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01/04 08:29
【モーニングFINTOS!】米国株下落、早期利下げ期待が後退(01/04)
海外市場の振り返り 3日の米国株式市場で、主要3指数は下落しました。朝方にリッチモンド連銀のバーキン総裁が、「ソフトランディングの可能性が高くなっている」と述べましたが、追加の利上げの可能性も排除しないとし、3月利下げ観測については「ほど遠い」と否定的な見方を示しました。これを受けて米10年国債利回りが上昇する中で、NY主要株価指数は下落して寄り付きました。現地時間10:00に発表された12月ISM製造業景気指数は47.4と市場予想の47.1を上回りましたが、好不況の分かれ目となる50を引き続き下回りました。14:00に公表された12月FOMC議事要旨では、全ての参加者が2024年内の利下げシナリオを示した経済見通しを「極めて不確実」と強調したうえで、経済状況によっては追加利上げもあり得ると指摘し、数人は「政策金利を据え置く期間は今の想定より長くなるかもしれない」とも述べていたことが明らかになりました。これを受け、株式市場ではFRBによる早期利下げ観測が後退し、主要3指数とも下げ幅を拡大させました。 相場の注目点 2024年も市場参加者の最大の関心は、主要国の金融政策に集まりそうです。米国、ユーロ圏では金融引き締めから金融緩和への転換が予想され、利下げ開始時期、利下げペース、政策金利の着地点が注目されます。一方で、日本に関しては金融政策の正常化が予想され、マイナス金利の解除とYCC(長短金利操作)政策の撤廃時期、その後の利上げの有無が注目点と予想されます。 (投資情報部 寺田 絢子) (注)データは日本時間2024年1月4日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ※画像はイメージです。 FINTOS!編集部オリジナル記事 【新春特集】イノベーション創出でS&P500指数は史上最高値更新へ(米国株式市場) 【新春特集】2024年政治イベント・リスクの注目点(内外政治) ご投資にあたっての注意点
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01/03 19:00
【新春特集】イノベーション創出でS&P500指数は史上最高値更新へ(米国株式市場)
米国経済に減速懸念はあるが、イノベーション創出で米企業業績は史上最高益更新へ金融引き締めは終了し、2024年央以降に金融緩和が見込まれる企業業績を反映し、S&P 500 指数は史上最高値更新へ 野村證券では、米国の実質GDP成長率は、2022年の前年比+1.9%に対し、2023年は同+2.4%と見込んでいますが、2024年は同+1.3%、2025年は同+0.4%と、成長率の鈍化を予想しています。2022年3月以降、インフレ抑制のためにFRB(米連邦準備理事会)は積極的な政策金利引き上げを行ってきました。このため米国の金融環境(金利や株価、社債スプレッド、米ドル相場などを加味したもの)は景気抑制的である可能性が高く、緩慢な信用引き締まりもあり、短期的に明らかな引き金となる要因は見えないものの、米国の実質GDP成長率は2024年後半に前期比年率でマイナス成長となる可能性が高いと予想しています。 一方、S&P 500 指数構成企業の業績動向をみると、四半期EPS(1株当たり利益)の前年同期比増減益率は2022年10-12月期以降、減益となっていました。しかし、直近の2023年7-9月期には前年同期比増益に転じました。そして、2023年10-12月期以降、増益基調となると予想されています。 次に、年度ベースでの企業業績動向をみてみます。2023年については、年前半が前年同期比減益だったこともあり、前年比微増益とほぼ横ばいが予想されています。しかし2024年以降は、1株当たり利益は拡大が予想され、2025年にかけて、史上最高益を更新していくと予想されています。 米国経済については、2024年は成長率鈍化が予想されるにも拘わらず、米国企業の業績拡大が予想される要因としては、米国には独自の技術力やビジネスモデルで新しい製品・サービスを投入し、業容を拡大している企業が多数あることが挙げられます。そのような企業のイノベーション創出力が、業績予想に織り込まれていることが大きいと推察されます。 これまで世の中になかったような新しい製品・サービスが普及すれば、そのような製品・サービスを提供する企業の売上高や利益は、米国の景気動向の影響を直接的には受けずに、拡大していくことになります。 加えて、米国にはグローバルに競争力を発揮している企業が多くみられます。米国以外でも製品・サービスが普及すれば、そのような製品・サービスを提供する企業の売上高や利益は、米国景気とは直接的には関係なく拡大していくことになります。 イノベーションの事例として、生成AIが挙げられます。現在は、大規模言語モデル等の開発のためのデータセンターやクラウドサービスなどへの投資が盛んに行われていますが、将来的には生成AIを搭載した各種デバイスが市場に投入され、AIを活用した新しいサービスが投入されると予想されます。今後、人々の働き方や生活のスタイルを大きく変えると予想される生成AIは、社会への普及は一朝一夕では無理で、今後何年もかけて普及していく、息の長いものになると予想されます。 2024年は、実質GDP成長率でみた米国景気は必ずしも力強くはないかもしれませんが、生成AIのような成長機会を捉えることができる情報技術企業などが、米企業業績をけん引していくと予想されます。 次に、米国の金融政策についてみてみたいと思います。