FRBが市場とのコミュニケーションで示すドットチャート

FRB(米連邦準備理事会)は定例で年8回FOMC(米連邦公開市場委員会)を開催し、3月、6月、9月、12月のFOMC後に経済見通しを公表します。その中で、FOMC参加メンバーの政策金利見通しをそれぞれドット(点)で示し、散布図として示したドットチャートは、今後の利上げ・利下げ幅や回数を検討する上でも重要視されています。見通し期間は2~3年先に加え、長期(Longer run)となっています。

長期の見通しとは、FRBが目的とする雇用の最大化と物価の安定を達成するために適切な政策運営が行われ、経済への追加的なショックが無い場合に、最終的に収束してゆく水準として予想されたものになります。

2023年3月の政策金利見通しは引き続きインフレを警戒している可能性

金融機関の経営難報道が続く中で、2023年3月21-22日のFOMCでは、0.25%ポイントの利上げが決定されました。FRBは、金融システム・リスクへの対応と、インフレ抑制のための金融政策対応とを分けて考えているようです。政策金利見通しは、前回2022年12月の予想からほとんど変わっていませんが、この見通しの中央値を上回り、よりタカ派姿勢を示す(高い政策金利を予想する)参加者が複数いる点は、足元の一部金融機関の問題による金融システムのリスクよりも、インフレへの警戒を重視する姿勢が示されているのかもしれません。

(野村證券投資情報部 小髙 貴久)

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