海外市場の振り返り

スイス大手銀行に対して、スイス国立銀行が最大500億スイスフランの流動性を供給すると発表し、欧州株式市場は反発しました。この流れの中で、米財務省、FRB(米連邦準備理事会)、FDIC(米連邦預金保険公社)、OCC(米通貨監督庁)が、株価が急落していた米中堅銀行に対し米大手金融機関11社が計300億ドルの預金を預け入れると発表したことを好感し、NYダウ、S&P500指数、ナスダック総合指数は揃って反発しました。

相場の注目点

昨日、ECB(欧州中央銀行)は0.5%ポイントの大幅利上げを決定しました。欧米の銀行の経営不安が懸念される中でもインフレ対応を優先させる意思表示です。当面の注目点は、3月21-22日に開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)です。米中堅銀行の破綻を受けてFFレート先物市場では、市場予想のFFレートが大幅に下方シフトし、今年の後半から利下げを織り込み始めています。FFレートの確率を分析するツールであるCME FedWatch Toolによれば、3月FOMCにおいては据え置きが20.3%、0.25%ポイントが79.7%、0.50%ポイントは0.0%となっています。

最大の注目点は「金融システミックリスク」に発展するかという点です。結論としては、その事態に至る可能性は低いと思われます。破綻の主因は、負債(主として預金)と資産の期間のミスマッチです。資産の多くを償還まで10年以上の長期債に投資していたため、損失が拡大しました。こうした状況にある銀行は限定的と見られ、固有問題と言えるでしょう。一方、グローバルなシステム上重要な銀行、いわゆるG-SIBsの財務構造は安定しており、概ね資本も十分に備わっていますので、特に短期金融市場で資金が目詰まりするリスクは限定的と見られます。

(投資情報部  佐々木 文之 )

(注)データは日本時間2023年3月17日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。

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