主要企業の2022年10-12月期決算発表が終了し、年明け後の重要イベントであった次期日銀総裁・副総裁人事に関しても、株式市場は一旦織り込んだようです。3月に入ると、日経平均株価は1月下旬から戻りの上値を抑えられてきた27,000円台の壁を突破し、昨年12月中旬以来となる28,000円台を回復しました。TOPIXも約3ヶ月半ぶりに2,000ポイントの大台を回復するなど、日本株が久しぶりに動意を見せ始めています。

今回は、日経平均株価の1980年以降の長期月足チャートから、中長期の視点で日本株の動きを捉えてみましょう。重要なポイントは以下3点です。1つ目のポイントは、1989年12月高値形成後の長期下落相場における主要な戻り高値を結ぶ下降トレンドライン(図表:赤実線)を2015年に上放れ、強気シグナルが点灯したことです(図表①)。2つ目のポイントは、10年移動平均線が20年線や30年線を上抜くゴールデン・クロスという強気シグナルが2018年以降に次々と点灯したことです(図表②)。3つ目のポイントは、足元でいわゆる「パーフェクトオーダー」という状態を達成したことです。パーフェクトオーダーとは、複数の移動平均線が上から短期・中期・長期の順に並び、移動平均線の向きが全て上向きとなっているチャートの状態のことで、強気確認のシグナルとされます(図表③)。

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図表③のシグナルに改めて注目してみましょう。2023年3月に入って、日経平均株価の月足チャート上では、20年線が30年線を下から上抜くゴールデン・クロスが示現しました(厳密には3月末で確定)。この結果、上向きの5年・10年・20年・30年移動平均線が上から順番に並び、強気状態にあることを示すパーフェクトオーダーが示現しています。なお、仮に3月中に日経平均株価が大きく下落した場合でも、3月末時点で21,550円以上であれば、20年線が30年線を上抜けた状態を維持することができます。パーフェクトオーダーの示現が先送りとなることは無さそうです。

換言すれば、このタイミングでのパーフェクトオーダー示現は、2021年9月以降の株価調整が日柄面でも十分に進展したことを明示する現象とも言えるでしょう。まずは3万円の大台を軽く奪回、といきたいですね。

テクニカル分析は過去の株価・為替等の値動きを分析・表現したものであり、将来の動きを保証するものではありません。また、記載されている内容は一般的に認識されている見方について記したものですが、チャートの見方には解釈の違いもあります。

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