政治情勢が日銀の政策決定に影響するとの見方が浮上

4月23日に投開票となる衆参5つの補欠選挙の結果、自民党の強さが確認された場合、岸田首相が6~7月の早期解散・総選挙に打って出るという見方が出てきました。日本経済新聞は、「国政選挙の直前は動きにくくなる」として日本銀行の6月会合(15~16日)への影響を論じました。当面、「岸田首相の支持率上昇=日銀の正常化戦略を遅らせる=円安・株高材料」という市場の解釈があり得ます。

植田総裁による早期YCC解除の可能性

しかし、野村證券では4月にイールドカーブ・コントロール(YCC)の修正・撤廃説が再浮上する可能性に注目しています。日銀が4月会合で動くことのメリットとして以下の6点が挙げられます。

(1) 国内政治情勢による制約を受けにくい。
(2) 政府は「春闘における高い賃上げ率の実現」、「コロナ禍からの脱却」という2つの成果をアピールしており、日銀も「正常化」の同意を得やすい。
(3) 多少の円高は「インフレ抑制」の観点により、現在は国民の反発を招きにくい。
(4) 5月FOMC(米連邦公開市場委員会)で最後の利上げが有力視されており、「日銀も同じ方向」を打ち出す最後のチャンスになる。
(5) 植田総裁にとっては最初の会合であり、「過去の説明との矛盾」を問われにくい。
(6) 予告をしないことで投機筋に付け入る隙を与えずに済む。

引き続きディフェンシブ株を優先

日本株の投資戦略としては、引き続きディフェンシブ株を優先します。3月の実質輸出も前月比小幅マイナスが見込まれるなど業績モメンタム(勢い)は依然、悪化方向にあるでしょう。企業のガイダンス(見通し)リスクに加え、ドル安・円高を通じた輸出株への下押しにも警戒が必要です。銘柄選定の観点では「中計の発表が予想される、PBR1倍割れ、自社株買い実績あり」の組み合わせに注目します(参考:【野村の投資判断】中期経営計画では「PBR1倍割れ」と「自社株買い」に注目)。

(FINTOS!編集部)

要約編集元アナリストレポート「日本株ストラテジー – 注目点とトピック(2023年4月13日)(4月13日配信)」(プレミアム会員限定配信)

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