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食品メーカーによる原材料生産者との取引におけるポイント
執筆:野村證券株式会社フード&アグリビジネスビジネス・コンサルティング部 コンサルタント 李 元(2025年1月17日) はじめに ここ数年、スーパーやコンビニで買い物をすると農産物、食品の価格が明らかに高くなったと感じる。実際、2024年12月公表の帝国データバンク「「食品主要195社」価格改定動向調査」」によると、2022年から2024年の間に値上げした食品は70,000品目超で、1回あたりの平均値上げ率は14%、15%、17%と年々増加傾向にある。また、2025年1~4月に値上げが予定されている食品は6,121品目、1回あたりの予定値上げ率も18%と食品値上げの流れはしばらく続きそうである。(図表1)。値上げの要因は、「原材料高」が「エネルギー(電気・ガス含む)」、「円安」等を凌ぎ1位となっている。 それでは、値上げを行う食品メーカーは、調達、製造、販売という商流の中でのコスト増をどの程度価格に転嫁できているのだろうか。中小企業庁「価格交渉促進月間(2024年9月)フォローアップ調査結果」をみると、2024年9月時点で食品製造の価格転嫁率は55.3%と十分に価格転嫁できていないことが分かる。 このような状況下において、筆者は、食品メーカーが販売以外のバリューチェーン(主に調達と製造)を自社でコントロールすることで、中長期の視点において、価格転嫁が不十分な中で「原材料高」を起点とした課題を和らげることができると考える。 本稿では、食品メーカーの調達に焦点を当て、原料調達における生産者との取引におけるポイントを論じる。 図表1 2022~25年の食品値上げ品目数、平均値上げ率(左)と24年の食品値上げ要因(右) (出所)帝国データバンク「「食品主要195社」価格改定動向調査」より、野村證券フード&アグリビジネス・コンサルティング部作成 1.食品メーカーの原材料調達における課題と直接取引 食品メーカーの調達課題を考える際、「価格」はもちろん重要だが、当然、「量」と「品質」を無視するわけにはいかない。つまり、(1)安定的な価格での調達、(2)必要量の安定的な確保、(3)原材料に適した一定品質の確保の3つの課題を同時に満たすことが食品メーカーにとっては重要である。 また、食品メーカーによる原材料の調達方法としては、「間接取引」と「直接取引」に大きく分類することができる。なお、本稿での間接取引とは食品メーカーが食品卸売業者等を介して原材料の調達を行うこと、直接取引とは食品メーカーと生産者が直接取引を行うことをそれぞれ指す。 以下、食品メーカーの調達における上記3つの課題を、間接取引と直接取引の2つの調達方法との比較で整理していく。 (1)安定的な価格での調達 間接取引の場合、一般的に食品卸売業者等の中間業者が取扱う農産物の規模は食品メーカーと比較して大きく、生産者に対して価格交渉力を持つことが期待できる。その一方で、中間業者を介す分の価格への上乗せが生じるデメリットがある。加えて、市場価格が変動した際は食品メーカーの調達価格に影響が生じる。量が確保できる市況では一般的に安く調達できるが、量が確保できない市況では基本的に高い価格で取引せざるを得ない。 直接取引であれば、中間業者を介すことによる価格への上乗せは行われず、全量買取り等の条件を付すことで事前に決めた一定の価格で取引することも可能になる。但し、食品メーカーの規模によって価格交渉の強弱が決まるため、小規模食品メーカーは高い価格での調達となってしまう可能性がある。 (2)必要量の安定的な確保 間接取引の場合、気候変動等により農産物が不作であったとしても、食品卸売業者等が有する各地域とのネットワークで、別の地域から農産物を調達できる。但し、そのような需給がひっ迫した状況では、高い市場価格で調達することが多くなるだろう。 直接取引の場合、食品メーカーは生産者と予め取り決めた量を調達できるメリットがあるが、食品メーカーが求める必要量が増える際は、複数の生産者や地域と直接取引を行う必要がある。また、直接取引だけでは気候変動等による不作が要因となり必要量を確保できないリスクもある。 (3)原材料に適した一定品質の確保 間接取引の場合、気候変動等の外部要因により食品メーカーが求める品質の農産物の調達が困難な時は、食品卸売業者等が有する各地域とのネットワークで、外部要因の影響を受けづらかった地域等から類似品質の農産物を調達することができる。一方で、食品メーカーが求める品質が高くなればなるほど、高い品質の生産物を調達できるとは限らなくなる。 直接取引であれば、食品メーカーが求める品質の農産物を生産している特定の地域や生産者からの調達が可能となり、品質改善への要望を直接伝えることもできる。但し、気候変動等により農産物の品質が悪化した際、別の地域から類似品質の農産物を確保できないリスクは残る。 上記をまとめると図表2の通りとなる。3つの課題から調達方法を比較すると、「価格」と「品質」においては、一定価格で中間業者による価格への上乗せもない点や食品メーカーが求める品質の農産物を生産している特定の地域や生産者と取引しながら双方の意見交換が可能な点で直接取引に優位性がある。その一方で、「量」においては必要量を安定的に確保できる可能性が高い間接取引に優位性がある。 その上で筆者は、今後の農業界の構造的な変化を踏まえると、直接取引の重要性が一層高まるものと考える。周知のとおり、日本の農業界は高齢化と共に特に個人農家が断続的に減少しており、その代役として法人を中心とした大規模農業経営が主流になり始めている。