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08/10 19:00
【来週の米国株】「リセッション」の実現度をマクロ⇔ミクロで測る1週間(8/10)
※執筆時点 日本時間9日(金)12:00 今週:週初に急落したが持ち直し ※8月2日(金)-8月8日(木)4営業日の騰落 米国株は下落後に回復 今週の株式市場では、日経平均株価の急落が世界的な話題となりました。一方で、米国株も週前半に大幅下落しました。背景には2つの理由があると考えられます。 背景①米リセッション懸念 サーム・ルール抵触 米国株式市場の下落要因としてまず挙げられるのは、米国のリセッション(景気後退)への懸念です。米労働省が2日(金)に発表した米雇用統計が市場予想よりも弱く、特に失業率が4.3%と前月の4.1%から上昇し、2021年10月以来の高さとなりました。その結果、「サーム・ルール」(直近の3ヶ月平均失業率が過去12ヶ月間の最低水準を0.5%ポイント以上上回ると景気後退局面に入るという経験則)が満たされました。景気後退に陥らずインフレを抑える「ソフトランディング」がメインシナリオとなっていた米国株式市場で「ハードランディング」への警戒が強まり株価は下落しました。 背景②円高の急速な進行 さらに今回特徴的だったのは、通常は米国株式市場には影響を及ぼさない急激な「円高ドル安」の動きが影響したことです。一時160円を超えていたドル円相場が、8月5日には一時141円台まで円高が進行しました。ドル円は2022年の利上げ開始以降、米金利と強く連動して上がってきました。先週31日(水)には、日本銀行が政策金利の0.25%への引き上げを決定し、同日にFRBがFOMC(米連邦公開市場委員会)で政策金利の据え置きを決定しました。日米金利差の縮小観測が強まることで生じた円高が円キャリー取引(低金利の円を調達して高金利のドルや上昇期待の高い米国株などで運用する取引)の巻き戻しを喚起し、円高と米国株の下落を更に助長する形となり、世界的なリスクオフに繋がりました。 小康状態となっている理由 週後半に米国株式市場は一旦落ち着きを取り戻しました。日銀の内田副総裁が「金融市場が不安定な状態で利上げは行わない」と発言したことなどで、円高圧力が後退するともに円キャリー取引の巻き戻し懸念が緩和されたものと見られます。8日(木)時点ではドル円市場は1ドル=147円台まで回復しました。 また、米国株主要3指数は前週末終値と近い水準まで戻しています。5日(月)に発表された7月のISMサービス業景況感指数は51.4(前月の48.8)と持ち直したうえ、8日(木)発表の週間新規失業保険件数が市場予想を下回ったことから、7月雇用統計が示したほどには米国の労働市場は悪化していないとの見方に繋がり、市場には安心感が広がっています。 来週:経済の強さを測る1週間 来週は、経済指標などのマクロと、決算発表などのミクロ、両面で経済の強さを測る1週間となりそうです。 来週の注目①経済の強さをみる指標 引き続き米国株下落の“震源”となった、米国のリセッション(景気後退)入りの警戒感が正当化されるかに注目が集まります。経済指標では、従来は7月CPI消費者物価指数(14日(水)発表)などインフレ統計が注目を集めましたが、今週は7月小売売上高(15日(木))など実際の経済活動を示すハードデータへの関心が高いと思われます。小売売上高では、業種別の売上動向をチェックし、米国個人消費の状況を把握していきたいと考えます。 来週の注目②経済の強さを見る決算発表 米国経済を考える上で、GDPの7割を占める消費の動向を確認できる大手小売企業の2024年5-7月期決算発表に、いつも以上に注目が集まりそうです。13日(火)にはホーム・デポ、15日(木)のウォルマートに注目が集まります。高まる局面といえそうです。13日(火)にはホーム・デポ、15日(木)のウォルマートに注目が集まります。 来週の注目③半導体株には徐々に注目度が高まる また、15日(木)には、半導体製造装置大手のアプライド・マテリアルズの5-7月期決算が発表されます。今週の日本の企業決算でも東京エレクトロンやKOKUSAI ELECTRICなど半導体製造装置大手がこれまで軟調だったメモリー向けの好調を示唆しました。 少し先となりますが、28日(水)にはエヌビディアの決算発表も控えており、市場全体が落ち着けば業種や個別銘柄へも関心が戻ってくると推察されます。 (編集:野村證券投資情報部 小野崎 通昭) ご投資にあたっての注意点 要約編集元アナリストレポートについて 野村オリジナル記事の配信スケジュール
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08/10 17:00
転換期の人工光型植物工場-② わが国における人工光型植物工場収支構造の変化 -
執筆:野村證券株式会社フード&アグリビジネスビジネス・コンサルティング部 シニア・アドバイザー 伊地知 宏 (2024年8月6日) はじめに 前号(NOMURA フード&アグリビジネス・レビュー Vol.5 「転換期の人工光型植物工場 - ①わが国における人工光型植物工場の歴史 -」)では、わが国の人工光型植物工場の変遷をたどり、その進化を「開発期」(第一世代:1980年代~1990年代)、「スタートアップ勃興期」(第二世代:2000年代)、「他産業への普及期」(第三世代:2010年代)と定義し、第三世代の時期を、「市場拡大期」(2009~2013年)、「技術進化期」(2014~2020年)、「環境変化対応期」(2021年以降)と細分化した。 わが国の人工光型植物工場が、独立した事業として初めて黒字化を果たしたのは2013年頃と見られ、本格的に研究開発を始めた1980年代から30年以上の時間を要した。その後複数の事業者が黒字化を果たしたと推察されるが、大半の事業者は赤字が続き、黒字経営は一部の優良経営事業体に限られているのが現状である。 各時期を収支構造の切り口から俯瞰すると、それぞれの時期で特色があり、事業環境の変化や各事業者の生産性向上への挑戦の歴史が垣間見える。そこで本稿では、複数の事業者が黒字化を達成し始めた時期(2017年)、コスト削減と価格低下が併存した時期(2019年)、電気代(光熱費)をはじめとする諸コストが上昇した時期(2022年)を検証したうえで、現時点(2024年)の経営状況を示すことを目指した。 人工光型植物工場では、葉菜類をはじめとしてイチゴやエディブルフラワー(食用花)などに栽培品目が広がっているが、本稿ではリーフレタス(非結球レタス)を対象として分析を行った。「小売向け」と「加工用[1]」の用途別にモデルを作成し、設備費用として2017年時点で10億円の投資(建物3億円、建物以外設備7億円)を想定し、それぞれ試算した。2019年以降は資材価格上昇や自動化の進展を設備費用に織り込んだ。 2017年時点では、「小売向け」もしくは「加工用」に特化した事業者はほとんど見られなかったため、用途別(特に加工用レタス)に収支を算定するのが困難であったが、両用途を並行して事業化していた事業者の協力のもと、推定したのが2017年のデータである。2019年以降はターゲットを明確化する事業者が現れ始め、用途ごとに事業モデルが算定できるようになってきた。用途によって収支構造(ビジネスモデル)が明確に異なることは注目に値する。 