2023年12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)では、大方の予想通り、3会合連続で政策金利は据え置かれました。12月FOMCで示されたFRBの今後の政策金利見通しでは、2024年は3回、2025年は4回、2026年は3回、利下げをする可能性が示されました。 野村證券では、今後のFRBの金融政策については、2024年は、6月FOMCで0.25%ポイントの予防的利下げを行い、7月FOMCでは据え置いて、9月から3会合連続で0.25%ポイントの利下げを行い、合計4回、利下げを行うと予想しています。2025年については、会合毎に0.25%ポイント幅で計8回利下げを行い、2025年末の政策金利は2.25-2.50%と予想しています。 上記のような米国経済の動向と、金融政策の方向から、米長期金利(米10年国債利回り)について野村證券では、2023年末予想の4.20%に対し、2024年末は3.45%、2025年末は3.35%と、今後低下していくと予想しています。 米企業業績は過去最高益を更新していくと予想される一方、米長期金利は今後低下していくと予想され、2024年にはS&P 500 指数は史上最高値を更新すると予想されます。 リスクとしては、インフレが予想以上に長期化することが挙げられます。米国のインフレは足元で鎮静化しつつありますが、一段の鎮静化に予想以上の時間がかかると、金融政策に影響を及ぼし、米長期金利も影響を受ける可能性があります。 留意点としては、2024年11月に行われる大統領選挙における議会の状況について注意が必要です。仮にバイデン大統領が再選されたとしても、上下両院で共和党が多数派を占める「ねじれ状態」となった場合、政権の政策遂行能力が低下する可能性があります。その場合、例えば、財政協議が難航し、政府機関が閉鎖される可能性が再び高まる、といった事態になることも考えられます。 (野村證券投資情報部 村山 誠) ※野村週報 2024年新春合併号 「米国株式市場」より ※こちらの記事は「野村週報 2024年新春合併号」発行時点の情報に基づいております。※掲載している画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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01/03 13:00
【新春特集】政策面では政治情勢の影響、日本は企業価値向上の実行に注目(ESG)
「気候変動対策のトリレンマ」に直面して脱炭素政策の加速は期待しにくい企業によるカーボンニュートラル目標への取り組みが脱炭素に貢献することを期待日本企業がROEの継続的な改善で企業価値向上に本格的に踏み出せるかに注目 2024年は様々な国、地域で選挙が行われる予定です。各国内の政治情勢が優先される結果、脱炭素への政策的後押しが弱まらないかには注意をしておく必要があります。 IMF(国際通貨基金)は、「気候変動対策はトリレンマ」、つまり気候目標の達成・財政の持続可能性・政治的実現可能性を全て同時に満たすことはできない、と指摘しています。脱炭素政策のために財政赤字を際限なく増大させるわけにもいかないし、その負担を家計に負わせ過ぎると政権基盤に影響しうる、といったことを考慮する必要がある、ということです。 既に欧米では家計負担への配慮を名目に、エンジン車の販売禁止時期を先送りしたり、電力料金引き上げ回避のため洋上風力発電への補助金積み増しを見送ったり、といった動きが出ています。こうした動きが選挙対策に関連して結果的に脱炭素への政策的な後押しを弱めることになるのではないか、と懸念されます。 とはいえ、異常気象やその被害が頻発する状況を前にして脱炭素政策自体が打ち切られるわけではない、ということはできるでしょう。 国際的な政治イベントとしては、2024年11月5日の米国大統領選挙が最も注目されます。米国では、民主党と共和党の政治的対立が、脱炭素と関連した反石油・ガス産業への立場や、所得格差など社会問題への考え方と絡み合う形で「反ESG」的な動きが政治情勢と連動しやすくなっています。 議会選挙も合わせた結果次第では米国の脱炭素政策への加速期待が失われるだけではなく、パリ協定からの脱退など国際的に脱炭素に向かう政治的な求心力が弱まることにもなりかねません。 欧州でも2024年6月にEU(欧州連合)議会選挙が予定されています。2023年11月のオランダ下院選挙で反EUを掲げる極右政党が第一党となりました。脱炭素政策とも関連する燃料費・光熱費の家計負担増加が一因とされています。オランダはEU内で環境政策の先陣を切ってきました。それだけに、今後反ESGの動きと連動してEU議会の勢力図が変わるようだとEUの政策運営に影響が出る可能性もあります。 またイギリスでは2024年内に総選挙が行われる可能性が高いとされています。スナク政権が脱炭素政策を修正して政権維持を図っていますが支持率低迷が続いており、今後の対応を含めて注意が必要です。 日本では、2024年に国政選挙の予定はありませんが、同年9月の自民党総裁任期をにらんで政局流動化リスクには注意が必要です。特に、日本が脱炭素政策を推進するにあたって、再生可能エネルギー(再エネ)発電比率が上昇してくるまでの間に化石燃料による火力発電の依存度を下げようとすると、現実的には原子力発電所の再稼働数を増やす必要があります。ただし、そのためには強力な政治的指導力が必要と考えられます。 一方、これまで太陽光および風力で再エネ導入を牽引してきた中国では、景気自体への懸念がある中で、過剰生産能力への懸念を一因に再エネ設備関連企業の業績悪化が指摘されています。