新着
458件
-
2024/12/31 18:00
【新春特集】米国市場の一人勝ちは続くのか?(投資の視点)
米国一強の要因は、1)シェール・オイル生産、2)対外強硬策、3)テック株への資金集中2025年はインフレ下げ止まりが3要因を劣化させ、米国一強が揺らぐ可能性が高いAIブームのインフレ抑制効果で米一人勝ちが長期化する一方、テック株バブル化のリスク 2025年の投資環境を考える上で、「米国一強」と称される状態が続くか、もし修正されるならば、いつ何がきっかけとなるか、が重要です。近年それをもたらした要因は、1)シェール・オイル生産の本格化、2)自国優先の通商政策、3)IT産業での支配的地位確立、でしょう。米国一強を象徴するのは、米国株の他国株対比の優勢とドル高ですが、それぞれ14年(シェール・ショックによる原油急落)、18年(対中制裁関税導入)、21年(米テック株急伸)に、それらが進行したのは決して偶然ではないでしょう。 図表1: 米国株と他国株の相対株価指数とドル (注)データは日次で、直近値は2024年12月18日。(出所)ブルームバーグより野村證券市場戦略リサーチ部作成 対照的に米国一強が揺らぎ、米国株が対世界株で劣勢に回った時期には、ドルが大きく下落しています。これは米国が巨額の財政赤字・経常赤字を抱えながらも、他市場対比の金利高や株価優勢によって外資を惹きつけ、結果ドルが過大評価され易いために起こる現象と言えます。17年は第1次トランプ政権において景気対策が先行実施され、グローバル景気同時回復が起こった時期です。景気敏感な日本など他国株が米国株の上昇ペースを凌駕しました。20年はコロナ禍を受け、米国が先行して大幅利下げしました。逆に22年はインフレ懸念が台頭、米国が先行して大幅利上げ、地銀業態で経営不安が発生しました。このうち最後だけが株安局面です。つまり米国株高・金利高でも米国一強が揺らぎ、ドル安となる局面があり、25年、特に後半はそうなり易いでしょう。 25年に米国一強が揺らぐと見る理由は、米インフレの下げ止まりです。景気が再加速に向かう中、米国では労働需給の緩和が止まり、賃金インフレが再燃すると見られます。そうなればFRBは利下げを止めるだけでなく、利上げも視野に入れた政策スタンスにシフトせざるを得ないでしょう。金利高により米国株が劣勢に回るでしょう。 もちろんトランプ米次期大統領は様々な手段を使い、自らの公約でもある米国一強の継続を試みるでしょう。ですがそれは可能でしょうか?上述の3要因に沿って考えてみましょう。まず原油価格です。トランプ氏は原油増産を公約に掲げ、国内シェール企業もそれに応じる姿勢です。しかしそれを読んで原油価格は70ドル/バレル付近にすでに下げており、生産コスト平均の65ドル/バレル程度に接近しています。補助金を与えて人為的に生産コストを下げることなどをしなければ、原油安によるインフレ抑制余地は小さいでしょう。加えて米国のインフレ期待は原油価格に対し上放れつつあり、トランプ氏の政策全体のインフレ的要素を重視している様に見えます。 図表2: 米国10年BEIと原油価格 (注)米国10年BEIとは、ブレークイーブンインフレ率(Breakeven Inflation Rate)の略称。米国の10年国債の名目利回りと、同期間のインフレ連動国債の利回りの差を示す指標。データは日次で、直近値は2024年12月18日。(出所)ブルームバーグより野村證券市場戦略リサーチ部作成 次に通商政策です。関税引き上げはトランプ氏の公約の1つです。ところが選挙後のSNSでは、対中国で10%の引き上げと、選挙前からするとかなりトーンダウンしました。関税引き上げは米国にとってインフレ押し上げ要因です。第1次トランプ政権(16年)時のようにデフレ的な経済環境であればそれも正当化されたのでしょうが、今局面では、すでに燻っているインフレ懸念の火に油を注ぐ結果になりかねません。 最後に米テック株の優勢です。確かにAIブームが25年に、にわかに萎んだり、それにおける米国企業の支配的な位置付けが揺らいだりするとは思えません。