新着
477件
-
07/08 19:00
【週間ランキング】日本株の値上がり/値下がり銘柄は?(7月第1週)
※画像はイメージです。 日本主要銘柄・株価騰落率ランキング(上位) 2024年7月第1週(2024年6月28日~7月5日) 2024年月6月間(2024年5月31日~6月28日) 2024年年間(2023年12月29日~2024年7月5日) (注)対象はTOPIX500、直近値は2024年7月5日。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 日本主要銘柄・株価騰落率ランキング(下位) 2024年7月第1週(2024年6月28日~7月5日) 2024年6月月間(2024年5月31日~6月28日) 2024年年間(2023年12月29日~2024年7月5日) (注)対象はTOPIX500、直近値は2024年7月5日。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 <参考>今週の日本株式市場パフォーマンス 主要指数 TOPIX: 東証33業種 (注)業種分類は東証33業種ベース。直近値は2024年7月5日時点。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
-
07/08 16:04
【野村の夕解説】日経平均株価、続落 131円安 (7/8)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 米国では、5日に発表された6月雇用統計が雇用市場の軟化を示し、長期金利が低下しました。また、日本では本日8時半に5月毎月勤労統計が発表され、基本給にあたる所定内給与が前年同月比2.5%増と、31年4カ月ぶりの高い伸び率となりました。日銀による早期の金融政策正常化が意識され、新発10年物国債の利回りは、前週末比0.015%高い1.085%をつけました。外国為替市場では1ドル=160円30銭台と、前週末比でやや円高に推移しました。14時には、6月景気ウォッチャー調査が発表され、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整済み)は47.0でした。旺盛なインバウンド需要を背景とした家計動向を中心に景況感が上向き、前の月に比べて1.3ポイント上昇(改善)、改善は4カ月ぶりとなりました。 本日の日経平均株価は、前週末比49円安の40,863円で始まりました。先週の米国株上昇を受け値がさ株の上昇が起因し、41,112円と史上最高値を付ける場面もありましたが、過熱感もあり大引けは131円安の40,780円となり、続落して本日の取引を終えました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時15分頃。ドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 米国では、パウエルFRB議長の半期議会証言(7月9日上院、10日下院)が注目されます。 (野村證券投資情報部 清水 奎花) ご投資にあたっての注意点
-
07/08 08:07
【野村の朝解説】米雇用統計を受けナスダックは最高値更新(7/8)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 独立記念日の休場明けとなった5日の米国株式市場では、主要3指数がともに上昇し、S&P500とナスダック総合は最高値を更新しました。米6月雇用統計が、労働市場の過熱の緩和を示す内容と受け止められました。非農業部門雇用者数は前月比20.6万人増と、市場予想の同19.1万人増を上回りました。政府部門の雇用が堅調な一方、民間部門の雇用者数が市場予想を下回りました。また、4月分は前月時点の同16.5万人増から同10.8万人増へ、5月分は同27.2万人増から同21.8万人増へと下方修正されました。平均時給は前年同月比+3.9%と市場予想と一致し、5月の同+4.1%から低下しました。失業率は4.1%と、5月の4.0%から上昇しました。雇用統計を受け、市場の利下げ期待値はやや高まり、年内2回の利下げをほぼ織り込みました。 フランスでは7日、議会下院選挙の決選投票が行われ、左派連合「新人民戦線」が最大勢力になる見込みです。左派連合の定年年齢の引き下げなどの公約が財政赤字を拡大させるとの懸念から、週明けのユーロは対ドルでやや下落しました。 相場の注目点 米国では、パウエルFRB議長の半期議会証言(7月9日上院、10日下院)が注目されます。先週ポルトガルのシントラで開催されたECB(欧州中央銀行)主催のフォーラムで、パウエル議長は1年後のインフレ率について、個人消費支出(PCE)物価指数で前年比+2.0%~+2.5%との見通しを示し、市場は金融政策についてハト派的な発言と受け止めました。議会証言でもパウエル議長は同様の説明を行うとともに、労働市場の下振れリスクにも言及すると野村では予想しています。 米国の利下げの観点から、11日の6月米CPI(消費者物価指数)も注目されます。 (投資情報部 竹綱 宏行) (注)データは日本時間2024年7月8日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