彼らは一般的な個人農家と異なり、資金やネットワーク、そして経営者マインドを持ち合わせる傾向が強い。彼らが規模を拡大する中で、また営利企業として再生産・再投資可能な利益を求める中、海外を含めて少しでも条件の良い販売先へ農産物を卸すようになることは自然である。これにより食品メーカーは「価格」等で好条件を提示する必要が出てくる。また、彼らが規模を拡大する中では、販売先となる食品メーカー等が求める「量」や「品質」を確保する農業経営を志すこととなり、仮に販売「量」の確保を自社で満たすことができない場合、既に一部で始まっているが、同様な大規模農業経営者との横連携(産地リレー)の仕組みを構築していくことであろう。食品メーカーからすれば直接取引でも「量」や「品質」を確保し易くなることに繋がるはずだ。 それ以外でも、足元のグローバル経済の動向を考慮すると、今後も不透明さが漂う。農産物の価格は引き続き乱高下しよう。昨年の米不足に伴う需給のひっ迫、米価格の高止まりは記憶に新しい。今年の調達価格は安いが、来年は「倍増」することも頻繁に起こるであろう。生産者、食品メーカー共に、それらに振り回されていては事業計画の実効性はもちろん、持続可能なビジネスとは言えなくなる。 このような時代が早晩訪れた際、量の課題を克服した直接取引のメリットは大きくなる。どのビジネスにおいても長年の信頼関係が重要となる。その時を見据えて、今からそのような大規模農業経営者と関係を構築することには大きな意義があろう。 次章では、長きに渡り大規模に直接取引を実施してきたカルビーと伊藤園を事例に取り上げ、食品メーカーが直接取引を導入、拡大するに当たって筆者が考えるポイントを論じる。 図表2 食品メーカーの原材料調達の主要課題と調達方法の特徴 (出所)野村證券フード&アグリビジネス・コンサルティング部作成 2.大手食品メーカーによる直接取引の先進事例とそのポイント 直接取引の歴史は古く、早いものだと明治時代初期からビール麦等で行われていた。その背景には原材料の安定確保という目的があったようだ。本章で直接取引の先進事例として取り上げるカルビーと伊藤園も、昨今のような不安定なグローバル経済が訪れる以前から、同様の理由で直接取引を開始している。 生産者との直接取引は長い歴史を有するが、カルビーや伊藤園のように、成功事例として挙げられるのは筆者が知る限り、数えるほどしかない。成功事例が少ない理由は多々あるが、食品メーカーと生産者が「Win-Win」の関係を持続的に構築することが難しい点に集約できる。食品メーカーの側でいえば、前章でも触れたように、必要量の安定的な調達が難しい点であろう。 その理由として、日本の農家は個人単位の小規模農家が多く、食品メーカーが必要とする量に対応できなかったことが挙げられる。また、地球温暖化による気候変動をはじめとした外部要因による不作等が障害となった可能性も高い。そうなると解決策として複数の産地や生産者と連携する重要性が増してくる。 筆者が考える直接取引を導入、拡大する際のポイントは、(1)契約栽培による全量買取りと栽培技術指導等の実施、(2)自社での種苗等の研究開発と契約農家への技術提供、(3)地域との連携拡大の3つであり、以下、カルビー、伊藤園の成功事例を通してレビューしていく。 (1)契約栽培による全量買取りと栽培技術指導等の実施 1つ目のポイントは、契約栽培による規格品の全量買取りと生産者に対する栽培技術指導等の実施である。カルビーは1980年前後に契約栽培を導入している。1970年代、流通するジャガイモの大半は糖分が多い生鮮用であり、ポテトチップス等のスナック菓子を主力とするカルビーは、糖分が少なく高温で揚げても変色しにくい加工用のジャガイモを確保する必要があった。そのため、個別農家や農協に対して生鮮用とは異なる品種の栽培について交渉を実施し、調達・生産に直接関わり始めた。現在は約40名の「フィールドマン」と呼ばれるスタッフが栽培技術指導を実施した上で、収穫されたじゃがいもは生産者の状況やでんぷんの含有量に合わせた単価等で買取っている。また、栽培技術指導の中には、自社で開発した新品種の提供も含まれている。地道な努力の結果、現在の契約農家数は、北海道の約1,000戸を中心に1993年比で2倍超の全国約1,700戸まで拡大している。 一方、伊藤園では1976年に契約栽培を始め、生産者が生産に集中できる環境作りを心掛け、茶葉の全量買取り、栽培技術指導に加えて、自らが集めた市場や消費者ニーズ等に関する情報を生産者へ提供している。多様な品種を栽培できる地区では、飲み手の嗜好に合った品種への植え替えや、有機栽培への転換も積極的に推奨している。2021年時点で同社の全国各地の契約農家による生産量は合計8,517tであるが、国内の茶葉生産量が106,600t(2023年)であることを考えると、伊藤園は契約農家から全国生産量の約8%分を調達していることになる。 このように、契約栽培は必要量を安定的な価格で確保できるだけでなく、栽培技術指導等によって品質の維持、向上にも貢献している。 (2)自社での研究開発と契約農家への技術提供 2つ目のポイントは、自社での研究開発と契約農家への技術提供である。カルビーは、2017年に約10年の研究開発期間を経て開発した「ぽろしり」というじゃがいもを品種登録している。「ぽろしり」は芽が浅いため皮が剥きやすく、糖度が低いので焦げにくいというポテトチップスに適した品種である。また、栽培面では病害虫等に強く、多収が期待できる。量と品質が安定するため、カルビーはもちろん、契約農家にも嬉しい優れた品種である。