7月の全国コア(生鮮食品を除く総合)消費者物価指数(CPI)は前年同月比+2.4%と、6月の同+2.2%から拡大した。

 7月のコアCPI の押し上げに大きく寄与した項目として、コア食料(酒類及び生鮮食品を除く食料、前年同月比寄与度の前月差+0.12% pt)や耐久消費財(同+0.10%pt)が挙げられる。コア食料の押し上げ寄与は14カ月連続だ。小麦等の原材料価格高騰や円安の影響が、食料価格上昇に繋がっていると考えられる。先行きについては、輸入物価から消費者物価への価格転嫁の時間差を勘案すると、コア食料の押し上げ寄与は2022年末まで続くとみられる。

 コア食料に続いて押し上げ寄与が大きかった耐久消費財の内訳を見ると、携帯電話機(同+0.11% pt)の寄与が目立つ。7月1日に実施されたiPhone の一斉値上げが主因であろう。他には、電子レンジ(同+0.01% pt)やパソコン(ノート型、同+0.01% pt)なども加速に寄与した。

 他方、エネルギー(同0.00% pt)は横ばいに留まった。エネルギーの内訳品目を確認すると、電気代(同+0.06% pt)の押し上げ寄与が目立ったが、ガソリン(同-0.08% pt)の押し下げ寄与も大きかったことが背景だ。電気代の上昇は、各電力会社が公表する燃料費調整の動きと整合的である。ガソリンの押し下げ寄与は、日本政府による燃料油価格激変緩和措置により、小売価格の上昇が抑制されていることが背景と言える。

 先行きについては、輸入コスト上昇の影響が時間差を伴って消費者物価に反映されることから、22年11月にかけてコアCPIは前年同月比上昇の加速が続くと野村では予測している。同指数の減速感が目立ち始めるのは、23年入り後になるとみている。

(経済調査部 伊藤 勇輝)

※野村週報 2022年8月29日号「経済データを読む」より

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