なお、掲載したデータは、野村證券フード&アグリビジネス・コンサルティング部(以下F&ABC部)によるヒアリングや文献調査に基づいているが、個別事情を勘案して補正しているため、特定の事業者の事例を紹介しているものではない。あくまでモデルケースとしてご理解をいただきたい。 1.人工光型植物工場における小売向けレタス生産の収支状況[2]の推移 図表1に見られるように、2017年時点では、適切な事業運営を行うことにより、10%を超える営業利益率の獲得が可能であったことがわかる。 人工光型植物工場の黎明期は、小売向けで露地栽培の結球レタスに比べ割高感が見られたが、近年はその割高感が薄れ、スーパー向けを中心に着実にシェアを拡大している。 卸価格の推移を確認すると、2017年から2022年にかけて価格が下落した。製造コストの低下で価格の許容範囲が拡大したことや、一部の事業者の廉売などが影響したと考えられる。 卸価格の下落により、人工光型植物工場事業者の利益率は低下し、さらに2023年初にかけての電気料金などのコスト増加によってほとんどの事業者は赤字を余儀なくされた。 図表1 人工光型植物工場における小売向けレタス生産の収支モデル変遷 (注1)「1日収穫量(kg)」はトリミング(葉の除去)後。 (注2)建物31年、建物以外は一括して10年で償却(定額法)と仮定。 (注3)社会保険料等は「その他」にカウント。 (注4)パートは7時間勤務前提。「パート人件費」の「備考」欄の単位は「kg/h」。 (注5)施設は築4年目前提で固定資産税を試算。 (注6)操業日数は年間363日で試算。 (注7)正社員数、パート数は、実際の増減の反映だけでなく、施設を増設した場合は同一規模に補正している。(出所)野村證券フード&アグリビジネス・コンサルティング部作成 図表2 人工光型植物工場における小売向けレタスkg当たりの費用 (出所)図表1のデータを基に野村證券フード&アグリビジネス・コンサルティング部作成 電気料金の上昇と近年の最低賃金の上昇により生産コストが上昇した結果、供給サイドの価格転嫁への要請が強まり、需要サイドもある程度それを許容する状況になっており、足元の卸価格は上昇に転じている。 2.人工光型植物工場における加工用レタス生産の収支状況の推移 加工用レタスにおいても2017年時点では10%を超える営業利益率の獲得が可能であった(図表3)。しかし、当時は加工用レタスの用途は、レストラン、ホテル、総菜向けが中心で、巨大マーケットであるコンビニ(及びベンダー)への供給は限定的であった。コンビニ関連への供給が拡大したのは卸単価が850円/kgを下回った頃が転換点と考えられる。供給サイドのコスト削減努力により卸価格の低減に成功し、2019年頃を境に、サンドイッチ等の用途に加えてカップサラダ等の商品開発を推し進めたコンビニ関連への納入が拡大した。 加工用レタスは、露地栽培レタスとの価格比較では、人工光型植物工場の生産コストが600円/kgが分岐点と言われていたが、「菌数の少なさによる日持ちの長さ」「虫の混入などのリスクの少なさ」「洗浄の手間の少なさ」などのメリットが、コンビニの製造品質要求の高さに対して評価され、800~850円/kgでも大きな需要が発生したと考えられる。 小売向けレタス同様、コスト削減による卸価格低減の後、2022年以降は小売向けと同様に急激に製造コストが上昇し収支が悪化したが、足元ではコスト上昇分の価格転嫁をコンビニなどの需要サイドも認容することにより、やや改善している。 図表3 人工光型植物工場における加工用レタス生産の収支モデル変遷 (注)各科目の仔細は図表1の(注1)~(注8)と同じ。 (出所)野村證券フード&アグリビジネス・コンサルティング部作成 図表4 人工光型植物工場における加工用レタスkg当たり費用推移 (出所)図表3のデータを基に野村證券フード&アグリビジネス・コンサルティング部作成 3.各収入費用項目に関する考察 (1)販売単価 小売向けレタスの場合、品目(レタスの品種)によって単価(卸価格)の格差があり、製造原価も異なる。図表1では、販売単価(卸価格)を、2017年時点で1,400円/kgと算定しているが、高付加価値商品に重点を置き、1,500円/kgを達成していた事業者も存在した。 前述の通り、2022年にかけて価格が下落したものの、足元では持ち直しの動きを見せている。 加工用レタスは、生産者のコスト削減努力により一時製造コストが700円台/kgの事業者も現れ、卸価格が800円/kgで利益が出る事業者も示現した。足元で卸価格が上昇しているものの、需要サイドの立場では、日持ちの長さや加工の手間を考慮すると、結球レタスや人工光型植物工場以外の非結球レタスと比較して、人工光型植物工場産レタスの重要度が高まっていると考えられ、今後供給サイドが価格決定権で優位性を有する可能性は低くないように思われる。 (2)歩留り 本稿では、生産歩留り[3]95%、販売歩留り[4]を100%と想定した。かなり高水準と思われるが、実績として生産歩留り97~98%、販売歩留り100%を達成した事業者もあり、決して非現実的な数字ではない。 生産歩留りを高めるためには、栽培技術の確立が不可欠であり、特に生産物重量のバラツキや不良品率を最小化することが重要である。販売歩留りを高めるには強い営業力がポイントになるのは言うまでもない。 収支のポイントとして歩留りは極めて重要であり、収支への影響は非常に大きい。しかし、2024年時点では生産歩留りと販売歩留りを両方とも考慮して95%の歩留り達成で収支ギリギリというのが現実である。 (3)1株重量 小売向けレタスは1株80gを想定した。レタスに限らず農産物全般に当てはまることだが、斉一性の担保は容易ではない。小売向けの場合、規格として重量が定められているのが一般的であり、80gや100gのケースが多い。 それに対して、生産においては必ずある程度の重量のバラツキ(偏差)が発生し、出荷の規格が単一だと実質的な歩留り悪化の要因になる[5]。重量のバラツキを最小化することが重要になるが、納入先ごとに複数の重量の規格を交渉できれば、歩留り悪化を防止できる。小売向けの60g規格も最近増加しているが、バリエーションを増やすことで生産者の卸単価の条件を悪化させることなく、新たな市場開発にもつながっている。 加工用レタスは1株150gを前提とした。1株重量を大型化するほど、生産効率は高くなるが、チップバーン[6]等のリスクが増加することが課題であった。その課題に対して、チップバーンが出にくい品種の採用や、栽培ノウハウの蓄積により近年は一層の大株化が進んでおり、1株200g以上での生産を行っている事業者も見られる。 製品重量80gのレタスの場合には、概ね播種から移植まで18日、移植から収穫まで14~15日を要し、製品重量150gのレタスの場合には、概ね播種から移植まで18日、移植から収穫まで22日程度の日数を要する。面積効率を考慮する場合、移植から収穫までの日数が対象になるが、150gのレタスの場合、移植から14日後までに比べて14日後から22日後までの成長速度は速く、80g重量のレタスに比べて150g重量のレタスの方が生産効率は高い。同様の理由で大株化するほど生産効率が高いと考えられ一層の大株化を目指す方向性も見られる。 しかし、1株重量が大きくなるほど生産効率が級数的に向上するかは明確ではなく、ある重量を超えると栽培日数の増加に対して重量の増加率が鈍化するとも言われている。