また、2019年には「なつがすみ」を品種登録に出願しているが、これは関東で問題になっている「そうか病」に耐性があり、関東地区での普及を想定しているようだ。 一方の伊藤園も、有機栽培技術の構築など、茶農業における技術開発に取組んでおり、そこで確立されたものを契約農家へ提供している。また、茶農業の技術開発と普及に向けたロードマップも作成しており、最終的には自社開発した茶農業の技術を契約農家へ普及させることを目的としている。 このように、自社で研究開発を実施、契約農家へノウハウ等を提供することで、品質の向上や安定化に結び付く。 (3)地域との連携拡大 3つ目のポイントは自治体やJAなど地域との連携を拡大することである。カルビーとホクレンは近年、じゃがいもの調達等で協業するようになり、新商品の発売や農家支援等でも連携している。背景には時代の変化が影響している。2017年にカルビーは前年の台風等の影響でじゃがいもが不作となり、ポテトチップスの一部販売休止に追い込まれ、更なる国産じゃがいもの確保が必要になった。一方、ホクレンは、2010年代に入り、消費者需要の変化と共に、じゃがいもの消費が生鮮用から加工用へと大きく動いたことで、加工用販路の安定確保の必要性が生じた。こうした時代の変化が、双方を協業へと向かわせたのだが、結果的に生産者の農業所得向上など、地域の活性化にも繋がる取り組みとなり今日に至っている。 伊藤園は2001年より「新産地育成事業」を開始した。当事業は地域自治体やJAと連携して耕作放棄地を活用した茶葉生産を推進するものである。他の農作物同様、茶葉生産も衰退の一途を辿っており、国産の茶葉にこだわる伊藤園としては将来を見据えて取組んでいるのだが、結果的に足元でも契約農家の拡大に寄与している。耕作放棄地の増加は日本各地の課題ともなっており、当事業が受け入れられやすい環境にもあるのだろう。 このように、地域の課題を解決しながら自社の調達力を拡大していくことは、食品メーカーが必要量を安定的に調達する上で、必要な戦略である。 以上、食品メーカーによる生産者との直接取引における3つのポイントを述べたが、(2)と(3)は時間もかかることが想定される。そのため、食品メーカーが直接取引を導入する際にまず取り掛かるべきものは(1)であろう。(1)の導入で生産者、地域から信頼を勝ち取り、直接取引が安定してきたら、次は直接取引の拡大フェーズへと移る。(1)を継続しつつ、品質の向上、安定化と量の拡大に向けて新たに取り掛かるべきものが(2)及び(3)となる。 もちろん、(1)を実施することで、「全量買取り」のリスクと「栽培技術指導」員のコスト負担や人手の確保という課題が生じる。前者については、自社の製造・販売計画との擦り合わせが必要となるだろう。後者については、栽培技術指導員のコスト分を中長期的に考えた場合、市場での調達価格との差でどこまで埋められるかを考えていく必要があり、人手の確保という点では自社の中から人手を探す他に、地域の農業従事者を栽培技術指導員として迎え入れることで地域に入り込む、地域との連携を拡大するという方法も考えられる。 図表3 カルビーと伊藤園による生産者との直接取引における主なポイント (出所)各社公表資料等をもとに、野村證券フード&アグリビジネス・コンサルティング部作成 おわりに 本稿では、まず、食品メーカーの立場から原材料調達で抱える農産物の「価格」、「量」、「品質」における課題に触れ、その課題から考える調達方法の特徴について述べた。その上で、直接取引を導入・拡大する際の筆者が考えるポイントについて、先進的なカルビーと伊藤園の事例を交えて整理した。 本稿で述べた内容は、食品メーカーを起点に調達面での課題を簡易的に捉えてアプローチしたため、本稿から外れる成功事例も多くあると思われる。特に農業分野では、取り扱う農産物の種類や立地するエリアによっても状況が大きく異なるだろう。それでも、マクロとミクロ両方の要因による昨今のグローバルベースでの不安定な原料の調達環境を考慮すると、農産物の種類や立地を問わず、食品メーカーの原料調達戦略はより重要度を増している。 第三章で紹介したカルビーと伊藤園の先進事例だが、もちろん、一朝一夕で両社の調達戦略を取り入れることは不可能である。両社ともにゆるぎない長期の事業・調達面でのビジョンがあったことはもちろんのことだが、そもそもとして、生産者の立場から彼らの悩みや利点を追求したことが出発点のように思える。 もし、多少でも直接取引による調達がある食品メーカーにおいては、常日頃調達している取引先の生産者がどの様な点に悩んでいるか、どの様な利点を取引の中で与えられるかについて考えることで、また新しい独自の調達ポイントが生まれるように思える。 2024年は予期せぬ米不足やキャベツなど農産物の価格高騰等が起こったが、2025年以降も思いもせぬ事態が発生する可能性は十分に考えられる。本稿では間接取引、直接取引で二分して話を進めたが、食品メーカーの事情に応じて、間接取引の中に直接取引を加えるなどの独自の調達戦略を構築することで、「価格」、「量」、「品質」の課題に対応できるものと考える。 ディスクレイマー 本資料は、ご参考のために野村證券株式会社が独自に作成したものです。本資料に関する事項について貴社が意思決定を行う場合には、事前に貴社の弁護士、会計士、税理士等にご確認いただきますようお願い申し上げます。本資料は、新聞その他の情報メディアによる報道、民間調査機関等による各種刊行物、インターネットホームページ、有価証券報告書及びプレスリリース等の情報に基づいて作成しておりますが、野村證券株式会社はそれらの情報を、独自の検証を行うことなく、そのまま利用しており、その正確性及び完全性に関して責任を負うものではありません。