一方、その分米テック株のバリュエーションはかなり割高感が強まっており、22-23年の同株価急落の例を見ても予想外の金利高には脆弱です。米国の関税引き上げ懸念が一巡した後、グローバル景気同時回復の様相が強まれば第1次トランプ政権下の17年の様に、景気敏感な他国株が優勢に立つと見られます。 ただし率直に言えば最後の点が最も不透明であり、予想に反して25年も米国一強が続き得るリスクになり得ます。つまり金利がさほど上がらないか、もしくは金利高に米テック株が想定以上の耐性を見せる場合です。その観点で足元浮上している「AI活用による企業生産性上昇・インフレ抑制」の議論は注視が必要です。なぜならこのテーマは90年代後半のインターネット・ブームでも台頭し、米テック株のバブル化を演出したためです。 確かに当時、労働需給ひっ迫、賃金高止まりの割にインフレは抑制され(図表3上)、その乖離はIT活用による生産性上昇によると理解されました。しかし後から振り返れば、アジアからの安価な輸入品拡大と、IT製品・サービスの需要急拡大に伴う「直接的」な物価押し下げ効果が相当程度影響していたとも見られます。「直接的」とは、IT製品・サービスは技術進歩が速く、統計算出上それを調整するとあたかも価格が下落した様になり、更に消費に占めるそのシェアが拡大し物価指数全体の押し下げ効果も高まるためです。当時のFRBは株式市場のバブル化を察知し、利上げでそれを抑制しようとしましたが(図表3下)、IT以外のより脆弱な産業(金融・不動産など)が先に崩れてしまい、結果的には消費が過熱し、名実ともにインフレ圧力が強まるまで、十分な利上げができずITバブルが膨張し続けたことは、今局面を考える上でも示唆に富んでいます。 図表3: 90年代後半のインフレ・政策金利とITバブルの形成 (注)水色シャドーは景気後退期。データは月次で、直近値は2024年11月。(出所)ブルームバーグより野村證券市場戦略リサーチ部作成 もちろん当時との違いも念頭に置くべきでしょう。ITバブル膨張・崩壊の経験知が当局者や市場参加者にあることに加え、現在の方が西側サプライチェーンからの中国切り離しや、地政学リスクによるエネルギー供給の不安定化など、構造的なインフレ圧力が強いように思えます。またAI関連産業の広がりがインターネット関連産業に比べて小規模に留まる可能性もあります。これらを踏まえると、仮にAIバブルが発生しても、より小規模、短期間であるかも知れません。 (野村證券市場戦略リサーチ部 松沢 中) ※野村週報 2025年新春特別号「投資の視点」より ※こちらの記事は「野村週報 2025年新春特別号」発行時点の情報に基づいております。※画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
-
2024/12/31 12:00
【新春特集】史上最高値更新と夏の大波乱(市況概況<2024年>)
日経平均株価、約34年ぶり史上最高値更新、大波乱を乗り越え2桁の上昇率を記録日銀、マイナス金利解除を決定、10年国債利回りは約11年ぶり1%台に米国大統領選挙、共和党のトランプ氏が勝利し、減税や規制緩和への期待高まる 2024年の日経平均株価は、円安や米国株の上昇を受けて年初から上昇基調となり、2月22日には約34年ぶりに史上最高値を更新しました。このような動きは、脱デフレや企業改革の進展、新NISA制度のスタートといった大きなうねりの中での歴史的な瞬間と言えるでしょう。 もう一つの大きな転換点は、3月19日に日銀が発表したマイナス金利政策を含む大規模緩和の解除決定です。長期金利(日本10年国債利回り)は5月に約11年ぶりに1%台となりました。これらの金利上昇は日本株の重荷となりましたが、米国株の上昇もあり、日経平均株価は7月11日に42,224円(終値ベース)へ上昇しました。 24年夏、うだるような暑さが続く日本列島でしたが、金融市場は冷や水を浴びせられるような厳しい状況に見舞われました。7月31日に日銀が追加利上げを行い、円キャリートレード(円で資金調達し、外貨などで運用する取引)の解消が円高を加速させました。さらに、米国で発表された弱い雇用統計から景気減速の懸念が広がり、米国株が下落しました。