財政赤字の問題などから再エネに限らず政策的なサポート余地が狭まっている点には注意しておきたいところです。 このように、各国の政策の追い風が強まることにはあまり期待できない状況ですが、多くの企業は2050年カーボンニュートラル目標を掲げています。そして、気候変動が企業活動に与えるリスクと機会、それらへの対処方針についての情報開示とその実行を求められています。水素関連やCCS(二酸化炭素の回収・貯留)関連などの新技術が実装され商業ベースに乗る見通しが高まるかどうか、という企業の貢献に注目して脱炭素の進展を見極める必要があります。 話題を日本企業に移します。2023年3月に東京証券取引所(東証)が上場企業に対して「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応等に関するお願い」(以下、「要請」)を行いました。この「要請」では、上場企業に自社の企業価値の向上を求め、向上策についての情報開示と実行を求めるものです。当初はPBR(株価純資産倍率)1倍割れの企業に対する要請と受け取られたこともあって、そうした企業の株主還元が一段と注目されました。 しかし、東証としては①「要請」を受けて企業価値向上策を開示する企業が依然として少ないこと、②PBR1倍が企業価値向上のゴールではないという考え方に基づいて、「要請」を受けて開示した企業のうち、PBR1倍超の企業の開示が相対的に少ないこと、に問題意識を持っているようです。2024年1月以降、向上策を発表した企業の開示事例や発表数を公表する方針で、積極的な開示を促しています。 こうした企業価値向上への方針の開示や実行を後押しするために機関投資家による企業への働きかけ(エンゲージメント)の重要性も高まると考えられます。 2023年には日本の機関投資家が、女性取締役比率や政策保有株の保有比率を基に取締役選任議案への賛否を決めるといった議決権行使基準を設定し、それが企業の対応を変化させました。この流れは今後も続き、2030年に3割という目標に向けて女性取締役の増加は続き、政策保有株の削減も続くでしょう。 こうした数値基準に比べるとPBRは株価次第という面もあって同列には扱いにくいです。しかし、例えば株価がPBR1倍割れとなっている企業が十分な改善策を策定しない場合、取締役選任議案に賛成しないといった議決権行使基準が検討され、設定されることもありうるため、企業の対応が促されることになるでしょう。 PBR1倍を超えてさらに企業価値を向上させていくためには株主還元に加えて利益をどのように上げていくかについての戦略が必要でしょう。そもそもPBRはROE(株主資本利益率)とPER(株価収益率)の掛け算です。足元の利益率であるROEが継続的に改善することによって先行きの期待を反映するとされるPERも上振れし、PBRが上昇すると整理できます。ところが、下図にある通り、過去10年ほどコーポレートガバナンスコードなどで企業価値の向上を要請されてきた日本企業は、全体としては株主還元を大きく増やしたもののROEの継続的な改善には至っていません。これではPBRの上昇は期待しにくいと言えるでしょう。 2024年に注目すべきは、ROEの継続的改善とその結果としての企業価値向上につながる、中長期的な経営方針を打ち出す企業が増加するかどうかでしょう。脱炭素やデジタル化などの事業機会を踏まえ、それぞれの強みを活かして利益を伸ばすのか、新たな挑戦をするのか、各企業の戦略がカギを握ります。そうした戦略が投資家の理解・後押しを得られれば、PBR上昇にもつながりやすくなると期待されます。 (野村證券エクイティ・リサーチ部 若生 寿一) ※野村週報 2024年新春合併号 「ESG」より ※こちらの記事は「野村週報 2024年新春合併号」発行時点の情報に基づいております。※掲載している画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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01/02 19:00
【新春特集】NISAで投資を始める人たちへ 第2回 日本政府の「本気度」は
野村ホールディングス ファイナンシャル・ウェルビーイング室SCO(シニア・コミュニケーションズ・オフィサー)の池上浩一が、NISA(少額投資非課税制度)や投資に関する疑問にお答えする本連載。2回目となる今回は、第1回でもお答えした「なぜ新NISAという制度がつくられたのか。国の狙いは何か」という疑問について、別の視点から説明します。 英国のビッグバンで、ロンドンが国際金融市場に 「なぜ新NISAという制度がつくられたのか。国の狙いは何か」という問いに対するもう1つの私の答えは 日本政府が国際金融センターの創出を目指しつつ、個人の金融資産を「貯蓄から投資へ」振り向けることを促しており、日本の経済が活力を取り戻す局面に入ったからです。 初めに、英国初の女性首相、マーガレット・サッチャー氏の「サッチャー革命」とも呼ばれる、英国証券取引所が実施した金融改革ビッグバン (Big Bang) について説明します。 19世紀に世界を支配した英国は20世紀に衰退局面を迎え、1970年代には経済政策が行き詰って「英国病」と呼ばれるほど経済状況は悪化しました。 1979年に首相に就任したサッチャー氏は「あらゆる産業の中で、最も多くの富を生み、最も多くの雇用を創出するのは金融業界ではないか」と考え、金融業界に英国の未来を託すそうと決断し、いくつもの「改革」を実行しました。 主な改革の内容は、 株式などの売買手数料の自由化取引所の会員権の開放による銀行資本の市場参加取引所集中義務の撤廃株式取引税の引き下げ株式売買にコンピュータを導入 など、当時としては画期的なものでした。 