結論:主要国の金融引き締めが終了する中で景気と企業業績への信頼感が回復し、株価の復調色が強まるだろう

目次
・インフレ低下の明確化に注目
・インフレが落ち着けばFRBは金融緩和へ
・テクノロジー企業の業績改善が先行するとみる
・中国景気の好転
・日本の景気復調要因は豊富
・日本企業は増益が続く
・投資戦略

インフレ低下の明確化に注目

米欧銀行問題は、金融当局の迅速な対応により、金融市場の混乱は殆ど起きませんでした。市場の注目はファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)に戻り、米国の利上げや企業業績への注目度が高まっています。FRBのインフレ抑制に向けた金融引き締め姿勢と、市場の年内利下げ観測とのギャップにより、金利観の差が修正される過程でボラティリティー(変動率)が高まる場面もあるでしょう。米国利上げの終了は大きな転換点となり、インフレの低下が確認され、企業業績の底打ちが視野に入れば、株価の復調は明確になるとみられます

インフレが落ち着けばFRBは金融緩和へ

主要国の景況感は、非製造業を中心に堅調です。欧米銀行の経営難による市場リスクは沈静化していますが、貸出し姿勢の厳格化など、景気抑制効果が強まる可能性があります。米国では小売売上高の伸びは減速していますが、先に大幅に悪化していた住宅市況は底打ち感を示唆する指標も見え始めています。時間当たり賃金の伸びの鈍化など、インフレ減速を示唆する指標は増えています。粘り強いサービス価格の減速には時間がかかるとみられますが、インフレが落ち着けば金融緩和への期待が浮上し、株式市場の追い風になるとみられます

テクノロジー企業の業績改善が先行するとみる

連邦政府債務の上限引き上げについては、与野党の政策主張の対立が続き、期限近くまで合意に至らず、一時的に市場リスクが高まる可能性はあります。企業業績は2023年1-3月期が大底との見方は変わりません。先んじてリストラを行ったテクノロジー企業の業績改善が先行するとみられ、FRBの金融緩和への転換が視野に入れば、株式市場が復調に転じる際に上昇銘柄の中心になるとみられます

中国景気の好転

ユーロ圏のインフレ圧力は米国よりも強いため、ECBは複数回の利上げを続けざるを得ない状況です。中国はゼロコロナ政策終了に伴う経済活動の再開が加速しています。製造業の受注や小売売上高、輸出など、様々なマクロ経済指標が好転しています。欧米主要先進国との政治的な摩擦が強まっていますが、経済活動への影響は現時点で大きくないようです。

日本の景気復調要因は豊富

日本の輸出は資源価格の下落により交易条件が好転しており、輸出採算は改善してきています。挽回生産の本格化はすそ野の広い自動車産業で明確になっています。企業の設備・ソフトウエア投資意欲は強く、インバウンド需要の拡大も見込まれます。景気復調要因は数多くあります。一方、構造的な労働力不足に陥りつつあり、賃上げは大きな課題となっています。設備投資を含めた企業の業務効率化や生産性の拡大に向けた取り組みは避けられないでしょう。

日本企業は増益が続く

日本の消費者物価上昇率は、しばらく高止まりが続くとみられますが、日銀の植田新総裁は現在の大規模な金融緩和政策を続ける姿勢を明言しています。米ドル円相場は欧米銀行の問題が落ち着き、1米ドル=130円台前半での推移が続いています。企業業績は、景気の底堅さより2023年度も増益が続くとみられ、業績モメンタムの方向性に連動した株価の推移が見込まれます。野村證券は2023年末の日経平均株価の見通しを30,000円と予想します

投資戦略

投資戦略については、企業業績の下方修正が先行してきましたが、日米ともに業績は復調に転じ、米国を中心とする主要国の金融引き締めが終了する中で景気と企業業績への信頼感が回復し、株価の復調色が強まるとみます

(野村證券投資情報部 小髙 貴久)

※野村證券投資情報部「Nomura 21 Global 5月号」(発行日:2023年4月24日)「投資戦略の概要」より

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