来週の注目点:銀行セクターに対する懸念がマインドへ及ぼす影響に注目

21-22日に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)は、大方の予想通り0.25%ポイントの利上げを決定しました。米銀破綻を巡る金融システム不安が燻る中、パウエルFRB議長は利上げに対して慎重な姿勢を示しつつも、労働市場や物価の指標が「想定以上に強かった」ことを利上げ継続の一因としています。金融システムが全体として安定を維持する中では、FRBは今後もインフレ抑制に重きを置くものと予想されます。銀行破綻が金融システム全体に波及するリスクは低いと見られますが、金融環境の引き締まりが経済活動・労働需給・インフレ圧力を緩和し、利下げ開始を早めるなど金融政策に影響する可能性があります。今後は景況感、インフレ、賃金等の経済データに加え、足元の信用・金融環境にも目配せが必要です。

米国の経済指標では、28日(火)に3月コンファレンスボード消費者信頼感指数、31日(金)に2月個人消費支出・所得統計、3月シカゴ購買部協会PMIが発表されます。足元の消費、インフレや賃金等の指標に注目が集まります。

日本では、31日(金)に2月鉱工業生産が発表されます。個人消費を中心とした国内需要の底堅さ、ゼロコロナ政策の解除に伴う中国向け輸出の持ち直しが見込まれる一方、欧米の景気減速に伴う輸出の低迷が生産を下押しすると考えられます。

ユーロ圏では、27日(月)にドイツの3月Ifo企業景況感指数が発表されます。インフレ圧力の継続に加え、銀行セクターを巡る混乱が景況感を下押しすると見られます。31日(金)にはユーロ圏の3月消費者物価指数(HICP)が発表されます。賃金の高い伸びを伴ってコアインフレ率の高止まりが継続するか、注目されます。

中国では31日(金)に3月政府版PMIが発表されます。ゼロコロナ政策の撤廃による景気回復の勢いは3月も継続すると見られます。

(投資情報部 坪川 一浩)

(注)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2023年3月24日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。
(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成

【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら

業種分類、Nomura21 Globalについて

ご投資にあたっての注意点