2022年7月(7月4日~7月29日、以下同)の主な投資部門別の売買動向を現物と先物の合計で概観すると、海外投資家や事業法人などが買い越した。売り越したのは、個人投資家、投資信託、信託銀行などであった。

 海外投資家は1兆7,389億円を買い越し、3カ月ぶりの買い越しに転じた。買い越し額の大きさは20年11月(3兆1,041億円)以来であった。買い越しの中心は先物で、1兆5,688億円を買い越した。中国景気底打ちや米金融政策のタカ派化一巡への期待が背景と見られる。また、海外投資家の先物買いポジションは低く、買い越しに転じやすかったことも影響したと見られる。

 事業法人は4,002億円を買い越し、14カ月連続で買い越した。7月の買い越し額としては19年7月(4,756億円)以来の大きさであった。引き続き、自社株買いが活発に行われていると見られる。

 個人投資家は1兆2,830億円を売り越した。売り越し額の大きさは20年11月(2兆649億円)以来となった。当月のTOPIX(東証株価指数)上昇率は+5.2%と20年11月(+13.1%)以来の大きさで、個人投資家が利益確定売りを行ったと見られる。個人投資家の資金が背景にあり、同様に株価に対して逆張りの傾向がある投資信託も7,057億円を売り越した。

 信託銀行は3,882億円を売り越した。売り越し額の大半が7月第1週(3,807億円の売り越し)であった。7月8日に発生したと見られるETF(上場投資信託)の分配金捻出売りが背景のようだ。

(市場戦略リサーチ部 藤 直也)

※野村週報 2022年8月15日号「株式需給」より

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