野村證券では、3ヶ月ごとに個人投資家向けにアンケート調査を実施しています。 『ノムラ個人投資家サーベイ』は、野村證券が個人投資家に対して、投資動向の把握と情報提供を目的に定期的にアンケート調査を行い、その調査結果をまとめたものです。

 10月4日の政府税制調査会で、個人の資産運用を支援する税制優遇制度「NISA(少額投資非課税制度)」の拡充が議論されました。「NISA」は株式や投資信託などへの投資利益や配当金が非課税となる制度です。金融庁は制度の抜本的な刷新を検討し、来年度の税制改正要望で、制度の恒久化や非課税限度額の拡大などを求めています。制度の恒久化については、これまで4度見送られており、5度目となる今回の要望で果たして変わるのでしょうか。

  『ノムラ個人投資家サーベイ』 (2022年9月) では、 投資上限引き上げや各制度の恒久化が求められるNISAについて個人投資家にたずねました。利用状況についての質問では、「NISAを利用して投資したことがない」の回答が最も多く、回答者の35.8%を占めました。ついで「ほぼ毎年、主に一般NISAを利用して投資している」が32.6%でしたが、合わせると64.2%は、NISAを利用して投資経験があるという結果となりました。

NISAの利用状況

(図表1)  NISAの利用状況

(注)質問は「金融庁は2023年度の税制改正要望で、NISA(少額投資非課税制度)の投資上限引き上げや各制度の恒久化を求めます。現在は、一般NISAの上限が年間120万円で5年間、つみたてNISAの上限が年間40万円で20年間(一般NISAとつみたてNISAとのうち、片方のみが利用可能)です。あなたはこれまでにNISAを利用したことがありますか。(ひとつだけ)」

 次に、NISAを利用して投資したことがない回答者に、その理由をたずねました。「制度がわかりにくい」の回答が最も多く、40.2%を占めました。

(図表2) NISAを利用しない理由

(注) 質問は「「NISAを利用して投資したことがない」とお答えの方にお伺いします。NISAを利用したことがない理由として最もあてはまるものをお知らせください。(ひとつだけ)」

 最後に、NISAで制度改正が行われた場合の投資行動の変化についてたずねました。「一般NISAのみ投資金額を増やす」の回答が最も多く、28.7%を占めました。ついで「NISAを利用しない」の回答が28.5%を占めました。

投資行動はどう変わるのか?

(図表3) NISA制度改正後の投資行動

(注) 質問は「日本証券業協会は7月に、NISAの非課税枠の拡充や制度の恒久化などの提言を行いました。提言では「一般NISAは年間240万円、つみたてNISAは年間60万円、一般NISAとつみたてNISAで併用可能」といった案が挙げられています。仮にこのような制度改正が行われた場合、あなたの投資行動はどう変化しますか(ひとつだけ)」

 5月31日にまとめられた「新しい資本主義のグランドデザインおよび実行計画(案)」について、岸田首相は同日、年末までに総合的な「資産所得倍増プラン」を策定することを表明しました。具体策としてはNISAの抜本的改革が言及されています。NISAが拡充すれば、将来的には日銀がETFを売却する際の、潜在的な買い手になり得るという考え方もあります。野村證券の池田チーフ・ストラテジストによると、岸田首相の政策において、NISAは今年1-6月に一般・積み立て合計で2.3兆円の新規買付があったと試算されています。

 賃金の伸び悩みや急激なインフレ、老後資金への不安など、お金に対する悩みがつきない中、若い世代を中心に投資や資産形成に対する関心が高まっています。NISAの抜本的拡充が、果たして貯蓄から投資への流れを変えるきっかけとなるのか。金融庁の5度目の要望をふまえた政府全体の対応に注目が集まっています。

『ノムラ個人投資家サーベイ(Nomura Individual Investor Survey)』(2022年9月)
野村證券が、日本株式市場における主要な投資主体である個人投資家に対し、その投資動向の把握と情報提供を目的として定期的にアンケート調査を行い、その調査結果をまとめたもので、2006年4月より公表しています。
・調査方式 : 野村インベスター・リレーションズ(株)による『ネットモニターアンケート調査』を利用した、インターネットでのアンケートの配信及び返信。
・調査対象 : 株式投資経験のある個人投資家モニター約24,000名の中から無作為に3,000名を抽出しアンケートを送信。
・回答数 : 1,000件(有効回答数が1,000件に達した時点で締め切り)。
・調査期間 : 22年9月5日(アンケート配信日)~9月6日(回答締切日)。

※次回の『ノムラ個人投資家サーベイ』(2022年12月)は12月15日(木)の発表を予定しています。

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ご投資にあたっての注意点