ブロックチェーン技術を基盤とした次世代サービスであるWeb3のうち、デジタル金融サービスである「DeFi(分散型金融、Decentralized Finance、ディファイ)」が重要な局面を迎えています。

 決済や金融サービスを手がけるブロック(旧スクエア)は、8月4日に発表した4−6月期決算で暗号資産のビットコイン関連の純収益が前年同期比で34%減少したことを報告しました。要因についてブロックは、ビットコインに関する消費者需要の減少と価格の下落によるもので、これは暗号資産全般についての不確実性に起因している、と説明しました。また、EV大手のテスラは、4−6月期に保有していたビットコインのうち約75%を売却し、損失を計上しました。

 暗号資産の価格下落の理由は様々ですが、FRB(米連邦準備理事会)の金融引き締めに加え、4月時点で暗号資産の時価総額で3番目だったテラUSDの価格が5月以降に9割超下落したことが挙げられます。テラUSDは本来はドルに連動(ペッグ)し価格変動の少ない「ステーブルコイン」でしたが、ペッグできない状況になりました。

 IMF(国際通貨基金)は、昨年10月に金融安定化の課題として暗号資産の規制の必要性や、ステーブルコインの問題点、今年4月にはDeFiの抱えるリスクと効率などについてレポートで指摘していました。

 BIS(国際決済銀行)は、昨年12月に公表した四半期報告書の中で、「DeFiが完全な分散(規制の全く掛からない非中央集権化)であるとの主張は幻想」であるものの、「ブロックチェーンが拡大し伝統的資産の大規模なトークン化が進み、ガバナンスや金融安定性、違法行為対策などの規制やセーフティネットが整備されれば、DeFi は金融システムにおいて重要な役割を担うであろう」と述べています。また、6月に行った検討会で、ステーブルコインと無担保コインの分類、与信機関に必要な資本額などの基準を今年12月に確定させることを発表しています。

 OECD(経済協力開発機構)は、5月に機関投資家の暗号資産参入はDeFiと従来型金融の融合を促進する可能性があることを報告しました。8月4日には運用額で世界最大のブラックロックが、暗号資産交換所のコインベースとの提携を発表しました。

 暗号資産を中心としたDeFiはいまだ問題点はあるものの国際機関によるルール整備が進んでおり、効率性などの利点を消費者が享受できる日も近そうです。

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