2022年4月4日に、東京証券取引所は新市場区分に移行します。現行の東証1部、東証2部、東証マザーズ、ジャスダック(スタンダード、グロース)の4つの市場区分は、プライム、スタンダード、グロースの3つの市場区分に再編されます。

東証新市場区分の特徴と上場基準

 新市場区分の特徴と上場基準についてみてみましょう。プライムは、グローバルな投資家との建設的な対話を中心に据えた企業向けの市場とされます。プライム市場への上場には、流通株式比率35%以上、流通株式時価総額100億円以上などの条件を満たす必要があります。

 スタンダードは、公開された市場における投資対象として十分な流動性とガバナンス水準を備えた企業向けの市場とされます。スタンダード市場への上場には、流通株式比率25%以上、流通株式時価総額10億円以上などの条件を満たす必要があります。

 グロースは、高い成長可能性を有する企業向けの市場とされます。グロース市場への上場には、流通株式比率25%以上、流通株式時価総額5億円以上などの条件を満たす必要があります。

新たに上場維持基準が加わる

 3市場には、従来からの上場審査基準と上場廃止基準に「上場維持基準」が加わり、計3種類の基準が設けられます。現行では、上場審査基準に基づく審査を経て上場したあとは、比較的緩い上場廃止基準をクリアしていれば上場を維持することが可能でした。新市場区分では、原則として上場維持基準は上場審査基準と共通となるため、上場会社は上場後も各基準を維持することが求められることになります。

 さらに、上場維持基準に抵触した場合は、現行のように東証1部から東証2部に指定替えされるような仕組みは設けられておらず、該当市場で上場廃止となります。

移行までの経過措置

 移行に向けたスケジュールですが、各上場企業は2021年末までに所属を希望する市場区分を選択して、東証に申請しています。東証は、2022年1月11日に同社のウェブサイトにおいて、各上場企業が最終的にどの新市場に所属するかを公表する予定です。

 なお、現在の東証1部企業は要件をすべて満たしていなくても、経過措置が設けられており、希望すればプライム市場への移行が可能です。これらの企業は「上場維持基準の適合に向けた計画書」を東証に提出することで「当分の間」は「緩和した上場維持基準」が適用されることになっています。

 「緩和した上場維持基準」は、プライム市場の場合は現行の東証1部から東証2部への指定替え基準と同水準とされています。「当分の間」という経過措置の適用期間は、具体的な終期が明記されていません。

TOPIXの見直し

 新市場区分への移行とあわせて株価指数改革も実施されます。TOPIX(東証株価指数)は、現行指数では東証1部市場の全銘柄が組み入れられていますが、一定の基準で選別される形となります。この選別では、2021年6月末と翌決算期時点で流通株式時価総額が100億円未満の企業を「ウエイト(組み入れ比率)低減銘柄」に指定します。

 指定された銘柄は、2022年10月から段階的にTOPIXへの組み入れ比率を引き下げ、2025年1月末に完全に除外されます。運用のベンチマークであるTOPIXの見直しは、該当銘柄の値動きに影響を与える可能性があるため注意が必要です。

(注)2021年12月27日時点の情報を基に作成

ご投資にあたっての注意点