-
07/07 19:00
【特集】慎重派ストラテジスト・大川智宏「個人投資家にとっての優良株の探し方」
文/中城邦子 ※写真は全てイメージです。 個人投資家が株式市場のなかで見落とされている優良銘柄を探すとしたら、どんな視点で探せばいいのでしょう。QUICKナレッジコンテンツ本部の中山桂一さんが、智剣・Oskarグループの主席ストラテジスト大川智宏さんに聞きました(対談日:2024年4月2日)。 日本株の継続的な上昇のカギは内需関連株が握る 中山桂一さん(以下、中山)日経平均株価は2月に1989年以来の高値を更新しましたね。また2023年10月に、およそ34年ぶりの円安水準になって以降、円高になっていないことが、余計日経平均の上昇に弾みをつけました。大川さんは、「慎重派」ともいわれるストラテジストですが、これをどうご覧になっていますか。 大川智宏さん(以下、大川)ひと言で言ったら、びっくりですよ。ただ、日経平均株価の高値についていうと、構成銘柄のうちの半導体大手のウエイトが大きいですよね。日本株全体がそうですが、上昇した背景には外部要因が多く、内需関連株はあまり上昇していません。 中山内需関連株のなかでも、特に医薬品、食料品などでは下がっている銘柄が多い印象です。円安が痛手となっているという見方でいいんでしょうか。 大川輸入物価の高騰は、内需関連株にとってダブルパンチです。円安で製造コストが上がって利益を押し下げる。食料品や日用品が値上がりしているから、消費が伸びない。賃金を上げにくい状況です。すそ野が広い内需株が伸びないので、株価の上昇ほどには市場としても高揚感がない。本来、日本株だったら日本の内需で引き上げるべきなのですが、いびつになっていると見ています。 中山2023年3月に、東証が企業に「資本コストと株価を意識した経営」を要請しました。よくPBR(株価純資産倍率)改革といわれるものです。PBR改革によって、海外投資家がより日本株を買いやすくなるのかもしれません。それも外的な要素ですね。 大川PBRが1倍を割っていて、かつ海外投資家も買うような大型割安株は基本的に外需関連株が多かったですね。そのため内需関連株はフォーカスされにくい状況が続いてきました。そこがキャッチアップしてくるかどうかが、日本株の継続的な上昇の中で一番重要なファクターになると見ています。 決算短信で上方修正の有無、業績進捗率を確認 中山個人投資家の強みを活かした、見落とされている銘柄やまだ値上がりしていない優良銘柄の探し方はあるのでしょうか。 大川プロでない方が、どうやったら「出遅れ銘柄」、つまりこれから株価が上がることが期待できる銘柄を見つけることができるのか。その観点では、私は中小型株に注目するといいと思います。個人投資家の強みは自由にリスクを取れることと、中小型株に手が出せることなんです。機関投資家は手が出せない事情がありますから。 せっかく投資できるのだから、それぞれのリスク許容度に合わせて、個人投資家の強みを生かして投資するスタイルの人が増えてもいいんじゃないかなと思いますね。 そして、大事なのは銘柄を探す際に見る指標です。企業の増益率に注目しがちなんですが、そうではなくて業績予想の修正に注目してほしいと思います。 決算は一度出るとすぐに株価に織り込まれてしまいますが、予想の修正幅がどれぐらいなら株価に何%織り込まれるかは、それほど法則がありません。それがミスプライスを生んでいたり、あまり株価に織り込まれていなかったりすることがあります。 しかも、業績予想の修正は決算短信で簡単に確認できる。業績サマリーの下にある「業績予想」欄の有無を見て、修正内容を見るだけでもわかることなので、時間がない方や詳しくない方にも、有用性が高い情報です。 さらに一歩踏み込むなら業績進捗率です。例えば、第2四半期が終わった時点で進捗率85%なのに上方修正していない、そのせいで株価が上がってきていないという銘柄はよく見るとけっこう見つけられます。新興市場で上場している銘柄とか、特に中小型株は投資家でも見ていない人が多いですから。 