そして、ロンドンは世界最先端の金融都市の一つとなり、英国経済は復活を遂げました。 当時、英国の復活は「ウインブルドン現象」と呼ばれました。英国人の誇りの一つともいえるテニスの「ウインブルドン」は、世界四大大会の一つとして広く知られる存在です。 しかし、出場する強豪選手に英国人選手はあまりおらず、例年、外国人選手が多数を占めます。 金融ビッグバンは、米国系を中心とした外資系の金融機関が、時代遅れになりつつあった英国系金融機関を買収し、米国などからロンドンに最先端の金融人材が流入してきました。そして、ロンドンの金融市場は国際的な競争力を持つようになり、見事に発展を遂げたのです。 つまり、外資系企業と外国人労働者の活躍によって英国が復活したことから、テニスの大会になぞらえて「ウインブルドン現象」と呼ばれたのです。 日本版ビッグバンで改革が進展 そこで英国を範に取り、1996年から橋本龍太郎元首相が着手したのが、「フリー」(市場原理が働く自由な市場に)、「フェア」(透明で信頼できる市場に)、「グローバル」(国際的で時代を先取りする市場に)を改革の三原則とした「日本版金融ビッグバン」です。 日本版ビッグバンには、バブル崩壊などによって空洞化しつつあった日本の金融市場を、ニューヨークやロンドンと並ぶ国際市場へと地位を向上させ、日本経済を再生させる狙いがありました。 1997~1998年起こったアジア通貨危機やロシア危機によって、世界経済は混乱していましたが、日本版ビッグバンによって国内の金融システム改革は着実に進展。政府も「国内的には評価できる」と総括しています。 10年以上たった後に再び前に進みます。2012年12月の衆院選で自民党は選挙公約に「日本をアジアの金融・運用の中心地にすべく、企業の活力ある経済行動と国民資産を適切に運用できる公正な競争条件の確保かつ十分競争できる活発な金融資本市場を構築する。まずは金融セクターの対GDP比を英国並みの10%台に押し上げ、『業』としての金融を育成する」と宣言しました。 並行して「家計の安定的な資産形成の支援」と「企業への成長資金の供給」を目的として、2014年から英国のISA(Individual Saving Account)をモデルとした日本版ISA「NISA」が導入されました。 さらに、2014年12月の衆院選で自民党は重点政策に「金融・証券市場の活性化・資産運用市場の強化を図ること等により、国際金融センターとしての地位を確立して、アジアナンバーワンの金融・資本市場の構築を目指す」ことを掲げていました。今も政府は、東京と大阪、福岡の3都市を「国際金融都市」に発展させるとしています。 「国際金融都市」創出に向けた日本の本気度 国際金融都市には英語を話すことができる優秀な人材が不可欠です。そこで、2017年3月に法務省は、一定の要件を満たした研究者や技術者などの外国人の高度人材に対して、条件を満たせば最短1年の在留期間で永住ビザの許可を認めることができるよう、制度を改めました。 先進国では永住権(グリーンカード)取得に必要な在留期間は10年程度としているケースが多く、日本の制度改革の「本気度」がうかがえます。 法務省は永住権の付与について「ポイント制度」を導入しました。 外国人が大学院修士課程を卒業すると20点、博士課程を卒業すると30点、年収が1,000万円以上だと40点なので、博士課程を卒業して年収が1,000万円以上だと、30点+40点=70点となり、最短3年で永住権を得られます。さらに細かい条件により、5~10点が加算されます。そして、合計で80点以上になると最短の1年で永住権を得られます。(詳しくは、出入国在留管理庁のウェブサイトをご覧ください) 日本では少子高齢化や、経済の成熟化による人々の「ハングリー精神」の喪失で、経済成長率が低下する傾向にあります。私は海外から高度人材を受け入れるこの改革によって、日本が新たな時代へと移行するチャンスをつかむかもしれないと考えています。 日本が海外の人材を積極的に受け入れて金融業界などで活躍できるよう土壌を整えることを、世界の投資家たちは期待しているのではないでしょうか。 日本は米国に追いつけるか 上の図は、2023年3月時点の日本と米国の個人金融資産の構成を比較した図です。日本は依然として半分以上が現預金であるのに対し、米国は半分以上が有価証券となっています。 日本人の金融資産に現預金が多い理由について、日本に住む人が「投資は怖い」と感じ、消極的であるため、と説明されることもあります。 1980年頃、米国の家計の金融資産の現預金比率は2割程度でした。ただ、前述した通り、1985年のプラザ合意で米国政府は円高ドル安を日本政府に認めさせることで、輸出の多かった日本企業の国際競争力を弱めようとしました。しかし、ドル安が進んだ場合、米国に住んでいる人のドルの現預金が多いと、結果的に在住者の生活コスト上昇につながりかねません。 一方、米国は1978年に「確定拠出年金」(401K)を導入し、米国在住者が税のメリットを受けながら、現預金から有価証券へと投資をしやすくする制度を導入していました。さらに、1980年代から米国の小学校で金融教育が浸透し始めたようです。 私が米国の友人から聞いた話では、当時米国では「Get Rich Slowly」という言葉を合言葉にして金融教育が始まったそうです。「Slowly(ゆっくりと着実に)」「Get Rich(金融資産を増やして豊かになろう)」。そういった理念のもと、金融教育も浸透し、現在の米国では個人の金融資産の現預金比率は10%強にまで下がったのです。 日本の個人の金融資産は、米国に次ぐ世界2位の規模です。これは国にとっても大切な資産と言えます。