また、本資料のいかなる部分も一切の権利は野村證券株式会社に属しており、電子的または機械的な方法を問わず、いかなる目的であれ、無断で複製または転送等を行わないようお願い致します。 当社で取り扱う商品等へのご投資には、各商品等に所定の手数料等(国内株式取引の場合は約定代金に対して最大1.43%(税込み)(20万円以下の場合は、2,860円(税込み))の売買手数料、投資信託の場合は銘柄ごとに設定された購入時手数料(換金時手数料)および運用管理費用(信託報酬)等の諸経費、等)をご負担いただく場合があります。また、各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。商品ごとに手数料等およびリスクは異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面、上場有価証券等書面、目論見書、等をよくお読みください。 国内株式(国内REIT、国内ETF、国内ETN、国内インフラファンドを含む)の売買取引には、約定代金に対し最大1.43%(税込み)(20万円以下の場合は、2,860円(税込み))の売買手数料をいただきます。国内株式を相対取引(募集等を含む)によりご購入いただく場合は、購入対価のみお支払いいただきます。ただし、相対取引による売買においても、お客様との合意に基づき、別途手数料をいただくことがあります。国内株式は株価の変動により損失が生じるおそれがあります。 外国株式の売買取引には、売買金額(現地約定金額に現地手数料と税金等を買いの場合には加え、売りの場合には差し引いた額)に対し最大1.045%(税込み)(売買代金が75万円以下の場合は最大7,810円(税込み))の国内売買手数料をいただきます。外国の金融商品市場での現地手数料や税金等は国や地域により異なります。外国株式を相対取引(募集等を含む)によりご購入いただく場合は、購入対価のみお支払いいただきます。ただし、相対取引による売買においても、お客様との合意に基づき、別途手数料をいただくことがあります。外国株式は株価の変動および為替相場の変動等により損失が生じるおそれがあります。 野村證券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商) 第142号 加入協会/日本証券業協会、一般社団法人 日本投資顧問業協会、一般社団法人 金融先物取引業協会、一般社団法人 第二種金融商品取引業協会
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01/25 12:00
【注目トピック】日本企業のV字回復は実現可能か 業種によって明暗が分かれると見る
※画像はイメージです。 日本:2024年10-12月期決算プレビュー 2024年10-12月期決算発表が始まる 2024年10-12月期決算の発表が1月下旬より本格化します。2025年1月6日時点での、ラッセル野村Large Cap(除く金融)のコンセンサス予想は、2.2%増収(前年同期比)、同3.8%営業減益となっています。2024年7-9月期に比較して、増収率、営業増益率ともに減速が予想されています。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注1)ラッセル野村Large Cap(除く金融)の四半期・増収率および営業増益率、経常増益率の推移。(注2)2024年7-9月期までは実績値、2024年10-12月期以降は、2025年1月6日時点のQUICKコンセンサス予想が存在する企業のみで集計している。(注3)ソフトバンクグループを集計から除外している。2024年1-3月期以降はさらに公益セクターに属する企業を除外している。(出所)QUICKなどより野村證券投資情報部作成 2024年度は期初段階では、中国での在庫調整の進展などにより、生産財や資本財の回復が期待されていましたが、結果的には不発に終わり年度を通じて増収率、増益率ともにスローダウンを余儀なくされました。 四半期ベースの企業業績は、余程の事業環境の急変が無い限り、事前の市場コンセンサスを数%ポイント上回って着地しますが、それを考慮しても、今回の2024年10-12月期決算を通じて2024年度期初以来の減速感を払しょくすることは難しいでしょう。 一方、スタートしたばかりの2025年1-3月期は、同2.4%増収、同18.7%営業増益が見込まれています。 2025年1-3月期のV字回復の可能性 トップダウンの観点から、2025年1-3月期のV字型回復の実現可能性についてみてみましょう。 企業業績に非常に大きな影響力をもつ鉱工業生産は2023年7-9月期以降1年以上にわたりマイナスとなり、業績押下げ要因となりました。為替も、日米の金利差縮小が意識されるようになり、2023年度のような一方的な円安米ドル高の進展とはなりませんでした。 2025年1-3月期は、自動車を中心に生産活動の活発化が見込まれ、久しぶりに大幅な増益が期待できそうです。業績に限らず、減速局面での将来のV字回復予想は蓋然性が低いと捉えられがちですが、今回は既に前年同期の水準が1年超にわたって低いことから、生産増を理由にした業績回復のハードルは低そうです。 (注1)ラッセル野村Large Cap(除く金融)の営業増益率の四半期の推移。2024年7-9月期までは実績値、2024年10-12月期以降はトップダウン(マクロ前提)による試算値。2024年10-12月期以降の鉱工業生産は2025年1月20日時点の野村證券経済調査部による予想、2025年1-3月期以降の為替は150円/米ドル、その他の要因は考慮していない。