中山年度の途中で、前もって見込んだ業績予想よりも大きな上振れや下振れが想定されると、業績予想の修正がされます。それと、通期の予想に対する進捗率を確認したほうがいいということですね。 大川はい。株価に織り込まれていない変化を探すことが、ミスプライスを取るうま味でもあるので、丁寧に見つけていくとなると、内需の中小型株がいいと思うんです。海外投資家が興味を持っていないからこそ、チャンスがまだまだ埋まっています。 中山株式市場の中で見落とされて株価が上がっていないし、業績の上向きにも気づかれにくいところですね。 個人投資家の投資リスクの考え方と出遅れ銘柄の探し方 中山PER(株価収益率)やPBRに注目して割安株を見つけるという方法はどうでしょうか。 大川私の持論ですが、PERやPBRが低い銘柄は、基本的に個人投資家は手を出さないほうがいいんです。割安ということには何か理由があり、リスクが隠れている可能性があるということですから。ただ、超低PERかつ増益予想の銘柄なら選ぶ意味もあるんじゃないかと思います。ここまで株価が下がっているなら多少のリスクは取れるんじゃないかという意味で、PERが8倍以下くらいで、12か月EPS成長率がプラスのものを探すのも一案です。 中山増益が予想できるけれども、割安に放置されているとみることができるわけですね。投資家が注目し始めると、上がる可能性がある。 大川逆にいうと、調整局面で下がりにくいともいえます。持っている投資家が少ないのだから。 中山では、好む人が多いと思われる高配当株はどう見ればいいでしょうか。 一定額を定期的に受け取れる投資商品は、年金生活者を中心に需要があったから、日本では毎月分配型の投資信託の販売が伸びた時期があります。また、高配当銘柄で構成された指数に連動する「高配当ETF」も人気が高まっていると聞きます。 大川高配当株を好む人は、新しいNISAが始まって以降、ますます増えていると想像できますね。ただし、高配当株も低PER・低PBR株と同じで、もらえる配当に対して株価が低いということだから、リスクはあるのです。何かの拍子に株価が急落したり、減配したりするリスクもありますから。 そこで配当利回りが高い銘柄を2つに分けて考えました。それが下の図です。株価が下落して配当利回りが3%になったのか、株価が上昇してもまだ配当利回りが3%あるのかで、意味合いが全然違う。 中山どういう変化率でこうなったのかを見ることが大切ということですね。 出所:智剣・Oskarグループ ※上図はイメージです 大川私は「株価下落型」と「そもそも高配当型」を比較したことがあり、その結果、後者のほうがその後のパフォーマンスがよくなる可能性が高いと考えています。 中山株価が下がって配当利回りが高い銘柄よりも、株価が上がっているから安心して持てるという考え方ですね。株価が低いほうがお得だと考えがちなので、この考えを覚えておくといいですね。 自己資本比率もチェックして負けない投資を目指す 大川もうひとつは、高配当株の選び方として、自己資本比率もチェックするといいです。自己資本比率が高い×高配当利回り株の組み合わせに注目すると、その後もパフォーマンスが上がる可能性が高いと考えています。 配当利回りが高いということは、何がリスクとなるかというと減配や無配に陥るということです。でも自己資本比率が高い企業なら、多少の業績の悪化でも配当を払える可能性が高い。リスクを低減するという意味での整合性がある組み合わせなのです。 この指標も、決算短信の1ページ目にある業績サマリーを見るだけで個人でも簡単に計算できます。業種にもよりますが、例えば配当利回り4%以上で、自己資本比率50%以上などが目安になると思います。 中山減配リスクがないことに加え、東証の「資本コストや株価を意識した経営」の要請があったことで、自己資本比率が高い企業にはもっと株主還元するよう求められていますから、増配ないし資本を圧縮するための自己株式の取得などを行う可能性もありますよね。 大川それによってさらに配当利回りが上がるかもしれませんよね。 中山改善に向けた経営改革策を示した企業のリストを東証が公表していますから、確認することも可能です。日本の企業は横並び気質が高いので、まだ何もしていない企業も今年中に経営計画を出すなどの行動に出るタイミングで、株価も評価されやすいかなというのはありますね。 ※本コラムで取り上げられた投資に関する基本的な考え方などについては、あくまで個人の見解によるものであり、野村證券の意見を代表するものではございません。 ご投資にあたっての注意点
-
07/07 12:00
【野村の視点】米国株の季節性:セル・イン・メイはもう古い?