そして、日本政府もNISAや企業型確定拠出年金、iDeCo(個人型確定拠出年金)などを導入し、株式や投資信託への投資に税メリットを与えることで、日本に住む人の「貯蓄から投資へ」の流れを作ろうとしています。 そして2022年度から高校の教育課程に金融・経済教育が導入されました。 国家が衰退局面を迎え、ドル安が進んだ時に米国が始めた政策を、少子高齢化や円安の進行などで経済力の低下が懸念される現在の日本が始めているのです。 私は数十年前に米国で起こったことが、日本でも同じように起こると私は期待しています。そして数十年後、日本の個人金融資産における有価証券の比率は、米国のように大きくなるとみています。 現預金から有価証券へのシフトが始まると、日本の企業や自治体にも資金が流入する可能性があります。これにより、日本経済の活性化につながるかもしれません。2024年からのNISAが、日本に住む人たちの未来を明るくすることを願ってやみません。 第3回に続く 【池上 浩一】野村ホールディングス株式会社ファイナンシャル・ウェルビーイング室SCO(シニア・コミュニケーションズ・オフィサー)。1979年野村證券株式会社入社、人事部に配属。英ロンドン大に留学後、海外投資顧問室、第一事業法人部、国際業務部を経て、法人開発部長やIR室長、グループ本部広報部長兼宣伝部長などを歴任。2011年から名古屋大客員教授も務める。2023年4月から現職。社内では、日本版金融ビッグバンの際に講演をしていたことから「ビッグバンおじいさん」と呼ばれて親しまれ、社内サイトでの連載コラムは約1000回を数える。 ※本稿は、2024年1月現在の情報に基づくものです。※掲載している画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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01/02 13:00
【新春特集】2024年相場大展望 – 米国株編 (解説:村山)
野村證券投資情報部 シニア・ストラテジストの村山誠が、2024年の米国株展望について解説します(約19分)。 ~ 講師紹介~ 村山 誠 1990年野村総合研究所入社、1998年に野村證券転籍。 エクイティアナリスト、クレジットアナリストとして勤務。11年6月より米国株ストラテジー担当。投資環境の分析、個別株の投資アイデアを提供。TV東京・モーニングサテライト出演中。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 休日の過ごし方・リラックス法:サイクリング(土日どちらか3時間)好きな食べ物・お酒:魚(とくに刺身)、カレー(欧風、インド共に)好きな言葉・心掛けている言葉:Enjoy your experience!(大変な課題でも良い経験とせよ) 留学した大学教授の言葉で、大変な仕事に直面した際に、乗り越えるために思い起こしてきました。長期休暇で行きたいところ:ポルトガル、長崎・宮崎好きな本:「欧洲経済史」(大塚久雄)、「Growth Theory」(Robert M. Solow) 高校生、大学生の時に読んで、その後の指針となった本。好きな大河ドラマ:秀吉、風林火山 ※動画の終盤に言及している、「アンケート」については、FINTOS!ではご回答いただけません。ご了承ください。 ご投資にあたっての注意点
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01/02 09:00
【新春特集】大規模金融緩和幕引きへの正念場(内外経済展望)
2024年は長らく続いた日本銀行による大規模金融緩和がようやく幕引きを迎えると予想海外金利が反落に向かう下での緩和解除は慎重に実施される可能性「賃金・物価の好循環形成」の確度は高まっているが実現には不確実性も残る 2024年は、日本において長らく続いた日本銀行による大規模金融緩和が、ようやく幕引きを迎える年となる可能性が高そうです。具体的には、24年1月の金融政策決定会合においてまずマイナス付利撤廃が決定され、同年4-6月期に長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、以下、YCC)が撤廃される、と野村では予想しています。 ただ、以下に指摘するような点から、大規模金融緩和の幕引きは決して容易なものではなく、上記の見通しの実現には、一定の不確実性も残ると考えています。 大規模金融緩和幕引きに向けた第一のハードルは、海外金利が反転下落に向かう可能性です。 22年以降、世界的なインフレ加速に対応して実施された米FRB(米連邦準備理事会)を中心とする海外主要中央銀行の急速な政策金利引き上げに反応し、市場金利も大幅に上昇しました。海外金利の上昇は、①内外金利差拡大が円安をもたらし日本の物価上昇率を押し上げる効果、②市場での裁定を通じ直接的に国内市場金利を押し上げ日銀による長短金利操作の継続を難しくする効果、を通じて、大規模金融緩和解除への思惑を高めるものとなりました。 野村では、24年6月のFOMC(米連邦公開市場委員会)でFRBが政策金利の引き下げプロセスをスタートすると予想しています(図表1参照)。また、その背景として、24年7-9月期~同年10-12月期の2四半期にわたり、実質GDP(国内総生産)前期比成長率が連続してマイナスとなるリセッション(景気後退)に米国経済が陥ると予想しています。 このような背景から、米国を中心とする海外金利が低下基調に向かう下で、日銀による大規模金融緩和の幕引きが可能となるのは、国内での「賃金・物価の好循環」定着を伴うような年2%の物価安定目標の達成という、正攻法での緩和終了の条件成就が実現した場合ということになるでしょう。 