1株重量の目標が大きくなるほど1株当たり必要な栽培スペースが大きくなるため面積生産性(体積生産性)が低下する可能性もあり、目標重量の設定の最適化に明確な指針が示されていない。工場ごとの環境によって最適重量に差異が生じる可能性も否めない。目標重量の設定は、現時点での重要なテーマの一つである。 (4)設備費用 近年の建築資材の上昇と自動化等の進展が設備費用を上昇させている。 特に人件費の上昇傾向が続くことが予想されるため、自動化への関心が高まっており、機械メーカーがしのぎを削り始めている。 設備費用が上昇傾向にある一方で、スペーシングの工夫などによる面積効率の向上や、簡易で低コストの施設開発の動きも見られる。低コスト施設は、気密性や環境制御に関して未知数の部分はあるが、コスト低下へのソリューションの一つとして注目される。 また、既存の事業者が営業継続を断念し、無償もしくは廉価で施設を譲渡する事例が散見され始めている。収支状況が厳しい現況下では、今後も事業譲渡やM&Aが増加する可能性がある。譲受側はリノベーション費用を要するものの、新設に比べると低コストでの施設取得の可能性があり、動向が注目される。 (5)減価償却費 人工光型植物工場の減価償却については、対象となる償却資産には事例の乏しい部材も多く、比較的自由度が高いと推察される。 建物部分は、31年もしくは38年で償却している事例が多い[7]。建物以外は部材ごとに耐用年数を判断するが、事業者によって対応は異なっている。 償却年数の設定次第で収支(費用)は大きく異なるので、プラントメーカーの試算や事業計画の確認などにおいて留意が必要である。 一例を挙げると、LEDの場合、法定耐用年数は15年[8]と理解されるが、経済耐用年数は8~10年程度と考えられ、15年よりも短い期間で償却している事例も見られる。償却年数を経済耐用年数よりも長く設定した場合、当初の減価償却額は低くなる一方で、償却年数よりも短い期間で更新した場合には除却損が発生する可能性が生じる。 (6)人件費 2022年頃までは最低賃金がパート時間給の目安となっていたが、2024年時点では(地域によって格差は見られるものの)上振れが見られる。2024年7月時点では、パートの平均時間給が1,100円を超える地域も出始めている。地域によっては平均時間給が1,000円程度に収まっている事例もあるようだが、2024年度の最低賃金の上げ幅は過去最大となり[9]、今後時間給の上昇は続く可能性が高い。 また、表面的な時間給だけでなく、社会保険料対象者の増加、パートへの賞与の付与など、間接的な人件費上昇を考慮することも必要になってきている。 図表5 最低賃金の推移(全国加重平均) (出所)独立行政法人労働政策研究・研修機構、中央最低賃金審議会より、野村證券フード&アグリビジネス・コンサルティング部作成 一方で、自動化を含めて労働生産性を高める取り組みが継続されており、優良事業者の中にはパート時間給の上昇を生産性向上で吸収することに成功しているケースも見られる。 正社員人件費は、2017年時点では事業の歴史が浅い事業者が多く、一人当たり平均年収が300~450万円程度で収まるケースが多かったが、今後は相応の賃金上昇に備える必要があるだろう。 (7)光熱費(主に電気料金) 2021年までは、15円/kwh前後の電気料金[10]で安定していたが、2022年から2023年初にかけて急上昇した。燃料価格の高騰による燃料費調整額の上昇が主因である(図表6)[11]。燃料費調整額のピーク時は、月単位の電気代が30円/kWhに達した事例も仄聞され、人工光型植物工場事業者にとって最大の経営悪化要因となった。ただ、電気料金のピークは長くは続かなかったため、年度単位での最高値は2022年から2023年にかけて25円/kWh程度と考えられる。電気料金の高騰により、2022年度は、小売向け事業者及び加工用事業v者ともほとんど黒字は出ていないと推察される。 2024年時点では価格は落ち着いており、20円/kWh前後で推移している。2022年以前は、新電力会社[12]を利用することにより、10円台前半/kWhでの調達を可能にした事業者も見られたが、2022年以降の電気料金高騰時に、価格上昇に加えて供給の安定性に課題があることが表面化し、下火になった。 このように短期的には電気料金の変動が激しかったが、長期的にみるとエネルギー効率は高まっている。総費用に占める光熱費の比率は、「市場拡大期」(2009~2013年)頃までは約25~30%と試算されていたが、2013年頃を端緒に蛍光灯からLEDへの切り換えが進み、照明コストと空調コストが低下したため、2017年時点で優良事業者の費用に占める光熱費の比率は20%を切り、足元ではさらにエネルギー効率が高まっている。 (図表6)燃料費調整単価の推移(高圧:全国10電力会社[13]平均) (出所)一般社団法人エネルギー情報センター(EIC)「新電力ネット」より、野村證券フード&アグリビジネス・コンサルティング部作成 空調コストに関しては、(事業者によって差異があり一概には言えないが)照明コスト以上にコスト削減が進展している可能性がある。空調コストが高い事業者の場合、光熱費に占める空調コストの比率は40%に達する場合がある(照明コスト50%、その他10%)。一方で、空調コスト比率を20%程度に抑えている事例も見られる(照明コスト75%、その他5%)[14]。照明効率の向上や空調コストの低減などの技術向上により、電気エネルギー量生産性が向上していることがうかがえる。 本稿では補助金は考慮していないが、F補助金(原子力発電施設等周辺地域企業立地支援事業)[15]の交付を受けている事業者も相当数見られる。 (8)水道費 日産1t程度の人工光型植物工場の場合、水道費は年間200万円弱と推定されるので、図表1、図表3ともに200万円と想定した。 (9)CO2費 CO2施用により光合成が促進される。CO2濃度は高ければ高いほど光合成促進効果は高い。栽培室の濃度は1,000ppm前後[16](外気は約400ppm)に保つのが一般的である。 CO2費の総費用に占める割合はそれほど大きくはないが、調達コストは地域や事業者によって格差が見られる。調達単価は5円/kgから12円/kgまでの幅が見られる[17]。 また、小売向けレタスに比べて加工用レタスは大株化して効率を高めるため、加工用レタス栽培の方が、相対的にCO2投入量が増大する傾向にある。 (10)物流費 事業者によって格差が大きい項目である。 2017年時点では、150~200円/kgの物流コストを要する事業者が見られた一方で、100円/kg未満の事業者も散見されたが、近年では最低水準が130円/kg程度に切り上がっていると推察される。 したがって、最近は最低ラインが上昇して優劣の差が縮まっている。とは言え、低コストの事業者と高コストの事業者の格差は他の項目に比べて依然として大きく、対処の重要性はいささかも低下していない。 物流費への意識が高い事業者は、混載便の活用、販売先の地域絞り込みなど様々な工夫で物流コストを抑制している。 物流をキーワードに考えた場合、工場建設地の戦略的選定も課題になってくる。従来は、補助金の獲得可能性や消費地との近接性などが建設地選定のインセンティブになることが多かったが、物流を考慮した立地戦略も重要度を増すと思われる。 2024年問題への対応は重要課題だが、人工光型植物工場事業者が十分な準備ができているかは、やや不安がある。