2022年9月(9月5日~30日、以下同)の主な投資部門別の売買動向を現物と先物の合計で概観すると、海外投資家や都銀・地銀等などが売り越し、個人投資家、信託銀行、事業法人などが買い越した。

 海外投資家は現物と先物の合計で3兆521億円を売り越した。売り越しの中心は先物で2兆2,236億円を売り越した。6月第5週から8月第3週にかけて先物を2兆7,835億円買い越しており、ポジション解消売りが発生しやすい需給環境であった。その中で、米FOMC(連邦公開市場委員会)で市場予想を上回る利上げ見通しが示されたことや、英トラス政権の大幅減税・国債増発計画発表で英国債利回りが急騰するなど、金融市場が不安定になったことが、ポジション解消売りにつながったとみられる。

 個人投資家は1 兆2,179億円を買い越した。買い越し額の大きさは18年10月(1兆2,612億円)以来であった。9月第2週から第4週の買い越し額が1兆4,515億円と大きかった。この間にTOPIX(東証株価指数)が6.6%下落しており、押し目買いが入ったと見られる。

 信託銀行は8,010億円を買い越し、4カ月ぶりに買い越しに転じた。特に9月第4週の先物買い越し額が8,656億円と大きかった。これは、配当権利落ちに絡むパッシブファンドの先物買いが背景と見られる。

 事業法人は現物と先物の合計で6,406億円を買い越した。9月第2週の買い越し額が4,609億円と大きかった。NTTが3,603億円の自己株式を取得した。

(市場戦略リサーチ部 藤 直也)

※野村週報 2022年10月17日号「株式需給」より

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