(注2)積み上げグラフは、営業増益率を、生産要因、為替要因、残差(その他)に分解したもの。1%の生産増加で4%、1円/米ドルの円安で0.4%弱、営業利益が増加すると仮定している。残差(その他)には、マージンの改善、イレギュラーなコストの発生に伴う利益変動、などの要因が含まれる。(出所)野村證券投資情報部作成 製造業で苦戦する業種も 2024年10-12月期の業種別にみた営業利益増減益寄与額では、生産活動の停滞を反映して輸出型の製造業のほとんどが減益になると見られています。一方、内需・サービス型の業種で大幅な減益を見込む業種はほとんどありません。また、ここ数四半期は内需・サービス型の業種で、コスト増分の転嫁が順調に進んでいることから、2024年10-12月期業績は内需・サービス型業種がけん引する可能性が高いでしょう。 (注)ラッセル野村Large Cap(除く金融)の営業利益の、四半期・業種別増減益寄与額の推移。2025年1月6日時点の市場コンセンサス予想で、コンセンサス予想が存在している企業のみ集計している。(出所)野村證券投資情報部作成 一方、2025年1-3月期は、鉄鋼・非鉄を除く輸出型製造業が増益に転換し、内需・サービス型業種でも引き続き増益が見込まれています。久しぶりに、多くの業種が全体の業績を押し上げる構図が期待されます。 2025年1-3月期は業種選別が重要に 2024年12月末に経済産業省より発表された、業種別の鉱工業予測指数に基づけば、2025年1月は輸送機械の大幅な生産増が見込まれています。型式認証不正問題で停滞していた自動車生産は2025年に入り本格的な回復の可能性が高まっています。 (注1)積み上げグラフは2024年12月時点での、2024年12月(灰色)および2025年1月(赤色)の業種別生産予測指数(前月比)。(注2)折れ線グラフは、2024年12月および2025年1月の予測指数の合計。合計値の低い順に表示している。(出所)経済産業省より野村證券投資情報部作成 また、予測では電子部品・デバイスや化学でも生産増が見込まれています。これらの業種では、情報機器や工作機械など資本財の不振をうけて、在庫調整を粘り強く進めてきました。2024年末の段階で、出荷・在庫のバランスは正常な状態に近づいており、生産活動回復の時期を模索する局面に近づいていると考えられます。 一方、素材系の業種では生産回復の足取りは鈍そうです。中国のデフレ輸出の影響が大きい業種でもあり、警戒が必要でしょう。2025年1-3月期は生産活動の回復により全体としては久しぶりに大きな増益率が達成される可能性が高まっていますが、業種ごとの景況感格差はかなり大きくなりそうです。 (野村證券投資情報部 伊藤 高志) ご投資にあたっての注意点
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01/25 09:00
【オピニオン】米大手銀行に好景気・高金利の追い風が吹く
※画像はイメージです。 2025年1月中旬に発表された米大手3行(JPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカ、シティグループ)の2024年10-12月期の決算は、各行とも純収益と調整後1株利益が前年同期比で増加し、市場予想を上回りました。金融機関の決算内容については、下記の2点が注目されていました。 ①純金利収益②貸倒率 米大手3行の2024年10-12月期の純金利収益実績は、それぞれ市場予想を上回りました。下図の赤色の線の3行の純金利収益は、過去においては米長期金利水準との相関が高いといえそうです。2024年9月以降の金利上昇が純金利収益の増加に寄与したと考えられます。 (注)米大手3行は、JPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカ、シティグループ。米大手3行の純金利収益のデータは四半期毎で直近値は2024年10-12月期時点で、2025年以降はLSEG集計による2025年1月16日時点の市場予想平均。米10年国債利回りのデータは日次で直近値は2025年1月16日時点。(出所)LSEGより野村證券投資情報部作成 JPモルガン・チェースは2024年9月に、FRBによる利下げや長期金利の低下を背景に、2025年12月期通期の同社に対する市場の純金利収益の見通しは楽観的過ぎる、とコメントし、同社の株価は下落しました。2025年1月の2024年10-12月期の決算発表時に同社が示した2025年12月期通期の純金利収益は940億ドルと、市場予想に反し2024年通期の931億ドルから増加する見通しです。 非金利収益は米大手3行合計では、投資銀行部門は投資助言や株式引受が堅調で前年同期比、前四半期比とも増収でした。また、トレーディング部門は前年同期比では増収で、前四半期比ではやや減収でした。堅調な企業のアクティビティが好調の背景にあると考えられます。 JPモルガン・チェースの2024年10-12月期の貸倒率は全社ベースでは0.73%で、市場では2025年末にかけて低下すると予想されています。また、カード事業の貸倒率について同社は、2024年12月期通期の3.34%から2025年通期は3.6%程度に上昇するとの見通しを示しました。市場の一部で懸念された貸倒率急上昇の兆候は今のところ見られません。 下図は、米国の民間非金融部門債務の対GDP比率と米家計利払い額の対可処分所得比率です。いずれも分母のGDPと可処分所得の増加により、コロナ禍前の水準を下回っています。過去との比較では、信用の過剰な膨張期、いわゆるバブルのピークの状況にはないと考えられます。 (注)米民間債務は企業部門と家計部門の両方を含む。 (出所)BIS、FRBより野村證券投資情報部作成 好景気により金利が高止まりし、堅調な雇用環境などによりローン支払い能力が維持される状況の継続は、金融機関の業績には追い風といえそうです。 ご投資にあたっての注意点
