2月鉱工業生産から見た製造業の動向

2月速報値は前月比+4.5%

鉱工業指数は、日本の製造業の生産活動を示します。2023年2月の結果は、生産が前月比+4.5%と市場予想の同+2.7%を大きく上回りました。しかし、下図に示した生産水準は、2ヶ月ぶりに上昇した一方、2022年12月の生産水準を回復するまでには至らず、経済産業省による生産の基調判断は4ヶ月連続で「弱含み」となりました。

出荷は、前月比+3.6%と、6ヶ月ぶりに上昇しました。業種別では、自動車工業や生産用機械工業など外需比率が高く、1月に低下した業種が中心となって上昇しました。また、在庫は前月比+1.4%と3ヶ月ぶりに上昇しました。自動車工業において、普通乗用車や普通トラックの在庫増加が目立ったほか、汎用・業務用機械工業でエンジンの部材となる汎用内燃機関などの在庫増加が寄与しました。

2月速報値の業種別前月比

2月の鉱工業生産を業種別で見ると、15業種中9業種が前月に比べて上昇しました。

上昇率の大きかった業種では、自動車工業は前月比+15.4%と2ヶ月ぶりに増加しました。中国・春節(旧正月)が明けたことによる反動や、半導体など部材供給不足の影響が緩和したことが要因とみられ、1月分の低下(同-10.1%)を大きく上回る上昇率となり、生産指数全体の押し上げに寄与しました。

加えて、生産用機械工業では、半導体製造装置やショベル系掘削機械などの生産増加により前月比+9.2%となりました。電子部品・デバイス工業では、メモリ半導体の生産が前月に比べ、大幅に増加したことが寄与し、前月比+7.1%と3ヶ月ぶりに増加しました。

他方、化学工業は、前月比-11.8%となりました。乳液・化粧水類などの非耐久消費財の生産低下が下押し要因となりました。

実現率は-2.0%、予測修正率は-0.5%

生産活動の修正傾向を示す実現率と予測修正率から生産増/生産減の趨勢を確認します。2023年2月の実現率は-2.0%、2023年3月の予測修正率は-0.5%となりました。3月調査では、実現率が前月に比べ低下幅を縮小したことに加え、予測修正率の下方修正幅も2021年4月以来の水準まで改善しました。これは、事前に掲げた生産計画が下振れする傾向に歯止めが掛かりつつある示唆とみられます。

鉱工業生産の生産予測では、生産全体は増産傾向になる見通しが示されています。業種別では、自動車を含む輸送機械が3月に前月比+4.6%、4月に同+5.8%となる見通しです。また、生産用機械も3月が同+8.4%、4月が同+6.8%となる見通しで、これらの業種が供給制約の後退などを背景に、生産の持ち直しをけん引すると期待されます。一方、電子部品・デバイスは、エレクトロニクス製品への需要の伸び悩みなどから、3月が同-9.4%となる見通しで、本格的な生産回復には、時間を要すると考えられます。

日銀短観における設備投資計画の動向

生産用機械の持ち直しは、2023年3月日銀短観の設備投資計画(含む土地投資)からも確認できます。日本銀行が行うこの設備投資に関する調査は、その年度の投資計画を四半期ごとに追跡調査しているため、企業の設備投資意欲を把握することができます。

3月調査で発表された2023年度の全規模全産業の設備投資計画は、前年度比+3.9%となりました。例年、3月調査の段階では、翌年度見通しが不確定なため、慎重な計画が示されマイナス圏になる傾向があります。今回は、設備投資意欲の高さを示唆する結果となりました。これは、経済正常化期待に加えて、地政学リスクや経済安全保障への対応のためにサプライチェーン強化を進める動きも要因になっていると見られ、生産用機械に対して追い風になると期待できます。

(投資情報部 金井 一宜)

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