかであれば、企業業績の拡大を織り込み、株式市場は22年を通せば上昇基調と予想します。

(注)2021年12月23日時点の情報に基づく。
(出所)野村證券投資情報部作成

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