物流業界との連携強化は業界としての課題であろう。 (11)材料費 材料費の構成要因としては、出荷資材(段ボール、包装フィルム等)、生産資材(種子、肥料等)等に分類できるが、本稿では種子のみ別計算にした。 個包装が必要なため小売向けの方が加工用に比べコストが高くなる。足元では、小売向けは出荷量に対して90円/kg、加工用は60円/kg程度のコストとなっているようである。 (12)種苗費 種子の進化が注目されている。2017年時点では1円程度の安価な種子を使用する事業者も見られたが、高品質の種子開発が進み始め、高価格帯の種子が注目され始めている。 中でも近年ではRIJK ZWAAN(ライク・ズワーン)[18]をはじめとするオランダの種苗メーカーが攻勢を強めている。通常の種子が1.5~2円に対し、3円程度の価格だが、生育の速度が速いため、導入する事業者が増加している。 また、千葉大学発ベンチャーの㈱リーフ・ラボが開発したオーダーメイド種子も実用化が始まっている。チップバーン耐性が強い品種やCO2の光合成促進効果が高い品種などが有効であり、一方で病害虫への耐性が弱くてもデメリットになりにくい。そのような特性を踏まえて有効な種子の開発余地は大きいと考えられる。また、個別の工場ごとに適合する品種開発も具現化されつつある。種子開発の進歩が人工光型植物工場の今後の生産性向上に寄与する期待は大きい。 (13)支払地代、固定資産税 支払地代や固定資産税については、コスト削減の工夫は図りにくい。 農地法の改正により農地にも人工光型植物工場の建設が可能になったが、それほど実例を耳にしない。農地を活用することで固定資産税の観点からは優位性があるものの、インフラの整備などが制約となっている可能性が考えられる。 (14)その他 「その他」にカウントされる科目としては、「社会保険料」「保険料」「販売経費」「修繕費」「産廃処理費」「環境衛生費」「消耗品費」「通信費」「雑費」などが考えられる。事業者ごとに業務内容、会計基準や仕訳方法が異なるので一概には言えないが、経験則では概ね売上の10%前後の事業者が多いと見られる。 なお、「支払利息」について本稿では言及しなかった。ゼロ金利時代は支払利息が経営に与える影響は限定的であったことが理由である。しかし、今後は金利上昇の可能性が高く、相応の利払い負担が発生する可能性があり、将来的には考慮する必要があるだろう。 4.生産性指標と収支 人工光型植物工場の生産性指標として、NPO法人植物工場研究会が調査を行っている(図表7)。 本稿では、図表1と図表3の2つのモデルと、図表7の「電気エネルギー」と「作業時間」の生産性指標を基にして、生産性を論じたい[19]。 図表7 人工光型植物工場の資源別生産性 (出所)「人工光型植物工場に関する生産性指標の種類、定義、計算式及び注釈」(古在豊樹、浦勇和也、甲斐剛、林絵理 「農業および園芸」 第94巻第8号(2019年))より、野村證券フード&アグリビジネス・コンサルティング部作成 図表7は生産物の用途を特定していないが、同じ非結球レタスでも小売向けと加工用で収支構造が異なることは図表1と図表3で示した通りである。小売向けは相応のコストをかけて高付加価値の商品を製造し、加工用は低コストで安価な商品を供給することを目指す方向性である。 当然、小売向けに比べて加工用は生産性を高めることが必要となる。 実際に、図表1のモデルで小売向けのデータを読み解くと、電気エネルギー量生産性は、2017年0.07kg/kWh、2019年0.085kg/kWh、2022年0.11kg/kWh、2024年(予想)0.11kg/kWhとなっている。作業時間生産性は、2017年4.34kg/h、2019年4.72kg/h、2022年5.71kg/h、2024年(予想)5.71kg/hとなっている。図表7では、作業時間生産性の下限が7.7kg/hとなっているが、小売向けレタスの場合はレンジを低く設定するのが妥当だろう。 図表3のモデルで加工用のデータを読み解くと、電気エネルギー量生産性は、2017年0.1kg/kWh、2019年0.12kg/kWh、2022年0.13kg/kWh、2024年(予想)0.14kg/kWhとなっている。作業時間生産性は、2017年7.76kg/h、2019年8.57kg/h、2022年9.58kg/h、2024年(予想)9.58kg/hとなっている。 上記データから小売向けレタスと加工用レタスそれぞれの資源量生産性の範囲を示すと、小売向けレタスは優良事業者の現状の電気エネルギー量生産性が0.1~0.11kg/kWhで、0.12~0.13kg/kWhが目標、現状の作業時間生産性が5~6kg/hで、6~6.5kg/hが目標。加工用レタスは優良事業者の現状の電気エネルギー量生産性が0.11~0.14kg/kWhで、0.15~0.16kWhが目標、現状の作業時間生産性が8~10kg/hで、10~11kg/hくらいが当面の目標と考えられる。ただ、電気エネルギー量生産性・作業時間生産性とも一層の収益性向上の余地を有している。 結び 弊社(野村證券㈱F&ABC部)では、人工光型植物工場の経営状態について相談を受けることがあるが、自社の経営状況に対するベンチマークを把握していないケースも見られる。健康診断に例えると、健康状態が良好ではないことは承知しているが、どの数値がどの程度問題なのかが認識できておらず、対症法が判明しない状況である。経営改善として、闇雲に売上を伸ばそうとしても収支状況が改善しないこともありうる。 本稿では、収支の各項目を因数分解することにより、既存の事業者には経営改善のヒントを、新規参入を検討される事業者にはベンチマークを提供することで、有効なビジネスモデル構築に資することを目的としている。 人工光型植物工場が2013年頃まで黒字化が困難だったのは、現在に比べて生産性が低く、コストと販売単価が高かったため、露地栽培レタスに対して競争優位に立てなかったことが原因であった。競争力が向上した要因は、栽培技術の進歩による生産歩留りの向上に始まり、LEDへの転換や栽培スペースの気密性の高い施設導入によるエネルギー生産性の向上などによりコスト削減に奏功し、日持ちの長さなどのメリットも相まって露地栽培レタスとの競争力が高まったことである。 本稿での検証により、人工光型植物工場業界において、以下のような傾向が推察される。2017年頃、優良経営体は将来への投資を行いながら、10%を超える営業利益率を達成することが可能であった。2019年頃は、単価下落で収支(利益率)が悪化しながらも業界全体の市場は拡大した。2020年以降想定外のコスト上昇に見舞われ、優良経営体でも黒字化が困難になり、その後の値上げ要請で最優良経営体がようやく黒字回復している状態と考えられる。 しかしながら、コスト上昇分を価格転嫁できているかと言えば、全く不十分な状況である。前号でも言及したように、レタスの露地栽培の作付面積は2018年から2022年にかけて1割近く減少しており、価格転嫁が不十分なままでは人口減少による需要の減少以上に供給力の低下が懸念される。 需要サイドからは、依然として露地栽培レタスと人工光型植物工場産レタスの価格競争を誘引するような駆け引きを耳にすることがある。もちろん、プロダクトアウトの発想で、供給サイドの都合を強要するのは筋違いだが、需要サイドが価格決定権を有し、露地栽培、(人工光型植物工場を含む)施設栽培ともに利益が出ない価格設定が続けば、生産基盤の弱体化は免れない。 