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01/25 07:00
【来週の予定】中銀ウィークに突入 パウエル議長の発言に注目集まる
来週の注目点:米国・ユーロ圏の金融政策会合と実質GDP成長率 今週は米国を筆頭にユーロ圏やカナダ、ブラジル、南アフリカで金融政策会合が開催される中銀ウィークです。29日(水)に結果が発表されるFOMCでは、政策金利は据え置きとの見方が優勢です。今回は経済見通しの発表もないことから会合後の記者会見におけるパウエル議長の発言が注目されます。2025年は5年に1度の金融政策の枠組み変更が議論される年に当たります。5年前には平均インフレ目標導入など、インフレを目標近辺に引き上げるための手段が検討されました。議長会見では、利下げ時期や政策金利の着地点に加えて、今後の政策の枠組みに対する発言も注目されます。 一方、30日(木)に開催されるECBの金融政策理事会では0.25%ポイントの利下げが予想されます。インフレにはやや足踏み感が見受けられますが、ECBは景気下振れリスクを緩和するため利下げを継続することが予想されます。野村證券では、1月会合を含めて25年中に5回の利下げを予想しています。 米国では27日(月)の12月新築住宅販売件数を皮切りに、注目度の高い指標が多数発表されます。市場では30日(木)の24年10-12月期実質GDP速報、31日(金)の10-12月期雇用コスト指数、12月個人消費支出(PCE)デフレーターに関心が集まると予想されます。 日本では31日(金)の1月東京都区部消費者物価指数、12月鉱工業生産が注目されます。特に生産統計が自動車を中心とした輸送用機器の生産回復を示すか否かで、今後の景気動向だけではなく企業業績の見通しにも影響を与えることが予想されます。 ユーロ圏では27日(月)のドイツの1月Ifo企業景況感指数、30日(木)のユーロ圏、ドイツの24年10-12月期実質GDP成長率が重要です。先々の景気下振れを示唆する内容となった場合には、ECBに対する市場の利下げ観測を強める可能性があります。 中国では27日(月)に1月政府版PMIが発表されます。内訳系列である雇用指数下げ止まりの有無が注目点です。 (野村證券投資情報部 尾畑 秀一) (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2025年1月24日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(注2)画像はイメージです。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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01/24 13:30
【速報】日銀追加利上げを決定、初期反応では市場の大きな混乱は見られず
日銀、0.25%ポイントの追加利上げを決定 政策金利は0.5%に 日本銀行は1月23~24日に金融政策決定会合を開催し、大方の予想通り0.25%ポイント引き上げ、無担保コール翌日物金利を0.5%程度とすることを決定しました。日銀による利上げは2024年7月以来、半年ぶりになります。日銀は声明文の中で、「経済・物価はこれまで示してきた見通しに沿って推移、先行き、見通しが実現していく確度が高まってきている」との判断に基づいて利上げを決定したことを明らかにしました。また、今後の政策運営に関しては、「現在の実質金利がきわめて低い水準にある」ことから、「経済・物価見通しが実現していく」とすれば「政策金利の引き上げを続ける」との姿勢を示しました。今回も利上げに関して「金融緩和度合いの調整」との文言を使用していることから、日銀が現在の政策金利は中立金利を下回っていると考えているようです。 同時に公表した展望レポートにおける消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比見通しは、24年度が+2.7%(24年10月時点:+2.5%)、25年度が+2.4%(同+1.9%)、26年度は+2.0%(同+1.9%)とそれぞれ上方修正されました。リスクバランスに関しては、2024年度、25年度に関しては「上振れリスクが大きい」との認識を示しました。 2024~2026年度の政策委員の大勢見通し (注)値は、前年度比%、なお、<>内は政策委員見通しの中央値。 各政策委員は、既に決定した政策を前提として、また先行きの政策運営については市場の織り込みを参考にして、上記の見通しを作成している。「大勢見通し」は、各政策委員が最も蓋然性の高いと考える見通しの数値について、最大値と最小値を1個ずつ除いて、幅で示したものであり、その幅は、予測誤差などを踏まえた見通しの上限・下限を意味しない。(出所)日本銀行資料より野村證券投資情報部作成 発表直後(12時23分から13時00分頃)の金融市場では、ドル円レートは155円台前半まで円高が進行した一方で、日経平均株価は小幅ながらプラス圏を維持しました。総じて、追加利上げに対する初期反応として、金融市場に大きな混乱は見られなかったと言えるでしょう。 日銀の政策金利は1995年9月以降、0.5%を上回ったことがありません。このため、今後は利上げペースに加え、政策金利の着地点が注目されます。この点に関しては、15時半から行われる植田総裁の記者会見で何らかの見方が示されるかが注目されます。足元の先物金利は、25年末までに追加1回の利上げを織り込んでいます。トランプ政権を巡る不透明感が依然として高いうえ、夏場には参議院選挙を控えていることから、追加利上げに対しては慎重な見方が有力なようです。 (野村證券投資情報部 尾畑 秀一) ご投資にあたっての注意点
