2022年は主要先進国のインフレがここまで進むとは、当初殆ど想定されていませんでした。米国でFRB(連邦準備理事会)は年央に利上げを加速し、政策金利は事実上のゼロ金利から年末には4.5%近くに急上昇しました。日本でも金利上昇圧力がかかり、日銀は昨年12月の会合で10年国債利回りの許容変動幅の上限を0.25%から0.50%に引き上げました。

 2023年は、株式市場の下押し圧力となっていた、金融引き締めが収束に向かう年になるでしょう。一方、米欧を中心に、景気の減速が強まっています。また、リスクとしてはインフレ沈静化が想定よりも進まず、金融引き締めが長期化するケースが挙げられます。主要国の景況感は悪化に傾く一方、米国では賃金の上昇率が高止まりしており、人件費の影響を受けやすいサービス価格は上昇し続けています。

 シナリオ別に株式市場は異なる動きとなるでしょう。米国では金利先物の状況から、年央にかけて利上げが終了すると市場で予想されています。インフレ沈静化により金融引き締めの終了から景気悪化懸念に歯止めがかかり、その先で利下げが意識されるならば、株式市場の更なる追い風です。年を通して業績回復に目線が向かえば、業績相場に戻るとみられます。

 一方、消費を中心に需要が堅調のまま、インフレが続く場合は、景気の過熱を抑えるため、利上げは続かざるを得ません。その際は、その後に景気悪化を迎えたとしても業績への信頼感の高い、連続増配企業が相対的に優位とみます。供給制約によりインフレが続く場合は、その供給制約にとらわれない業種の成長企業が相対的に優位になり得ますが、利上げによる景気引き締めが強すぎる場合、業績悪化を伴い、株価は更なる調整を余儀なくされると考えられます。

 日本についても、インフレが落ち着き、金融緩和が続く下で企業の挽回生産から、株式市場は業績相場に戻るとみます。しかし、インフレが続き金融緩和の修正期待が高まる場合は、金利上昇による円高から株価が下落するようなリスクが想定されます。

 国際的に、エネルギー価格やサプライチェーンの混乱は落ち着いています。これまでの主要国の利上げが功を奏すことによるインフレの沈静化がメインシナリオですが、2022年は予想外の景気動向となっただけに、2023年も市場を柔軟に見極める必要があるでしょう

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