そして、8月5日に日経平均が前営業日比4,451円安という歴史的急落を記録したのです。翌日には大幅反発となる等、しばらくは振れ幅の大きい動きが続きました。その後、徐々に落ち着きを取り戻し、10月中旬には一時4万円台を回復する場面もありました。 秋は政治面で大きな変化がみられました。10月27日の衆議院選挙で連立与党の自民・公明両党が議席を大幅に減らし、少数与党となりました。また11月の米大統領選挙では、共和党のトランプ氏が勝利しました。減税や規制緩和への期待で米国株は上昇基調となりましたが、日本株は関税強化の懸念から上値を抑えられ、11月末を迎えました。 24年の日経平均株価の上昇率は11月末時点で14.2%となり、2年連続で二桁の上昇率となりました。 テーマ面では、「生成AI」利用が一般企業に広がる中、半導体関連企業に加えて、海外では世界的なソフトウェア企業やクラウドサービス企業にも注目が集まりました。日本では、日銀のマイナス金利解除を受けて、長期金利上昇期待が高まり、「金融」に関心が集まりました。そして10月には石破首相が誕生し、「防災」や「防衛」への注目が寄せられています。2024年、物言う株主(アクティビスト)の活動が活発化する中、企業は株主や投資家目線での経営にさらに注力することが求められています。2025年、日本株や日本経済が次の段階へと進化できるかが注目されることでしょう。 図表1: 2024年 主要アセット年間騰落率(11月末時点) (注)騰落率は昨年末からの年間パフォーマンス、直近値は2024年11月末時点。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 図表2: 市況概況 日米株価・ドル円相場と主な出来事 (注)直近値は2024年11月末時点。 ドル円相場は日銀公表値。株価の高値・安値の表記は、日経平均、NYダウは終値ベース、ドル円はザラ場ベース。為替介入の日付は報道ベース。(出所)各種データより野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 岩本 竜太郎) ※野村週報 2025年新春特別号「市況概況<2024年>」より ※こちらの記事は「野村週報 2025年新春特別号」発行時点の情報に基づいております。※画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
-
2024/12/31 07:00
【動画 3分チャート塾】シーズンⅢ:第3回 大きな反動に備えよ V計算値
「動画 3分チャート塾」は、株価チャートの見方を学びたい初心者から中級者の方向けの動画シリーズです。 今回は、上値・下値メドの探り方の一つ、「V計算値」について、説明しています。 シーズン I:意外と知らないローソク足(全8回)ローソク足の基本の読み方や中長期的な相場の捉え方などについてわかりやすく解説していきます。シーズンII:相場の見方の強い味方、移動平均線(全9回)移動平均線の基礎や活用法についてわかりやすく解説していきます。シーズンIII:上値、下値のメドを探ろう(全10回)上値、下値メドの探り方についてわかりやすく解説していきます。シーズンIV:相場の過熱感を測るには?(全9回)オシレーター系指標についてわかりやすく解説していきます。シーズンV:トレンドラインを引いてみよう(全9回)トレンドラインについてわかりやすく解説していきます。 ご投資にあたっての注意点
-
2024/12/30 18:00
【投資と税金】相続税を払った人が得をする?相続税の取得費加算の特例