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01/24 12:00
【今週のチャート分析】日経平均株価、約4カ月続く保ち合い上限に再挑戦、突破なるか
※画像はイメージです。 ※2025年1月23日(木)引け後の情報に基づき作成しています。 日経平均株価、各種テクニカル指標に過熱感なし 今週の日経平均株価は、値がさのハイテク株を中心に大幅上昇となり、23日まで4日続伸しました。米トランプ大統領就任直後の関税発動が回避されたことや、大統領が民間企業とAI開発の巨額投資発表をおこなったことなどが材料視されました。 チャート面からこれまでの動きを振り返ってみましょう(図1)。日経平均株価は、12月27日高値(40,398円)形成後に調整となり、1月17日には一時38,055円まで下落しました。 しかし、騰落レシオなど一部のテクニカル指標は短期的な売られ過ぎ水準に接近したこと等から、17日以降は反発の動きを見せています。22日に25日移動平均線(1月23日:39,264円)を奪回し、23日には心理的節目の4万円を一時回復しました(図1、図2)。 各種テクニカル指標に過熱感はなく、この先、昨年12月27日高値(ザラバベース40,398円)を上回れば、9月下旬以降の保ち合いを上抜けしたこととなるため、上昇に弾みがつきやすいと考えられます。その場合、7月11日につけた史上最高値(ザラバベース:42,426円)を視野に入れる動きとなると考えられます。 一方で、目先の上値が重く再度25日線を下回って調整が続く場合は、75日線(1月23日:38,982円)や200日線(同:38,642円)などが下値のメドになると考えられます。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注1)直近値は2025年1月23日。 (注2)日柄は両端を含む。 (注3)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 (注1)直近値は2025年1月23日時点。 (注2)東証プライム騰落レシオの主なボトムと、その前後の日経平均株価を赤丸囲みで示した。 (注3)東証プライム騰落レシオが70~80%の箇所を赤色網掛けしている。(出所)日本経済新聞社、東京証券取引所より野村證券投資情報部作成 日本10年国債利回り、中長期上昇トレンドが継続中 日本の10年国債利回りは、今年1月に一時1.2%台にのせました。1月23-24日に開催される日銀会合での追加利上げの可能性が市場で意識され、利回りが上昇しました(24日結果発表予定)。今回はチャートをもとに年単位の中長期的な動きについて考察していきましょう(図3)。 10年国債利回りは、2016年のボトム(-0.300%)と2019年のボトム(-0.290%)によるダブルボトムを形成し、その後は本格的な利回り上昇トレンドに入りました。 2022年以降は12ヶ月移動平均線(1月21日:0.955%)を下支えとする上昇となっています。昨夏に株価が急落した際も、概ね12ヶ月線が下支えとなっており、今後も、同線を下支えとしながら上昇基調が継続すると考えられます。 今年1月に2006年5月ピークから2016年7月ボトムまでの利回り低下幅の2/3戻し(1.226%)水準を突破しており、チャート上の次の大きなメドは、2006~2008年につけた複数のピークや心理的フシがある1.9~2.0%水準までみられません。これまでの上昇ペース(約5年半で1.540%ポイント)を基にすれば、2~3年かけて2%に迫る水準となる可能性も考えられます。 今後、仮に株式市場に対して様々なショックが発生したり、景気に対して弱気の見方が広がったりした場合は、再度12ヶ月線を意識する動きとなる可能性は考えられますが、それら一時的な低下をこなしつつ、先行きは、2%を視野に入れるさらなる金利上昇へ向けた動きとなると考えられます。 (注1)直近値は2025年1月21日。チャートは新発10年国債利回りの単利・日次終値を基に月足に変換している。新発10年国債利回りは日本相互証券公表の引値で、毎月、新発国債の入札日に銘柄の入れ替えを行っている。(注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(注3)日柄は両端を含む。(出所)日本経済新聞社データ、各種資料より野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 岩本 竜太郎) 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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01/24 08:29
