NYダウ、悪材料をこなし復調気配

金融不安による動揺は一時的にとどまる

米中堅銀行の破綻に端を発した金融不安の広がりを受けて、3月中旬の株式市場は波乱の展開となりました。しかし、各国金融当局の迅速な対応により、株式市場の動揺は一時的なものにとどまり、金融など一部の業種を除いて、その後は復調の動きを見せています。NYダウは3月15日安値(31,429ドル)を底値として3月30日には32,800ドル台まで値を戻しており、直近の下落時に上値を抑えられた25日移動平均線を奪回しています(下図)。

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今年1月に中長期強気シグナルが点灯

既報の通り、今年1月12日に、NYダウは75日線が200日線を下から上抜くゴールデン・クロス(G.C.)が示現し、中長期の強気シグナルが点灯しました(下図)。リーマンショック以降では7回目です。過去にG.C.が示現した今回を除く6回の局面において、G.C.示現日の終値から次のデッド・クロス示現までに付けた最高値までの株価上昇率と上昇期間は、平均で30.4%上昇、上昇期間は18.4ヶ月(約1年半)でした。今回のケースにこの経験則を当てはめれば、仮に今後NYダウが30%上昇するとすれば、4万ドル超えを視野に入れた上昇相場がスタートしている可能性があると考えられます。

10%程度の押しは許容範囲

とはいえ、G.C.示現後のNYダウの値動きは、前述の金融不安の影響もあって冴えません。ただ、この程度の押しは許容範囲と言えそうです。前回(2020年8月)や前々回(2019年4月)の75日・200日線ゴールデン・クロス後にも、下落率で7~10%程度の押しを入れる動きがみられました(下図)。今回のケースでは、今年2月1日高値(34,334ドル)から3月15日安値(31,429ドル)までの下落率が8.5%、下落期間が30日となっており、直近過去2回の局面とほぼ同様のパターンを描いていると捉えられます。中長期の強気シグナルは引き続き点灯中と判断されます。

(注1)トレンドライン等には主観が入っておりますのでご留意ください。 (注2)日柄は両端を含む。
(出所)S&P ダウジョーンズ・インデックス社データより野村證券投資情報部作成

(投資情報部 山内 正一郎)

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