(注)画像はイメージ。 株式市場には、「セル・イン・メイ(5月に株を売り9月に買いなおせ)」、「夏枯れ(夏は株価変動が小さく流動性が低下する)」といった夏季の格言があります。株式市場の夏のパフォーマンスが良くなかったことからできた格言です。 一方で、米国の大型株指数であるS&P500の7月の騰落率は2015年から2023年まで9年連続でプラスで、平均でも11月に次ぐ高い上昇率です。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 過去からの変化としては、「シントラ会議」=ECB(欧州中央銀行)主催の中央銀行フォーラムが、欧州ソブリン危機を受けた2014年から毎年5~7月にポルトガルのシントラで開催されるようになったことが挙げられます。2015年のシントラ会議では、クーレECB理事(当時)が、「夏季休暇シーズンによる流動性低下に対応して債券購入額を増やす」と発言しました。 S&P500の7月の好調がシントラ会議のおかげかはわかりませんが、中央銀行の動向には注目すべきと考えます。 (注)データは月次で、直近値は2024年5月時点。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 竹綱 宏行) ご投資にあたっての注意点
-
07/07 09:00
【オピニオン】頭の片隅に:米国の自然利子率を再考する
※画像はイメージです。 欧州中央銀行(ECB)が主催する国際金融会議である「ECBフォーラム」が7月1-3日にポルトガルの景勝地であるシントラで開催されました。主として金融を巡るテーマを議論する会議で、米カンザスシティ連銀がワイオミング州のジャクソンホールで毎年8月に開催する経済政策シンポジウムのECB版です。 主要中央銀行の総裁も出席して意見を述べるため、注目を集めますが、今年もパウエルFRB(米連邦準備理事会)議長やラガルドECB総裁がパネルディスカッションに参加して、意見を表明しました。いずれも、「インフレが十分に減速するにはもうしばらく時間がかかるが、ディスインフレの軌道に戻りつつある」との趣旨を述べ、市場に相応の安心感を与えました。 一方、こうした会議では中長期のテーマも取り上げます。今年は「均衡利子率」についてディスカッションが行われ、米NY連銀のウィリアムズ総裁も参加し、持論を披露しました。「均衡利子率」は「自然利子率」と同義ですが、経済・物価に対して引き締め的にも緩和的にも作用しない「中立的な実質金利水準」のことを指します。「完全雇用のもとで貯蓄と投資をバランスさせる実質金利」の水準として定義されます。同総裁は、従前、均衡利子率の推計を行ってきており、このテーマを主導する一人と言えます。 今回のフォーラムでの同総裁の発言のポイントは以下の通りです。①過去30年間、均衡利子率、中立金利は低下傾向にある。②重要なのは均衡利子率の推計には高い不確実性があることを踏まえ、金融政策の決定におけるその役割を重視すべきではないことである。③均衡利子率が大幅に上昇したとみるには、欧州と米国の間で均衡利子率に関する証拠が一致していないこと、潜在成長率の上昇を示す有力な証拠がないこと、という2つの重要な基準をクリアーする必要がある。 FOMC(米連邦公開市場委員会)が四半期毎に公表している経済見通しによれば、2024年6月時点での(名目)長期均衡政策金利は2.75%となっています。インフレ目標は2.0%ですから、長期実質均衡政策金利は0.75%とみなしていると思われます。本来の均衡利子率はもっと高いのではないか、あるいは最近、上昇しているのではないか、との意見も多く見られます。なお、パウエルFRB議長は今回のフォーラムにおいて、失業率と欠員率の関係を示すベバリッジ曲線に言及した上で、求人数がさらに減少すれば失業率が急上昇するリスクがあると示唆しています。こうした構造的要因の変化にも注目しながら、均衡利子率の議論に注目する必要があります。 目先の金融政策に影響を与えるわけではありませんが、均衡利子率の考え方には潜在成長率、インフレ目標等の在り方も含まれますので、市場の金利水準の目線に影響を及ぼすと考えられます。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 ご投資にあたっての注意点
-
07/06 19:00
【来週の米国株】「年前半大幅上昇なら年後半も上昇」は本当か? (7/6)