【野村の朝解説】トランプ講演を受け米国株は上げ幅を拡大(1/24)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 23日の米国株式市場で主要3指数は揃って4営業日続伸し、S&P500指数は史上最高値を更新しました。前日の株高を牽引した半導体関連などハイテク株の下げが重石となり、ナスダック総合は前日終値比マイナス圏で軟調推移となりましたが、トランプ大統領のダボス会議での発言を受けて幅広い銘柄に買いが広がり、取引終盤にプラス圏に転じました。為替市場では、朝方発表された米新規失業保険申請件数(18日までの1週間)が2週連続で悪化したことに加え、日銀の金融政策決定会合の結果発表を24日に控えることもあり、一時1ドル=155円台後半までドル安円高が進みました。 相場の注目点 トランプ大統領は23日、ダボス会議向けの講演でOPECに原油価格の引き下げを求める方針を示したほか、FRBに対する金利引き下げの要請や上下両院での減税措置可決の見通しに言及しました。対EU及びカナダの貿易不均衡についても改めて言及しましたが、追加関税を巡って踏み込んだ内容がなかったことから市場の不安心理はやや緩和しました。もっとも、トランプ政権の政策を巡る不透明感が続く中、引き続き大統領の発言を巡り神経質な展開が続くことが予想されます。 本日のイベント 本日は主要国の25年1月PMI速報値が公表されます。また、日本では23-24日開催の日銀金融政策決定会合の結果が公表されます。氷見野副総裁や植田総裁が先週、1月会合で利上げを検討する意向を示したことで、市場はすでに1月の利上げを9割以上織り込んでいます。利上げ実施がほぼ確実視されるなか、その後の利上げペースを探るうえで展望レポートや記者会見での植田総裁の発言の変化が注目されます。 (野村證券 投資情報部 引網 喬子) (注)データは日本時間2025年1月24日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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01/23 16:37
【野村の夕解説】AI開発投資への期待は根強く、日経平均続伸312円高(1/23)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 21日に米国のトランプ新大統領が発表したAI開発に向けた巨額投資への期待は根強く、22日の米国株式市場ではハイテク株を中心に上昇し、主要3指数が揃って続伸しました。この流れを受けて、本日の日経平均株価は前日比163円高の39,810円で取引を開始しました。投資計画を主導するソフトバンクグループが前日に引き続き株式市場をけん引したほか、半導体やデータセンターの需要が増加するとの期待感からハイテク株が上昇し、日経平均株価は取引時間中としては1月8日以来となる4万円台を回復しました。また、トランプ新大統領による防衛費増額要求に伴う防衛費増加の思惑から、三菱重工業が前日比+8.55%となるなど、トランプ新政権の政策期待による株価上昇が目立ちました。しかし、日経平均株価は上値の重さから取引時間終了間際に4万円を割り込み、大引けは前日比312円高の39,958円となりました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注) データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 本日、米国で12月の中古住宅販売件数が発表されます。前月に続き、米国の住宅市場の回復がみられるか注目されます。また、日銀金融政策決定会合の結果が明日発表されます。トランプ大統領就任後の金融市場の混乱は回避されており、追加利上げが行われるのか注目されます。 (野村證券投資情報部 秋山 渉) ご投資にあたっての注意点
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01/23 08:29
【野村の朝解説】米国株は大型ハイテク株中心に続伸(1/23)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 22日の米国株式市場は好決算の大型ハイテク株中心に続伸しました。トランプ新政権が当初懸念されたような関税引き上げの発動を回避していることも、引き続き市場の安心感につながっている模様です。ただし、S&P500を構成する11業種中、上昇したのは情報技術、コミュニケーションサービスの2業種に留まっています。米国債市場では長期金利中心に金利が上昇し、10年国債利回りは4.61%となりました。ドル円相場は156円台半ばへ円安ドル高が進行、主要10通貨の中ではカナダドルの下落が目立っています。トランプ大統領はカナダ、メキシコに対して2月1日にも25%の関税を賦課すると発言したことが嫌気されていると見られます。 相場の注目点 今週は23-24日に日本銀行の金融政策決定会合を控えています。年明け後の講演で、氷見野副総裁、植田総裁ともに1月20日のトランプ大統領就任後、金融市場が混乱する事態を回避できれば利上げを検討する意向を示しました。このため市場では、24日の利上げを9割以上の確率で織り込んでいます。ただし、追加利上げに関しては25年末近くになるとの見方が優勢な模様です。7月には参議院選挙が控えていることもあり、日銀は景気・インフレと為替動向に加え、政治情勢を睨みながらの政策判断を迫られる状況となりそうです。 本日のイベント トランプ大統領が世界経済フォーラム(WEF)年次総会でオンライン形式の演説を行います。内向きには米国の黄金時代を主張した同氏が、対外的にどのようなメッセージを送るのかが注目されます。 (野村證券 投資情報部 尾畑 秀一) (注)データは日本時間2025年1月23日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点