
2022年10月(10月3日~28日、以下同)の主な投資部門別の売買動向を現物と先物の合計で概観すると、信託銀行、事業法人、海外投資家が買い越した。売り越した投資部門は、個人投資家や証券自己などであった。
海外投資家は現物と先物の合計で3,134億円を買い越した。うち、現物を1,464億円買い越した。第1週の買い越し額が4,035億円と大きかった。海外投資家は10月第1週に現物を買い越しやすい傾向がある。先物は1,670億円を買い越した。9月には2兆2,236億円を売り越したが、10月時点ではポジション(建玉)解消売りが一巡したと見られ、買い越しに転じた。
信託銀行は4,560億円を買い越した。9月第4週にかけて株価が下落したことで、年金基金がリバランス(投資配分の調整)買いを行ったと見られる。事業法人は4,385億円を買い越した。買い越し額は10月としては05年10月(4,521億円)以来となった。引き続き自社株買いが活発に行われていると見られる。
個人投資家は6,087億円を売り越した。TOPIX(東証株価指数)が前週比3.9%上昇した10月第1週の売り越し額が6,845億円と大きかった。株価上昇を受けた利益確定売りが行われたと見られる。
証券自己は4,593億円を売り越した。当月は、信託銀行、事業法人、海外投資家といった主要な投資部門が現物を買い越した。構造的に証券自己が売り越しに転じやすい状況であった。

(市場戦略リサーチ部 藤 直也)
※野村週報 2022年11月14日号「株式需給」より