設備メーカーは資材価格の上昇を転嫁するだけでなく、メーカーサイドのコスト削減努力や人件費削減に寄与するスペックの充実を推し進め、コストパフォーマンス向上により生産者の負担増以上の効果を目指すべきである。 コンビニ等の需要が拡大することは人工光型植物工場事業にとってメリットが大きい一方で、マーケットが大きいがゆえに、需要サイドの事前計画と実際の発注に差異が生じた場合の影響も甚大となる。そのしわ寄せが供給サイドに及んで結果的に経営を圧迫しているという嘆きを耳にすることもある。需要サイドと供給サイドがWin-Winの関係を構築できなければ、双方にデメリットが生じることは想像に難くない。供給サイドの供給力が減少し、結果的に消費者に負担がかかる可能性も否定できない。 「持続可能な食料生産のための適正価格」が行政サイドの目標として重視され始めており、人工光型植物工場業界も例外ではない。人工光型植物工場産野菜の需要サイドには「持続可能な食料生産のための適正価格」への配慮を高めることを要望し、供給サイドには過度の廉売を控えることや、一段のコスト削減の工夫を望みたい。 人工光型植物工場の場合、(生産物の)需要サイド、供給サイド、設備メーカー、電気をはじめとしたエネルギー供給機関など多様な関係者が関与する。往々にして供給サイドがリスクを負担するケースが多いと考えられるが、「持続可能な食料生産」のためには、すべての関係者が他人事ではなく「わがこと」として問題意識を持つべきであろう。関係者がすべてWin-Winの関係を構築することが肝要で、誰かの犠牲の上に成り立つシステムには持続性はない。もちろん、人工光型植物工場に限らず、すべての食料生産に対して当てはまることである。 本レビューの次号で言及する予定であるが、人工光型植物工場において、新分野の開拓や一層のコスト削減の可能性は十分にあり、業界としての発展余地は大きい。様々な分野でこれまで起こってきた技術開発も、黎明期には想像もつかなかった進化が起こり、産業として確固たる地位の確立につながった。人工光型植物工場の将来の可能性についても例外ではない。 ■関連記事 転換期の人工光型植物工場 - ①わが国における人工光型植物工場の歴史 - ディスクレイマー 本資料は、ご参考のために野村證券株式会社が独自に作成したものです。本資料に関する事項について貴社が意思決定を行う場合には、事前に貴社の弁護士、会計士、税理士等にご確認いただきますようお願い申し上げます。本資料は、新聞その他の情報メディアによる報道、民間調査機関等による各種刊行物、インターネットホームページ、有価証券報告書及びプレスリリース等の情報に基づいて作成しておりますが、野村證券株式会社はそれらの情報を、独自の検証を行うことなく、そのまま利用しており、その正確性及び完全性に関して責任を負うものではありません。また、本資料のいかなる部分も一切の権利は野村證券株式会社に属しており、電子的または機械的な方法を問わず、いかなる目的であれ、無断で複製または転送等を行わないようお願い致します。 当社で取り扱う商品等へのご投資には、各商品等に所定の手数料等(国内株式取引の場合は約定代金に対して最大1.43%(税込み)(20万円以下の場合は、2,860円(税込み))の売買手数料、投資信託の場合は銘柄ごとに設定された購入時手数料(換金時手数料)および運用管理費用(信託報酬)等の諸経費、等)をご負担いただく場合があります。また、各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。商品ごとに手数料等およびリスクは異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面、上場有価証券等書面、目論見書、等をよくお読みください。 国内株式(国内REIT、国内ETF、国内ETN、国内インフラファンドを含む)の売買取引には、約定代金に対し最大1.43%(税込み)(20万円以下の場合は、2,860円(税込み))の売買手数料をいただきます。国内株式を相対取引(募集等を含む)によりご購入いただく場合は、購入対価のみお支払いいただきます。ただし、相対取引による売買においても、お客様との合意に基づき、別途手数料をいただくことがあります。国内株式は株価の変動により損失が生じるおそれがあります。 外国株式の売買取引には、売買金額(現地約定金額に現地手数料と税金等を買いの場合には加え、売りの場合には差し引いた額)に対し最大1.045%(税込み)(売買代金が75万円以下の場合は最大7,810円(税込み))の国内売買手数料をいただきます。外国の金融商品市場での現地手数料や税金等は国や地域により異なります。外国株式を相対取引(募集等を含む)によりご購入いただく場合は、購入対価のみお支払いいただきます。ただし、相対取引による売買においても、お客様との合意に基づき、別途手数料をいただくことがあります。外国株式は株価の変動および為替相場の変動等により損失が生じるおそれがあります。 野村證券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商) 第142号 加入協会/日本証券業協会、一般社団法人 日本投資顧問業協会、一般社団法人 金融先物取引業協会、一般社団法人 第二種金融商品取引業協会 [1] 加工用(業務用)レタスの用途はレストラン・ホテル・テーマパーク向け、中食向け、スーパー・百貨店・ベーカリーなどの総菜向け、コンビニ及びベンダー向けなどが挙げられる。 [2] 財務会計、管理会計とも「製造原価」と「販管費」に区分することが一般的だが、本稿の場合、製造原価を把握することが目的ではないので、より簡潔に状況把握ができるよう、区分を行わずに一括りにしている。 [3] 生産歩留りは、播種数に対する可販株数の比率(百分率)。 [4] 販売歩留りは、可販株数に対する販売株数の比率(百分率)。 [5] 仮に80gパッケージ一択ならば、100gの株はトリミングして20g減少(実質歩留り80%)、60gの株は2株を使用して1パック化する対応となる(実質歩留り67%)。 [6] カルシウム欠乏に起因する生理障害で、葉の一部分(数ミリ)が褐色になり枯死する現象。収穫後に枯死部分を人手でトリミングする必要がある。レタスの場合、大株化するほどチップバーンの発生リスクが高まる。 [7] 鉄骨鉄筋コンクリート・鉄筋コンクリート工場用(償却期間38年)、金属造(4mm超)工場用(償却期間31年)、金属造(3mm超4mm以下)工場用(償却期間24年)などが該当すると考えられる。 [8] 電気設備(照明設備を含む)のうち蓄電池電源設備以外の場合。 [9] 2024年7月25日に開催された厚生労働省の中央最低賃金審議会で、2024年度の最低賃金の全国平均を現行より50円引き上げて1,054円とする目安額が示された。 [10] 高圧契約の標準的な人工光型植物工場事業者を想定している。地域によって料金の状況は異なる。 [11] 燃料費調整額は、貿易統計における原油価格や液化天然ガス価格などから算出される。その時々の平均燃料価格により毎月変動する調整額(東京電力エナジーパートナー㈱より)。 [12] 旧一般電気事業者(全国10電力会社)以外の、新電力を販売する企業を指す。2016年4月1日以降、電気の小売業への参入の全面自由化に伴い大きく増加した。 [13] 北海道電力㈱、東北電力㈱、東京電力㈱、中部電力㈱、北陸電力㈱、関西電力㈱、中国電力㈱、四国電力㈱、九州電力㈱、沖縄電力㈱。 [14] 古在(2021年)。 [15] 申請時期、種類、雇用人数等によって異なるが、電力料金の40~75%を概ね8年にわたって補助する。 [16] 栽培室の無人化が可能になれば、2,000ppm(あるいはそれ以上)のCO2施用が可能と考えられる。 [17] 高圧タンクを施設に隣接し、タンクローリーを使って調達することにより10円/kg前後の調達コストを実現している。高圧ボンベで調達した場合は100円/kg程度の負担になる。 [18] 世界30ヵ国以上で事業展開。果物・野菜品種を対象に25品目、1,500以上の品種の種子を確保している(RIJK ZWAAN HPより)。日本国内では高田種苗㈱が総代理店。 [19] 図表7の「電気エネルギー量」は栽培関連施設を対象とし、事務所等の栽培非関連施設は含まないことを前提としているが、図表1と図表3の「光熱費」は栽培非関連施設も含んでいるので誤差が生じる。ただし、事業者へのヒアリングによると、栽培非関連施設の光熱費は栽培関連施設の光熱費の1割に満たない。
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08/10 12:00
【特集】急激な円高・ドル安をもたらした3つの波 野村證券ストラテジストが解説
円高ドル安を促した3つの波 2024年半ば以降も米ドル円相場では円安基調が続き、7月11日には一時161円台まで円安ドル高が進行しました。その後は一転して円高基調へ転じ、8月5日の取引時間中には141円台を付けるなど、およそ1ヶ月の間に20円近く円高になりました。円高ドル安を促した要因の第1波は7月11、12日に実施されたと目される本邦通貨当局による円買いドル売り介入です。続く第2波は7月会合に向けた日銀の利上げ観測と7月会合を経て高まった日米金利差の縮小観測、第3波に米国の景気後退懸念を背景とした世界的な株安を挙げることができます。 ドル円急落の背景に投機資金のポジション調整 日銀は7月30-31日に開催した金融政策決定会合で、市場コンセンサスに反して利上げを決定、植田総裁は「引き続き金利を上げていく」と発言するなど、タカ派(利上げに積極的)な姿勢を示しました。 一方、FRB(米連邦準備理事会)は同日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で予想通り政策金利を据え置きました。パウエルFRB議長は会合後の記者会見で「早ければ9月に利下げが可能になる」と発言しましたが、その後に公表された主要な経済指標が市場予想を下振れたことを受けて、市場では米国の景気後退懸念が台頭、ハイテク関連企業の業績への失望も相まって主要株価指数が大きく下落しました。 結果、米ドル円相場は7月11日に付けた161円台から8月5日の141円台まで、わずか1ヶ月余りの間に20円も円高が進行する事態となりました。 短期間の間に円急騰をもたらした資本フローとして、第1に投機筋による円売りドル買いポジション(建玉)の巻き戻しが挙げられます。投機筋の通貨に対する投資ポジションを示すシカゴ通貨先物市場のドル円投資ポジションを見ると、2024年7月2日は約2.4兆円と1999年以降では最大規模に積み上がっていた円売りポジションが、7月30日時点には約9,700億円まで取り崩されています。日米金利差を背景に積み上げられた円売りポジションの解消過程で生じた強力な円買いがドル円相場の下落につながったと見受けられます。 円キャリートレードの巻き戻しも円高に寄与 第2に円キャリートレードが挙げられます。円キャリートレードは、主に機関投資家やヘッジファンドなどが低金利の円を調達して、相対的に金利の高い通貨で運用する取引を指します。外国銀行の在日支店から海外本店への貸付額と米ドル円相場の関係を見ると、両者の間には比較的高い正の相関関係があることが確認できます。 円で調達された資金は、通常、米国債などで運用されていると想定されています。しかし、近年では好調であった米国株にも相当程度の資金が振り向けられていたと見られます。このため、米国株の下落が円高につながり易い状態にあったと想定されます。 日米金利差の縮小ペースに注目 投機筋による通貨先物ポジションにせよ、円キャリートレードにせよ、いずれも基本的には日米金利差に依拠した投資ポジションであることから、ポジション調整一巡後は再び日米金利差の行方を念頭に投資ポジションが形成されることが予想されます。 野村證券では7月の金融政策決定会合を受けて日米の金融政策見通しを変更しました。パウエルFRB議長が9月FOMCでの利下げ実施を示唆した背景には、インフレ高止まりリスク以上に、労働市場の冷え込みを背景とした景気悪化懸念があると見受けられます。この点を踏まえて野村證券では、24年中の米国の利下げ見通しを2回(9月、12月)から3回(11月を追加)へ変更しました。 日本銀行は7月の決定会合で利上げを実施し、植田総裁は過度の金融緩和策の是正に積極的な姿勢を示しました。日銀の金融政策に関して野村證券では、従来の据え置き見通しから、24年中に1回(12月会合を有力視)、25年中に2回(4月、7月)の利上げへと変更しました。 野村證券では、短期的には一段の円高リスクが残ると判断し、24年9月末のドル円見通しを143円へ下方修正しました(前回は150円)。ただし、米国経済後退局面入りと断定するのは時期尚早であり、24年10-12月期にはトランプ氏勝利を織り込んだドル高圧力再燃の可能性も残るため、現段階では24年12月末の予想は148円で据え置きました。 (野村證券投資情報部 尾畑 秀一) ご投資にあたっての注意点
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08/10 07:30
【特集】令和のブラックマンデー、全治半年の見込み
※画像はイメージです。 2024年前半の日本株市場は、日経平均株価とTOPIX(東証株価指数)がそろって34年ぶりに史上最高値を更新するなど順風満帆の相場展開を見せていましたが、年後半に入って暗転しています。日銀のタカ派(利上げに積極的)化懸念と米国の景気下振れリスクに加え、それらに伴う円高加速への警戒感が市場で強まった結果、8月に入って歴史的な急落に見舞われました。 日経平均株価は、今年7月11日高値からわずか1ヶ月弱で1万円を超える大幅下落となり、8月5日(月)には前営業日比で4,451円安(12.40%安)の歴史的な急落となりました。1営業日の騰落としては、1987年10月20日のブラックマンデー(3,836円安)を上回る歴代1位の下落幅で、下落率はブラックマンデーの14.90%安に次ぐ歴代2位となります。 その一方で、各種テクニカル指標が軒並み極端な売られ過ぎを示唆する水準まで低下したことから、翌6日以降は自律反発に転じています。8月6日は一転して歴代1位の上昇幅(上昇率では歴代4位)となる前営業日比で3,217円高 (10.23%高) の過去最大となる急反発となりました。過去の歴史的な急落時は、その後に歴史的な急騰がワンセットになっているケースがほとんどです。当面は上下に値動きの荒い相場展開を覚悟する必要がありそうです。 今年7月以降の株価急落と、1987年のブラックマンデーや2008年のリーマンショック、2020年のコロナショック等の過去の急落局面とその後の株価の推移を見てみましょう(下図)。