このような外部環境の下でも24年に大規模金融緩和の幕引きが実現する可能性が高いと考えるのは、国内での「賃金・物価の好循環」実現の確度が着実に高まっているとみられるためです。 23年の春闘(春季生活闘争)では、いわゆるベースアップ(以下、ベア)率の顕著な上昇が確認されました。連合(日本労働組合総連合会)の最終集計では、平均賃金方式(集計組合員数による加重平均)に基づく定期昇給込み賃上げ率が平均3.58%となり22年の2.07%を大きく上回りました。 野村では、24年春闘でのベアは平均3.9%に加速すると予想しています。少なからぬ企業が既に高率の賃上げ実施を公表している実態があるのに加え、人手不足の深刻化、本格化が企業に対し賃金上昇など待遇向上を通じた人手確保をより強く迫ることになるとみているのもベア加速を予想する背景です。2012年の安倍政権スタート前後から19年のコロナ禍前までは、女性・シニア層の労働参加拡大で人手不足の本格化は回避されてきました。しかし、今後はその余地も限られてきていると考えざるを得ないでしょう。 賃金上昇の加速を通じた家計の所得環境改善は、新型コロナウイルス感染症禍収束後のいわゆる「リベンジ需要(経済用語では繰越需要)」の顕在化にも支えられ、日本経済の回復を促していくことが期待されます。こうした背景から、野村では、24~25年にかけての日本の実質GDP成長率は、概ね潜在成長率を上回る基調で推移すると予想しています(図表2参照)。実体経済の回復継続は、需給バランス改善を通じて賃金・物価の好循環実現を後押しするものになると考えられます。 以上のような経路を通じた、賃金・物価の好循環実現、またそれを条件とする日銀の大規模金融緩和幕引きの確度は高いと考えますが、相応の落とし穴が想定されることも指摘せざるを得ません。 米国のリセッションの可能性に加え、中国経済が不動産バブル崩壊などを背景として構造不況が顕在化してくれば、日本の外需を大きく下押しする危険性があります。 賃金上昇加速の下でも、海外発の根強い物価上昇圧力を背景に、国内家計の「節約モード」がことさらに強まることで、経済の持ち直しの勢いがそがれる恐れも捨てきれません。 人手不足の一層の深刻化は、賃金上昇加速を促す要因であるのと同時に、経済成長にとって供給制約要因でもあります。特に人口減少・高齢化が不可避な日本経済においては、企業が人員の確保・拡充を通じた市場や需要の拡大を無理に追求せず、現状の人員を前提として効率化や利益率改善だけを優先して動く可能性も考えられます。 以上のような落とし穴を乗り越えて、長年続いた大規模金融緩和の幕引きにたどり着けるかどうか、2024年はまさに正念場の1年になる可能性が高いでしょう。 (野村證券経済調査部 美和 卓) ※野村週報 2024年新春合併号 「内外経済展望」より ※こちらの記事は「野村週報 2024年新春合併号」発行時点の情報に基づいております。※掲載している画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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01/01 19:00
【新春特集】NISAで投資を始める人たちへ 第1回 NISA拡充の理由とは
2024年からNISA(少額投資非課税制度)の改正などにより、投資を真剣に考えるようになった人も増えているのではないでしょうか。そもそもなぜNISAが拡充されるのでしょうか。初めて投資をする際、どういった心構えで臨むべきなのでしょうか。45年間野村證券で企業のアナリストや資金調達などを担当し、近年は大学などで金融に関する講義を行っている野村ホールディングス ファイナンシャル・ウェルビーイング室SCO(シニア・コミュニケーションズ・オフィサー)の池上浩一が、NISAや投資に関する疑問にわかりやすくお答えします。 投資やNISAに関する疑問が相次ぐ 野村ホールディングスと野村證券は2001年度から、国内の約100大学で金融に関する講座を提供してしています。私も講義の一部を担当しており、毎年約70の大学で金融の講義をしています。2011年度からは名古屋大学の客員教授も務めています。 近年、野村の金融講座を受講する学生は増加傾向にあります。NISAなどにより投資のすそ野が広がり、学生の関心も高まっているのかもしれません。 私はお客様向けの講演会でも講師を務めています。学生やお客様から以下のような質問を受けることが増えました。 「なぜNISAが拡充されるのか。国の狙いは何か」「投資するのはリスクがあって怖い。なぜ投資や資産運用が必要なのか」「実際にどのような方法で投資をすべきか」「投資をする時の心構えを教えて欲しい」 これらの疑問にお答えしたいと思います。 NISA拡充の理由は 第1回では「なぜNISA制度が拡充されるのか。国の狙いは何か」について具体的に説明したいと思います。 それは、少子高齢化により、国家としての日本は衰退局面を迎えたので、円安になるリスクが高まりつつあるからだと私は考えます。 上の図は、国際通貨基金(IMF)の「世界の外貨準備の通貨別シェア」という統計資料から作成したものです。この統計は「世界の国々がどの通貨を信頼しているか」が分かるため、世界の投資家が常に注目しているといわれます。 左は2000年12月末、つまり20世紀の終わりまでさかのぼると、米ドルのシェアが71.1%と圧倒的に強かったのがわかります。 20世紀、米ドルは「単独基軸通貨」とまで言われていました。しかし直近の2023年6月末の統計を見ると、通貨別のシェアに大きく2つの変化がみられます 1つは、米ドルの単独基軸通貨体制から、他の通貨にやや移行しているという点です。 