※執筆時点 日本時間5日(金)12:00 今週:インフレ懸念後退で株高 ※6月28日(金)-7月3日(水)3営業日の騰落。4日(木)は独立記念日の休場 今週の米国株式市場は、主要3指数が揃って続伸しました。ISM景況指数が製造業、サービス業ともに経済活動の拡大縮小の境目となる50を下回りました。インフレと金利上昇による株価への下押し懸念が後退し、株価への追い風となりました。主要3指数の中では、景気鈍化の影響よりも金利低下の恩恵が大きいと考えられるナスダック総合の上昇率がS&P500、NYダウの上昇率を上回りました。 24年前半を振り返ると「利下げ期待後退でも株高」 2024年の上半期(1月-6月)を振り返ると、S&P500は2023年末比+14%、NYダウは同+4%、ナスダック総合は同+18%と3指数揃って上昇しました。 年初に4%前後だった2024年末のFF(フェデラル・ファンド)金利先物は、6月末には5%前後まで上昇しました。年内利下げ回数に関する市場の織り込みが年初の6回前後から、6月25日時点で2回前後まで縮小したように、この半年間に「利下げ期待後退」の局面をたびたび経験してきました。特に、2024年4月には「利下げ期待後退&株安」場面も多く見られました。しかし俯瞰してみると、2024年初の米国10年国債利回りは3.8%だったのが6月末でも4.4%と年初の水準から上昇している一方、S&P500も年初の4742から6月末時点で5460へ上昇と、半年単位では株高・金利上昇となっています。景気・業績が良好で、金利が上がった、あるいは金利上昇でも景気・業績は改善基調を維持できるほどファンダメンタルズが堅調という点に帰着すると考えられます。 「年前半大幅上昇なら年後半も上昇」は本当か? 過去、S&P500指数が年前半大幅上昇だったケースをみると、年後半も堅調な動きとなるケースが多く見られました。 特に1990年以降において、年前半に10%以上上昇した10回のケースについては、年後半もすべてのケースで上昇し、上昇率は平均で10%を超えています。 24年下期ならではの要素には注意 とはいえ、必ずしもアノマリー通りとはいかないのが株式市場です。見通しを難しくしている一つの理由は、S&P500に占めるマグニフィセント7の存在感が高まったことで(時価総額ウェイトは約25%)、マグニフィセント7とそれ以外の乖離が大きくなっていることです。年初来のS&P500の上昇(約+15%)もマグニフィセント7の寄与度が約+10%で、残りの493銘柄だけだと約+5%にとどまります。バリュエーション面でも、S&P500の12ヶ月先予想PERは21倍ですが、マグニフィセント7だけで見ると33倍、マグニフィセント7を除くと18倍と大きな格差があります(以上6月25日時点)。ミクロの、マクロへの影響の大きさという点においてこれまでにない環境であり、その意味で来週末から始まる4-6月期決算発表の重要性は高まっています。 そのほか米大統領選をはじめとした世界の政治動向も、今年ならではの注意点といえるでしょう。 S&P500の24年末予想は5000~6200 今後のFRB(米連邦準備委員会)による利下げ開始、米国景気の軟着陸という環境が予想されるもとで、ゴルディロックス(適温)相場の継続が意識されやすいと考えられます。このため、米国株は期待リターン(配当込み)と試算される+6~8%前後のパフォーマンスを想定しやすいと想定しています。 先行きの景気拡大の継続とEPS(一株当たり利益)拡大に沿った展開を念頭に、2024年末のS&P500を5600(レンジは5000~6200)、2025年末のS&P500を5900(レンジは5200~6600)と予想しています。 来週:半期に一度のパウエルFRB議長議会証言に注目 日米の金融政策に引き続き注目が集まる中、米国では9日(火)及び10日(水)にパウエルFRB(米連邦準備理事会)議長による半期に一度の議会証言が行われます。今後の金融政策や銀行の資本規制などが議題に上がると見られます。 経済指標では、11日(木)に6月消費者物価指数(CPI)、12日(金)に6月生産者物価指数、7月ミシガン大学消費者マインド速報値が発表されます。コア(食品・エネルギーを除く)CPIが鈍化すれば、年内の利下げ開始に向けた後押し材料になると見られます。 (編集:野村證券投資情報部 小野崎 通昭) ご投資にあたっての注意点 要約編集元アナリストレポートについて 野村オリジナル記事の配信スケジュール
-
07/06 09:00
