来週の注目点:米国の重要経済統計で減速の度合いを確認

欧米の金融機関への過度な不安は後退していますが、金融機関は慎重姿勢を維持しており、貸出姿勢の厳格化が米国の景況感を下押ししています。また、前週発表された3月の民間企業雇用者数や求人件数が市場予想を大きく下回り、労働需給の緩和がインフレ沈静化への期待を高めると同時に景気減速懸念につながり、米長期金利は大幅に低下しました。従来は景気減速懸念に伴う米長期金利の低下は株価の支援材料と見られていましたが、足元では経済指標の悪化は悪材料と認識され、株式相場を下押しする展開です。

米国では、12日(水)に3月消費者物価指数、3月FOMC(米連邦公開市場委員会)議事録公開、13日(木)に3月生産者物価指数、14日(金)に3月小売売上高、3月鉱工業生産、4月ミシガン大学消費者マインド(速報値)などの重要統計が発表されます。足元の景況感、インフレや賃金等の経済指標と、金融不安の影響を踏まえたFOMCでの議論内容に注目が集まります。

中国では13日(木)に3月貿易統計が発表されます。欧米の景気減速に伴って輸出や輸入が減速した場合には、中国景気を下押しする可能性が意識されます。

日本では、9日(日)に統一地方選挙が実施され、日銀総裁に元日銀審議委員の植田和男氏が就任します。4月末の金融政策決定会合でイールドカーブコントロール(YCC)の修正に動くとの見方もあり、新体制の言動に注目が集まります。また、12日(水)には2月機械受注が発表されます。中国の経済活動の正常化が製造業の設備投資計画に追い風になると見込まれます。

(投資情報部 坪川 一浩)

(注)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2023年4月7日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。
(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成

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