もう1つは、中国の通貨である人民元や、「その他」に含まれるインドなど新興国の通貨のほか、オーストラリアなど資源産出国の通貨のシェアが大きくなっているという点です。 一方、日本円のシェアはわずかながら小さくなっています。この流れが強まれば相対的に日本円は弱くなり、円安が進みます。円安になると結果的に日本円を使っている人の生活コストが上昇し、賃金がコストに合わせて上昇しない限り、生活が厳しくなります。 つまり、通貨の未来を考えた時、日本円を使っている人は「国際分散投資」をして生活を守っていかなければならなくなります。 かつては「米国衰退」の時代も 19世紀に世界の覇権を握っていた大英帝国(現在の英国)は、第1次・第2次世界大戦の狭間の1930年代に衰退局面を迎え、その後世界経済の中心に躍り出たのは米国でした。現在は世界一の経済大国である米国も、1970年代に一時、衰退局面に入ったのです。第2次世界大戦の敗戦国だった日本や西ドイツ(現ドイツ)の企業に勢いがあったからです。 日本は第2次世界大戦で敗戦した後、1949年から為替市場では1ドル=360円の固定相場制になりました。戦前の為替レートは1ドル=5円未満でしたから、敗戦国になったといえども、かなり厳しい条件だったのではないでしょうか。 しかし戦後、日本に住む人たちは懸命に働き、日本は奇跡の経済復興を遂げることになります。これが「高度経済成長」です。日本企業が力をつけ、米国企業を圧倒するようになったのです。 1971年のスミソニアン協定を契機に、徐々に固定相場制は終焉を迎えることになります。そして、1973年に為替市場が変動相場制に切り替わり、日本の経済成長とともに円高・ドル安が進みました。そして1ドル=250円前後になっていた1985年、米国はドル高の是正のため、プラザ合意で円高・ドル安を容認しました。結果、為替相場では1980年代末までに一気に1ドル=120円台まで円高・ドル安が進んだのです。 日本などの企業が力をつける一方、米国は自らの手でドル安を進行させ、1970~1980年代にかけ、国家の衰退局面を招いていたといえそうです。 私見ですが、世界の投資家は「ある国」に投資する場合、国が成長している時はリスクの高い企業の株式を中心に保有し、国が成熟局面を迎えると国債を中心とした債券へとポートフォリオを組み換えます。そして、その国が衰退局面を迎えると資産を売却し、別の国へと投資先をシフトさせます。 「グレートローテーション」と日本の衰退 20世紀は「先進国の時代」だったといえます。しかし、21世紀に入り、日本を含む先進国が衰退局面を迎える一方で、中国やインドなどの新興国や、オーストラリアなど貴重な資源を持つ国を中心とする新たな経済発展と、世界的なインフレの時代を迎えたので、世界の投資家は「グレートローテーション(債券などの安全資産から、株式などの高リスク資産へ投資資金が一斉にシフトさせる大転換)」という言葉を使って国際分散投資を始めました。 私は、世界の投資家が経済の衰退局面に入った日本の資産を売却する段階に入ってきたのではないかと考えています。今後も中・長期的に円安が進む可能性があるかもしれません。ですから、日本円を使っている私たちは、円安による生活コストの上昇に備えるため「国際分散投資」を始めなければならない、と考えます。 政府も、日本に住んでいる人が現預金を保有したまま、円安によって生活コストが上昇すると、補助金などを支給しなければならなくなり、国家としての負担も大きくなります。そこで、自らリスクをとって投資する人を税制優遇し、「国際分散投資」を進めてもらう目的で、NISAを恒久的かつ使い勝手のいい制度へと改めることにしたのではないでしょうか。 余談ですが、国家が衰退局面を迎えると、その国の通貨は徹底的に売られるということを、私は約40年前に身をもって経験しました。 1979年に野村證券に入社した私は、1982年から2年間、社費で英国に留学しました。日本円の預金を英国の銀行に送金し、両替したポンドを使って英国での生活を始めました。当時の為替レートは1ポンド=480円でした。 留学中、私は日本から送られてくる給与を生活費に使いながら、まだ幼かった長男のことなどを考えて、英国の銀行で貯蓄に励みました。しかし、1984年に卒業して日本に帰国した際の為替レートはなんと1ポンド=240円。たったの2年間で、私の財産は日本円ベースで半分になってしまっていたのです。 当時、英国は「英国病」と呼ばれた国家の衰退局面で、ポンドが大きく値下がりし、逆にまだ高度経済成長期だった日本の円は値上がりしていたのです。 私は日本人ですが、英国から帰国してポンドを円に両替する時は、いわば「英国人」の立場でした。両替によって自らの財産が半減する…いわば、国が衰退局面を迎え、自分が使っていた通貨が徹底的に売られるという事態を、実体験したのです。 第2回に続く 【池上 浩一】野村ホールディングス株式会社ファイナンシャル・ウェルビーイング室SCO(シニア・コミュニケーションズ・オフィサー)。1979年野村證券株式会社入社、人事部に配属。英ロンドン大に留学後、海外投資顧問室、第一事業法人部、国際業務部を経て、法人開発部長やIR室長、グループ本部広報部長兼宣伝部長などを歴任。2011年から名古屋大客員教授も務める。2023年4月から現職。社内では、日本版金融ビッグバンの際に講演をしていたことから「ビッグバンおじいさん」と呼ばれて親しまれ、社内サイトでの連載コラムは約1000回を数える。 ※本稿は、2024年1月現在の情報に基づくものです。※掲載している画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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01/01 13:00