【注目トピック】リビジョンインデックスは再度加速局面へ
※画像はイメージです。 日本:2024年4-6月期決算プレビュー 2024年4-6月期決算発表が始まる 2024年4-6月期決算の発表が7月下旬より本格化します。2024年6月末時点での、ラッセル野村Large Cap(除く金融)のコンセンサス予想は、3.8%増収(前年同期比)、同6.7%営業増益となっています。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注1)ラッセル野村Large Cap(除く金融)の四半期・増収率および営業増益率、経常増益率の推移。(注2)2024年1-3月期までは実績値、2024年4-6月期は、2024年6月28日時点のQUICKコンセンサス予想が存在する企業のみで集計している。(注3)2022年1-3月期以降はソフトバンクグループを集計から除外している。2024年1-3月期以降はさらに公益セクターに属する企業を除外している。(出所)QUICKなどより野村證券投資情報部作成 2024年1-3月期に比べ、売上、営業利益ともにやや減速する予想となっていますが、我が国においては、余程の突発的事象が期末に起きない限り、四半期実績は市場コンセンサスを上回って着地しています。 企業業績を取り巻く環境の良し悪しにかかわらず、概ね5割台半ば~6割台半ばの企業が事前の市場コンセンサス予想に対して上振れて着地し、結果的に集計した業績も数%ポイント上振れています。 加えて、今回は4~5月にかけて公表された保守的な会社側見通しの影響を受け、アナリスト予想(≒市場コンセンサス)も保守的となっている公算が大きいことから、ここで示したコンセンサス予想を下限と考えておいて差し支えないと思われます。 期初は伸び率下方修正のスタートだった 4~5月の決算発表シーズンに同時に発表された期初時点の会社側(経常増益率)見通しは、ラッセル野村Large Cap(除く金融)ベースで前年度比-0.7%と保守的でした。 (注1)上図はラッセル野村Large Cap(除く金融)の、2023~2025年度予想経常利益額の、3ヶ月ごとの修正動向。直近は、2024年6月3日時点。予想は野村證券エクイティ・リサーチ部による。(注2)下表は、野村證券エクイティ・リサーチ部による前回(2024年3月1日時点)と今回(2024年6月3日時点)における予想経常増益率の比較。会社見通しは2024年6月3日時点。2024年4-6月期以降の為替前提は1米ドル=150円。(出所)野村證券エクイティ・リサーチ部/市場戦略リサーチ部などより野村證券投資情報部作成 これを受け、2024年6月3日に取りまとめられた、野村證券のアナリストによる2024年度予想経常増益率は同5.0%にとどまり、3月1日時点の同5.7%から、(予想利益額こそわずかながら上方修正となったものの)伸び率は下方修正となりました。 一方、会社側の見通しが存在しない2025年度予想については、アナリスト予想は実額、伸び率ともに明確に上方修正されています。(2024年度の)アナリスト予想が、4~5月にかけていかに会社側見通しに影響を受けていたかが間接的にうかがえる内容だったといえるでしょう。 本決算シーズンはRIが悪化しやすい 4~5月にかけて、リビジョンインデックス(RI)が悪化するのは今回に限ったことではありません。下図にあるとおり、過去10年間では過半を大きく超える確率で、①それまでRIがプラス圏(=上方修正が優勢)で推移していたにもかかわらず、②決算シーズンがスタートすると急速にRIが悪化していることが見て取れます。 (注)ラッセル野村Large Cap(除く金融)の週次のリビジョンインデックスの推移。2014年~2024年の2月~8月の推移を示している。2月月初時点でリビジョンインデックスがマイナスであった、2016年、2019年、2020、2023年は表示していない。2024年の直近値は2024年6月28日時点。(出所)野村證券市場戦略リサーチ部より野村證券投資情報部作成 明らかに、事前のアナリスト予想に比較して、相対的に保守的な新年度の会社側見通しに影響を受けて、下方修正件数が増加していることが確認できます。 なお、決算シーズンが終了し、会社側からのニュースフローが減少すると、RIは速やかにそれ以前の水準に戻ります。今回も例外ではなく、足元(6/28)のRIは+15.2%となっており、業績モメンタムが非常に強いことがうかがわれます。 