
NYダウは、年初から9月末にかけて軟調な相場展開が続いていましたが、10月後半から反発の動きを見せ始めています。NYダウの10月月間上昇率は14%となり、1976年1月以来、約47年ぶりの高水準を記録しました。FRB(米連邦準備理事会)はタカ派スタンス(景気よりも物価抑制を重視)を崩しておらず、10年物国債利回りも4%乗せが定着しつつあるものの、インフレのピークアウトを探る動きや利上げペース減速への期待が、株式市場を下支えする構図となってきているようです。
日次チャート面(下図)では、NYダウは足元で200日移動平均線の前後の水準まで値を戻してきました。200日線は、2022年2月、3月、4月、8月と、4度も戻りの上値を抑えられた水準です。今後、同水準の上抜けが明確となれば、弱気相場が終了した最初の確認シグナルと捉えることができるでしょう。
中期的な観点からは、その先の「強気相場入り」のポイントが注目されます。下図は、NYダウと75日・200日移動平均線の2008年以降の日次チャートです。①~⑥は75日線と200日線のゴールデン・クロスが示現した箇所を示しています。ゴールデン・クロスとは、短期の移動平均線が長期の移動平均線を下から上に抜く現象のことで、チャートの世界では典型的な強気シグナルとされています。
NYダウの75日・200日線のゴールデン・クロスは2008年以降では合計6回示現しており、最近では2020年8月に示現しています。①~⑥の局面において、ゴールデン・クロス示現日の終値から、次のデッド・クロス(※)示現までに付けた最高値までの株価上昇率と上昇期間を調べると、平均で30.4%上昇、上昇期間は18.4ヶ月(約1年半)でした。サンプル数は多くはありませんが、ここまでテクニカル指標に付き物のいわゆる「ダマシ」もなく、信頼性の高いシグナルと言えます。
11月4日現在、NYダウの75日線と200日線には約1,000ドルの開きがあり、7回目のゴールデン・クロスが示現するにはしばらく時間がかかりそうです。ただ、足元で75日線は下げ止まってきており、その差は徐々に縮小しています。過去の事例に従えば、仮にゴールデン・クロスが実現した場合(早くても年明け1月頃になりそうですが)、4万ドル超えを視野に入れる上昇相場がスタートしている可能性があると考えられます。
※デッド・クロスとは、短期の移動平均線が長期の移動平均線を上から下に抜く現象のことで、典型的な弱気シグナルとされています。
テクニカル分析は過去の株価・為替等の値動きを分析・表現したものであり、将来の動きを保証するものではありません。また、記載されている内容は一般的に認識されている見方について記したものですが、チャートの見方には解釈の違いもあります。
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