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骨太の方針2022 / 新しい資本主義へ
(注)全てを網羅しているわけではない。
(出所)内閣官房より野村證券投資情報部作成
2022年6月7日、岸田内閣は「経済財政運営と基本方針2022(骨太の方針2022)」を閣議決定しました。岸田首相が標榜する「新しい資本主義」に向けた改革の重点分野として、人への投資や科学技術への投資、スタートアップへの投資などの5項目が掲げられています。2021年の総裁選時に掲げていた「分配重視」の姿勢から「成長重視」へのシフトが窺えます。
岸田政権は賃上げに加え、財産所得の増加を目指す
(注)グラフでは、「現物社会移転以外の社会給付」を社会保障給付、「所得・富等に課される経常税」を税金、「純社会負担」を社会保険料とした。
(出所)内閣府「国民経済計算」より野村證券投資情報部作成
骨太の方針2022の実行計画では、岸田政権が従来から掲げていた賃上げ促進税制に加え、人材育成や雇用流動化の支援といった人的資本への投資を積極化することで、雇用者報酬を増加させる方針が示されました。また、貯蓄から投資へのシフトを促すことで、財産所得増加を目指す「資産所得倍増プラン」を2022年末に策定するとしています。
日米欧の家計資産の内訳
(注)証券投資は、「債務証券」、「投資信託」、「株式等」の合計値。その他計は、金融資産合計から「現金・預金」、「債務証券」、「投資信託」、「株式等」、「保険・年金・定型保証」を控除した残差。
(出所)日本銀行調査統計局「資金循環の日米欧比較(2021年8月20日発表)」より野村證券投資情報部作成
日本の個人金融資産約2,000兆円のうち、その半分以上が現金・預金となっています。「資産所得倍増プラン」では、NISA(少額投資非課税制度)の抜本的拡充や、高齢者に向けたiDeCo(個人型確定拠出年金)制度の改革、国民の預貯金を資産運用に誘導する新たな仕組みの創設など、政策を総動員するとしています。
マンション/高級住宅(ハイエンドクラス)の国際価格水準の比較
(注)東京/港区元麻布所在/高級住宅(ハイエンドクラス)のマンション価格(1戸の専有面積あたりの分譲単価)を100.0とした場合の各都市との比較指数。比較指数の作成にあたって、価格時点において現地通貨等で評価したものをその価格時点で円換算のうえ指数化した。
(出所)一般財団法人 日本不動産研究所「第18回国際不動産価格賃料指数(2022年4月現在)」より野村證券投資情報部作成
個人の保有する資産の代表格が不動産です。日本では低金利環境が継続する中、国内外からの投資マネーが日本の不動産市場に流入し、不動産価格の高騰が続いています。しかし、諸外国と比較すると、日本の不動産価格は依然として低い水準にあると言えます。さらに足元で進行する円安により、海外投資家の不動産取引増加も期待できます。
各国のベンチャーキャピタル投資額の推移
(注)全てを網羅しているわけではない。「－」は未発表。
(出所)OECD.Statより野村證券投資情報部作成
骨太の方針2022では、イノベーションを生み出し、社会課題の解決にも貢献し得るスタートアップ(新規創業)を新しい資本主義の担い手として位置づけ、「スタートアップ育成5ヶ年計画」を2022年末に策定するとしています。スタートアップを5年で10倍に増やす目標を掲げ、米国などと比較し見劣りするベンチャーキャピタルへの公的資本投資拡大などを実施していく方針です。
主要国の国防費と対GDP比率(2020年度)
(注1)国防費は各国発表の国防費を基に、2020年購買力平価(OECD発表値:2021年4月)を用いてドル換算。「1ドル＝103.412076円＝4.200808元＝0.740525ルーブル＝869.063949ウォン＝1.461587豪ドル＝0.716264ポンド＝0.740525仏ユーロ＝0.744679独ユーロ」。
(注2)図中の●％は対GDP比率。対GDP比率は各国発表の国防費(現地通貨)を基にIMF(国際通貨基金)発表のGDP値(現地通貨)を用いて試算。
(出所)防衛省「令和3年版防衛白書」より野村證券投資情報部作成
経済政策の柱である新しい資本主義に加え、骨太の方針2022では「内外の環境変化への対応」の一つとして、「防衛力を5年以内に抜本的に強化する」と明記されました。NATO(北大西洋条約機構)が加盟国に求める国防予算の対GDP比2％以上の基準が意識されています。仮に、日本の防衛費の目標が対GDP比2％となれば、現在から倍増させる必要があります。
※野村證券投資情報部「Nomura 21 Global 7月号」(発行日：2022年6月20日)の「特集：新しい資本主義」より