注目されるアナリスト予想の行方 蛇足ですが、足元でRIがプラス圏に復帰したのは、もっぱらアナリストの判断によるもので、会社側見通しの(期初見通しからの)修正を受けたものではないと見られます。4-6月決算発表時には、通期に対する経過時間の比率が低いことから、通期見通しを修正してくる会社は極めて少数(構成比で2割未満)です。 そのため、4-6月期の決算シーズンではアナリストによる通期業績の修正動向に目が向くことでしょう。前述のとおり、6月3日に取りまとめられた2024年度の予想経常増益率は前年度比+5.0%にとどまりました。ただ、当時使用していた前提、150円/米ドル、生産は前年度比1.68%増、に基づきトップダウン試算すると同10.3%の増益という結果となります。 足元では当時に比べ、生産はやや下振れ(同+1.2%)、為替は逆に円安方向に振れています。両者が相殺する形となり、現在でも同10%前後の経常増益が期待できます(下図 淡灰色のセル参照)。アナリストによる新予想がこの試算にどれだけ近づくかが注目されます。 (注1)鉱工業生産および、米ドル円レートを2024年3月1日時点のモデルケース(薄赤色のセル)から変化させた場合の2024年度ラッセル野村Large Cap(除く金融)の推計経常増益率(前年度比)。モデルケースは、鉱工業生産が前年度比+1%、為替は1米ドル=145円前提に基づくラッセル野村Large Cap(除く金融)のアナリスト予想経常増益率+5.7%(前年度比)。(注2)2024年6月3日時点の野村證券経済調査部による2024年度の鉱工業生産予想は前年度比+1.68%。アナリストが業績予想に使用する米ドル円レート前提は1米ドル=150円。(注3)1米ドル当たり1円の円安で0.4%弱、1%の鉱工業生産増で3%強、経常利益が増加する前提で試算を行っている。(出所)野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 伊藤 高志) ご投資にあたっての注意点
-
07/06 07:00
【来週の予定】パウエルFRB議長による半期に一度の議会証言
来週の注目点:パウエルFRB議長の議会証言、米CPI、東京都知事選 日米の金融政策に引き続き注目が集まる中、米国では9日(火)及び10日(水)にパウエルFRB(米連邦準備理事会)議長による半期に一度の議会証言が行われます。今後の金融政策や銀行の資本規制などが議題に上がると見られます。 米国の経済指標では、11日(木)に6月消費者物価指数(CPI)、12日(金)に6月生産者物価指数、7月ミシガン大学消費者マインド速報値が発表されます。コア(食品・エネルギーを除く)CPIが鈍化すれば、年内の利下げ開始に向けた後押し材料になると見られます。 日本では、7日(日)に東京都知事選挙の投票日を迎えます。今後の都政のみならず、その後の自民党総裁選、衆議院選挙などにも影響を与えると見られるだけに、注目が集まります。 日本の経済指標では、8日(月)に5月毎月勤労統計が発表されます。24年春闘の反映が進むことで、24年5月の現金給与総額(1人当たり賃金)は、前年同月比+3.2%(市場予想は同+2.1%)と、4月(同+1.6%)から大幅に加速したと野村證券では予想します。他方、8日(月)発表の6月景気ウォッチャー調査では、街角景況感(景気の現状判断DI)は、前月から悪化したと予想します(市場予想は小幅改善)。6月の円安の進行が景況感を悪化させた可能性があります。 中国では、12日(金)に6月貿易統計が発表されます。中国元安の進行に伴う価格競争力の向上や、世界的なテクノロジーセクターの持ち直しなどを受けて、中国の輸出は堅調に推移すると予想します。 欧州では、7日(日)にフランス下院議会選挙の決選投票を迎えます。極右政党の国民連合(RN)が躍進した場合には、財政悪化やフランス国債の格下げ懸念などが高まり、ドイツ国債とフランス国債の金利差の拡大や欧州株安、ユーロ安につながる可能性があります。 (野村證券投資情報部 坪川 一浩) (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2024年7月5日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(注2)画像はイメージです。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点