
更なる水際対策の緩和により、期待が高まる中国インバウンド需要
今後のインバウンド本格回復の鍵を握る中国からの訪日客の動向
日本政府は、2022年10月から入国者数の上限を撤廃するなど、水際対策の緩和を行いました。訪日外国人客数は着実に増加していますが、増加ペースは徐々に落ち着いています。こうした中、今後のインバウンド本格回復の鍵を握るのが、中国からの訪日客数の回復動向です。中国からの訪日客数は、2019年時点で訪日客の約3割を占めていましたが、2023年2月時点では3.6万人と、コロナ禍前の5%程度までしか回復していません。2023年3月1日から日本政府が一段と水際対策を緩和したことで、現在、中国政府が試験的に解禁している団体旅行の対象国に、日本が追加される可能性があります。

中国からの訪日客によるモノ消費に期待
2019年時点で中国からの訪日客1人当たり消費額は、他の国に比べて7万円程度多く、特に買物代で大きな差があります。品目別にみると、化粧品・香水や靴・鞄・革製品、医薬品等の占めるシェアが高くなっています。中国からの訪日客回復による恩恵は、飲食業やサービス業以外に小売業(百貨店やドラッグストアなど)で大きくなりそうです。特に足元で元に対する円の減価が進んでいることも、中国からの訪日客の財消費を後押しすると、期待されます。

(野村證券投資情報部 澤田 麻希)