来週の注目点:3月FOMC:ドットチャート、銀行破綻の評価に注目

金利上昇による保有債券の損失拡大を主因として米国の中堅銀行が破綻しました。米国では雇用が堅調でサービス業を中心にインフレ圧力が強く、経済指標は予想以上の堅調さを示し、利上げ期待が強まっていました。そんな中、金融機関の信用不安が急速に高まり、3月FOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げ期待は一時急速に低下しました。また、経営不振であったスイス大手銀行に対し、筆頭株主が追加支援は行わないと発言したことによりグローバルな金融システムへの懸念が拡大しました。21(火)~22日(水)のFOMCでは利上げ幅、FOMCメンバーによる経済見通し、政策金利の予想(ドットチャート)に加えて、今般の中堅銀行の破綻の評価に注目が集まります。

経済指標は、米国では21日(火)に2月中古住宅販売件数、23日(木)に2月新築住宅販売件数、24日(金)に2月耐久財受注、3月S&PグローバルPMI速報値が発表されます。金利動向に敏感な住宅市場の動向や、銀行問題の景況感への影響が注目されます。

日本では、24日(金)に2月全国消費者物価指数、3月auじぶん銀行PMI速報値が発表されます。インフレにピークアウトの兆しが見られる中、中国の景気回復期待などを背景に景況感が改善するか注目です。また、植田次期日銀総裁就任後の金融政策を想定する上でも重要な統計となります。

ユーロ圏では、21日(火)にドイツの3月ZEW景況感調査、24日(金)にユーロ圏の3月S&PグローバルPMI速報値が発表されます。インフレ高止まり、タカ派化姿勢を強めるECBによる利上げ継続期待がユーロ圏経済の下押し要因となっていますが、中国など外部環境の好転から景況感が改善する可能性があります。

他の国・地域では22日(水)にブラジル、23日(木)に英国とトルコで金融政策会合が開かれます。英国では2月金融政策会合でタカ派色(利上げに積極的)を弱め、その後インフレピークアウトの兆しが強まったこともあり、利上げ幅縮小が見込まれます。

(投資情報部 岩崎 晴弥)

(注)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2023年3月17日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。
(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成

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