一番深く、長い調整となったのはリーマンショック後の調整ですが、当時は金融危機と呼ばれる状況で、深刻な信用収縮も起こっていました。一方、ブラックマンデーやコロナショック時の株価の動きはどうだったのでしょうか。両ケースともに直前の高値から1ヶ月前後で大底をつけ、その後は一時上値を抑えられる局面はあったものの、半年程度で急落前の高値前後まで値を戻しています。 過去の経験を参考とすれば、今回は、米国や日本で金融危機や信用収縮は発生しておらず、後者のパターンに当てはまりそうです。この先、8月中は引き続きボラタイルな展開が続く可能性はありますが、時間の経過とともに徐々に下値を固めていくとみられます。その後は、戻り待ちの売りをこなしつつ、年末に向けて本格的な戻り相場入りとなることが期待されます。 テクニカル分析は過去の株価・為替等の値動きを分析・表現したものであり、将来の動きを保証するものではありません。また、記載されている内容は一般的に認識されている見方について記したものですが、チャートの見方には解釈の違いもあります。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 ご投資にあたっての注意点
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08/10 07:00
【来週の予定】景気後退懸念を受けて米ハードデータへの注目が高まる
来週の注目点:米国・中国のハードデータと日本の4-6月期実質GDP 米国の景気後退懸念に端を発した世界的な株安は、急速な円高を伴って日本株を直撃しました。日経平均株価は8月5日に急落した後、6日は反発しましたが変化幅、変化率とも歴史的な変動を記録しました。7日に内田日銀副総裁による「市場が不安定な状況では利上げしない」旨の発言を受けて、日経平均は一旦、落ち着きを取り戻しています。 今週の米国では13日(火)に7月生産者物価指数、14日(水)に7月消費者物価指数が発表されます。これまではインフレ鎮静化が利下げ要件と見られてきましたが、景気後退懸念を受けて重要度は低下していると見ています。景気の先行きを予想する上では、15日(木)の8月NY連銀およびフィラデルフィア連銀の製造業景気指数、16日(金)の8月ミシガン大学消費者マインド(速報値)などの景気に対して先行性のあるサーベイデータに加え、7月小売売上高、7月鉱工業生産(いずれも15日発表)、7月住宅着工・建設許可件数(16日発表)など、実際の経済活動を計測したハードデータが注目されます。 中国では15日(木)に7月小売売上高、鉱工業生産、1-7月固定資産投資、不動産投資と重要な月次のハードデータが発表されます。製造業の在庫調整は順調に進展していることから、中国経済の先行きを巡っては個人消費と不動産市況の動向が注目点です。 日本では15日(木)に4-6月期の実質GDP(1次速報値)が発表されます。1-3月期は前期比年率-2.9%と大幅に落ち込みましたが、主因は能登半島地震などの外生的・一時的要因であったことから市場ではリバウンドが予想されています。野村證券では、輸出や民間消費、民間企業設備投資、公共投資等が実質GDP押し上げに寄与する一方、輸入や民間在庫が押し下げに寄与する結果、4-6月期は同+0.9%成長にとどまると予想しています。 (野村證券投資情報部 尾畑 秀一) (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2024年8月9日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(注2)画像はイメージです。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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08/09 16:08
【野村の夕解説】日経平均株価、小幅に反発 193円高(8/9)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 米国では新規失業保険申請件数が市場予想を下回り、米国景気の後退懸念が和らぎ、米国株主要3指数がそろって上昇しました。この流れを引き継ぎ本日の日経平均株価は前日比441円高の35,272円で始まりました。外国為替市場では朝方に1米ドル=147.40円台と、昨日17時台からおよそ1円程度円安に推移し、これを背景に日経平均株価は一時前日比840円高まで上げ幅を拡大させました。しかし、後場に入ると徐々に上げ幅を縮め、一転し前日比マイナスとなりました。その後は一時前日比386円安となったものの、再度前日比プラスへと転じました。終値は193円高の35,025円となり、反発して本日の取引を終えました。個別企業では、前日の取引終了後に発表されたリクルートホールディングスの決算が好感され株価が大幅に上昇しました。終値は前日比6.80%高となり、ソフトバンググループ(約69円押し上げ)ともに、日経平均株価を約51円押し上げました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時15分頃。ドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 米国では14日(水)に7月のCPI(米消費者物価指数)が発表されます。市場予想通り米国のインフレ率が緩やかな鈍化が明確になれば、米株式市場のボラティリティー(変動率)が和らぎ、日本株市場にも安心感が広がると考えられます。 (野村證券投資情報部 清水 奎花) ご投資にあたっての注意点
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08/09 12:00
【今週のチャート分析】8月5日に史上最大の下落幅、その後反発へ
※画像はイメージです。 ※2024年8月8日(木)引け後の情報に基づき作成しています。 5日に史上最大の下げ幅となった日経平均 今週(8月5日~)の日経平均株価は、米国景気悪化懸念による米国株安や、一時1ドル=141円台まで急速に円高が進行したことなどを嫌気して、大幅下落となりました。8月5日は、前営業日比4,451円安と史上最大の下げ幅となりました(図1)。 (注1)直近値は2024年8月8日時点。 (注2)出来事の日付は現地時間ベース。7月17・31日の報道は日本時間。(注3) 2024年7月11日・7月12日の為替介入は各種報道を元に記入。(注4)業種別株価は、TOPIX17業種ベース。業種表記は一部略称。 (出所) 日本経済新聞社、 ブルームバーグ、各種資料より野村證券投資情報部作成 フシを次々と下抜けた後、6日に自律反発 チャート面からこれまでの動きを振り返ってみましょう(図2)。 日経平均株価は、今年7月11日高値(取引時間中ベース:42,426円)からチャート上のフシを次々と下抜け、8月5日に一時31,156円まで下落し、約1ヶ月で1万円を超える大幅下落となりました。しかし、25日移動平均線からの乖離率がマイナス20%超え、RSIが11%台など、各種テクニカル指標は軒並み極端な売られ過ぎの水準まで低下したことから、翌6日は一転して自律反発に転じ、歴代1位の上昇幅(上昇率では歴代4位)となる前営業日比で3,217円高の急反発となりました。 (注1)直近値は2024年8月8日。 (注2)日柄は両端を含む。(注3)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。 (出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 戻りのメドは3万6000円台後半 次の戻りのメドとして、今年7月以降の下落幅の半値戻し水準(36,791円)や、200日移動平均線(8月8日:36,896円)等が意識されます(図2)。 一方、当面の戻りが鈍く、再度調整となる場合は、8月5日安値(31,156円)に向けて二番底を固めに行く展開が見込まれます(図2)。 超長期トレンドは継続中 歴史的下落を演じた株価ですが、2010年代から続く、超長期上昇トレンド自体は継続中だと考えられます(図3)。 (注1)直近値は2024年8月8日。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。 (出所)日本経済新聞社、各種資料より野村證券投資情報部作成 今回の下落は、これまで概ね下支えとなってきた、5年移動平均線(8月8日:28,492円)以上の価格帯での出来事です。この先、しばらくは、振れ幅の大きい展開が続くとみられますが、徐々に落ち着きを取り戻していくと考えられます。 日経平均は歴史的大幅安 過去の急落局面に学ぶ 今回は、今年7月以降の株価急落と、1987年のブラックマンデーや2008年のリーマンショック、2020年のコロナショック等の過去の急落局面とその後の株価の推移を見てみましょう(図4)。 (注1)直近値は2024年8月8日時点。 (注2)下落局面はすべてを網羅しているわけではない。(注3)ブラックマンデーや、コロナショック時や今回の下落局面は、直前の高値を起点とした。リーマンショックは2008年9月15日であり、その前営業日を起点とした。 (出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 一番深く、長い調整となったのはリーマンショック後の調整ですが、当時は金融危機と呼ばれる状況で、深刻な信用収縮も起こっていました。一方、ブラックマンデーやコロナショック時の株価の動きはどうだったのでしょうか。両ケースともに直前の高値から1ヶ月前後で大底をつけ、その後は一時上値を抑えられる局面はあったものの、半年程度で急落前の高値前後まで値を戻しています。 ブラックマンデー類似なら回復まで半年程度か 過去の経験を参考とすれば、今回は、米国や日本で金融危機や信用収縮は発生しておらず、後者のパターンに当てはまりそうです。この先、8月中は引き続きボラタイルな展開が続く可能性はありますが、時間の経過とともに徐々に下値を固めていくとみられます。その後は、戻り待ちの売りをこなしつつ、年末に向けて本格的な戻り相場入りとなることが期待されます。 (野村證券投資情報部 岩本 竜太郎) 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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08/09 08:21
【野村の朝解説】米景気への懸念後退でダウは683ドル高(8/9)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 8日の米国株式市場は、主要3指数が揃って上昇しました。先週末の7月米雇用統計の弱い結果に加え、このところ米新規失業保険申請件数は増加傾向にあり、米国では雇用情勢の悪化が警戒されていました。しかし、朝方発表された8月3日までの1週間の米新規失業保険申請件数は23.3万件と、前週比で1.7万件減少しました。労働市場の底堅さが示されたことで米景気後退に対する過度な懸念は和らぎ、NYダウは終日しっかりとした値動きとなりました。為替市場では先週末の米雇用統計がドル円相場の急落の一つのきっかけとなりましたが、急速なドル安円高の動きは一服しており、ドル円相場は概ね147円前後での推移が続いています。 相場の注目点 今週の米国株式市場は大荒れ相場となりました。米景気に対する先行き警戒感から、週明け5日のNYダウは約1年11ヶ月ぶりに1,000ドル超の急落となりました。翌6日は買い戻しの動きから300ドル近く上昇したものの、7日には再び下落に転じるなど、不安定な値動きが続きました。本日の上昇は、米国の雇用関連指標が市場予想よりも改善したことを受けて過度な懸念が和らいだことが材料視されたとみられますが、先行きを警戒する投資家は依然として多く、引き続き不安定な相場展開が予想されます。8日は米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げを急ぐとの見方が後退、米10年国債利回りは一時節目の4%を上回り、米2年国債利回りは4%台へ再上昇しました。FRBの利下げによる景気下支え期待が相場を支えていることから、目先は14日(水)の7月米消費者物価(CPI)が注目されます。なお、本日は中国で7月の物価統計(CPI、PPI)が発表されます。 (投資情報部 引網 喬子) (注)データは日本時間2024年8月9日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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08/08 16:07
【野村の夕解説】日経平均株価、落ち着きどころを模索し258円安(8/8)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 本日の日経平均株価は米国株安の流れを引き継ぎ、前日比443円安の34,645円と反落して取引を開始しました。前日の米国株は長期金利の上昇が嫌気され、株式主要3指数は揃って下落しました。米国の半導体株などハイテク株の下落が波及し、日経平均株価は一時前日比882円安まで下げ幅を広げました。一方で、レーザーテックやニトリホールディングス、アサヒグループホールディングスなどが、前日引け後に発表した好決算を手掛かりに逆行高となり、投資家心理を和らげ、下げ一巡後は下げ幅を縮小し上昇に転じる場面もありました。新規の材料に乏しい中、午後に入ると35,000円を挟んで一進一退の動きが続きましたが、引けにかけてはやや値を下げ、前日比258円安の34,831円と3営業日ぶりに反落して取引を終えました。日経平均株価の高値と安値の差分で計算される日中値幅は1,172円と依然高水準にはあるものの、3営業日連続して縮小を続けており、円高の一服もあり、徐々に落ち着き始めています。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時15分頃。ドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 本日の引け後、東京エレクトロンは2024年4ー6月期決算を発表します。日経平均株価の構成比で2番目に大きい同社の株価動向は明日の日経平均株価に大きな影響を及ぼすことから、発表内容が注目されています。米国では本日8月3日の週の新規失業保険申請件数が発表されます。 (野村證券投資情報部 神谷 和男) ご投資にあたっての注意点