【新春特集】2024年相場大展望 – 日本株編 (解説:池田)
野村證券市場戦略リサーチ部 チーフ・エクイティ・ストラテジストの池田雄之輔が、2024年の日本株展望について解説します(約33分)。 ~ 講師紹介~ 池田 雄之輔 1995年野村総合研究所入社、2008年に野村證券転籍。一貫してマクロ経済調査を担当し、2019年より現職。「野村円需給インデックス」を用いた、円相場の新しい予測手法を切り拓いている。5年間のロンドン駐在で築いた海外ヘッジファンドとの豊富なネットワークも武器。現在、テレビ東京「モーニングサテライト」に定期的に出演中。著書に「円安シナリオの落とし穴」(日本経済新聞出版社)。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 休日の過ごし方・リラックス法:愛犬(トイプードル2匹)との散歩好きな食べ物・お酒:焼き鳥、お酒は何でもOK,特に缶チューハイが好き趣味:音楽鑑賞、読書、ランニング好きな言葉・心掛けている言葉:通説を疑う長期休暇で行きたいところ:沖縄特記事項:音楽はクラシック・ジャズ・ロックが好きで、特にジャズは、アントニオ・ファラオ(ジャズピアニスト)が好き。カラオケは断然ミスチル ※動画の終盤に言及している、「アンケート」については、FINTOS!ではご回答いただけません。ご了承ください。 ご投資にあたっての注意点
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01/01 09:00
【新春特集】令和6年、「甲辰(きのえ・たつ)」
「辰」には龍が割り当てられています。十二支の動物では唯一空想上の存在ですが、古代中国では実在すると考えられていました。現在も中国では恐竜の化石が多く出土します。古代の人々もこの化石を目の当たりにし、その存在を信じたのでしょう。 古代中国で龍は麒麟、鳳凰、霊亀と並んで四霊獣の一つとされ、天地を行き来し水と雨を自在に操るものと考えられていました。勇ましく絶大な力を持つことから権力の象徴となり、「伝説上の君主・黄帝が龍とともに天へと昇っていった」など、王にまつわる逸話が数多く残っています。龍の存在は日本にも中国から伝わったとされ、『日本書紀』に登場するヤマタノオロチ、全国各地の神社で祀られている水を司る「龍神」などが知られています。さらにゲームや物語にも頻繁に描かれていることから、空想上の生物でありながら、非常に身近な存在でもあると言えるでしょう。 さて、それでは恒例の「甲辰」縁起談。二回り前の甲辰は明治37年(1904年)です。2月には日露戦争が勃発しました。日清戦争からわずか10年での開戦です。国内では根強い戦争反対論がありましたが、人的、経済的に大きな負担を重ねながら翌年9月まで続きました。9月に与謝野晶子が発表した「君死にたまふことなかれ」は、日露戦争の旅順攻囲戦に従軍していた弟を思って作られた詩です。 一回り前の甲辰は昭和39年(1964年)。この年はなんといってもアジア初開催となった東京1964オリンピックがありました。このために建設が進んでいた施設や交通網の整備が、続々と完成します。10月10日の開幕を前に、1日には東海道新幹線が開業し、2日後の3日には柔道競技会場として日本武道館が開館。中継を見るためのテレビの購入、会場への旅行の増加も後押しし、オリンピック景気をもたらしました。 東京1964オリンピックで、日本選手はこれまでの努力の成果をいかんなく発揮し、金メダル16個を含むメダル29個を獲得。この快進撃は、日本の人々にとってスポーツをより身近なものにしたと言えるでしょう。 野球では村上雅則がアジア人初のメジャーリーガーに。他にも王貞治がシーズン55号本塁打を達成するなど、記録にも記憶にも残る躍進が続きました。 1964年は海外旅行自由化の年でもあります。4月から観光目的のパスポートの発行が開始され、年1回、持ち出し500米ドルまでという制限付きで個人の海外旅行が可能になりました。同じく4月には「ミロのヴィーナス」がフランスのルーブル美術館から来日し、80万人の動員を記録。世界との距離がぐっと縮まる一年だったと言えそうです。 一方で、数々の自然災害に見舞われた年でもありました。6月には新潟地震、7月には東京で深刻な水不足が発生し、「東京砂漠」と呼ばれる事態になりました。一方で、同じ月には山陰北陸豪雨も起こっています。 世界に目を向けると、総合的な黒人差別をなくす立法措置として公民権法が成立。これまでの公民権運動がようやく実を結びました。4月には、映画『野のユリ』に主演したシドニー・ポワチエが黒人初のアカデミー賞主演男優賞に輝きました。また、12月にはキング牧師がノーベル平和賞を受賞しています。 「甲(きのえ)」は十干のはじまりにあたり、「木の兄」、つまり大きな木を指します。甲冑の「甲」の字から連想される通り、草木の種子が硬い殻に覆われ、成長の時を待っている状態を意味しています。「辰」は二枚貝が開いて間から足を出している状態を示し、「のびる」「ふるう」などを意味します。ここからは、はじまりの地点に立ち、殻を破って勢いよく成長していく年と読み解くことができるでしょう。 2023年、ふつふつと湧き上がる力を見せはじめた株式相場が、2024年こそ龍のように勢いよく、天まで高く上昇する吉年となりますよう。 (紙結屋小沼亭) ※野村週報 2024年新春合併号 「甲辰」縁起より ※こちらの記事は「野村週報 2024年新春合併号」発行時点の情報に基づいております。※掲載している画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点