相続した不動産を売却するべきか迷っていたところ、相談した不動産会社の方から早めに処分した方が良いとアドバイスを受けました。理由を尋ねたところ、「相続で取得した不動産は、特例適用対象期間内に売却すると減税になる」とのことでした。いったいどんな制度なのか、大手町トラストの税理士に伺いました。 (注)画像はイメージです。 はじめに 相続または遺贈により取得した土地、建物、株式等の財産を売却したときに利益(譲渡所得)が発生すると所得税や住民税がかかります。取得した財産を一定期間内に譲渡した場合、相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算することができます。この特例を「相続税の取得費加算の特例」といい、適用により所得税・住民税の負担が減少します。 「相続税の取得費加算の特例」とは 相続または遺贈により取得した財産を、相続開始日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年以内、すなわち相続開始日の翌日から3年10ヶ月以内に売却した場合には、その売却した人が負担した相続税のうち一定金額を取得費に加算して譲渡所得の計算を行うことができます。 対象者または対象物 特例の適用を受けるためには以下の要件をすべて満たす必要があります。 相続や遺贈により財産を取得した者であること。その財産を取得した人に相続税が課税されていること。その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること。 計算方法・計算式 ① 通常の譲渡所得の計算 譲渡所得の金額 = 売却収入 -(取得費+譲渡費用) ② 取得費加算の特例を適用する場合の譲渡所得の計算 譲渡所得の金額=売却収入-{(取得費(※)+取得費加算額)+ 譲渡費用 } ※相続又は遺贈により取得した財産を売却した場合の取得費は、被相続人における取得費を引き継ぎます。 また、取得時期も被相続人の取得日を引き継ぎます。 例えば、相続した土地を売却した際の譲渡所得を①と②の計算方法で比較すると、以下のようなイメージになります。 取得費 : 土地や建物の購入代金、建築代金、購入手数料のほか設備費や改良費等。建物の取得費は所有期間中の減価償却相当額を差し引いて計算。譲渡費用 :土地や建物を売るために支払った仲介手数料や印紙税、測量費用・建物の解体費用等。 取得費に加算する相続税額は、次の算式で計算した金額となります。 ただし、その金額がこの特例を適用しないで計算した譲渡益の金額を超える場合は、その譲渡益相当額となります。なお、譲渡した財産ごとに計算します。 相続や遺贈により取得した株式と同一銘柄の株式を保有している場合において、特例適用対象期間内にその株式の一部を譲渡したときには、その譲渡については、その相続や遺贈により取得した株式の譲渡からなるものとしてこの特例を適用することができます。 土地を売却した場合の具体例による計算 取得費加算額の計算 ・相続税額:1000万円 ・売却した土地の相続税評価額:2000万円 ・相続税の課税価格(相続時の現金・土地等を含めた額、債務控除前):1億円 上記の計算式で計算すると、「取得費加算額」は200万円となります。 1000万円(相続税額)× 2000万円(売却した土地の相続税評価額)/1億円(相続税の課税価格) 例えば、相続した土地を3000万円で売却し、取得費、譲渡費用が以下であった場合、課税対象となる金額は1200万円となります。 ・土地の購入費(取得費 10年前に購入):1500万円 ・譲渡費用(仲介手数料等):100万円 ・取得費加算額:200万円 取得費加算額の特例を利用することによって所得税や住民税を軽減することができます。 利用する際の注意点 「相続税の取得費加算の特例」を適用するためには、一定の書類を添えて確定申告をすることが必要です。 また、この特例は、定められた期限内に取得した財産を売却した場合に適用されるため、注意が必要です。複数の不動産を相続した場合は、優先順位を決めて売却されるとよいでしょう。 まとめ 土地の場合は売却まで時間がかかるため、相続した財産の処分を検討する場合は、早めに不動産会社や税理士に相談されるとよいでしょう。 この資料は情報提供を唯一の目的としたもので、投資勧誘を目的として作成したものではありません。この資料は信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、野村證券は、その正確性および完全性に関して責任を負うものではありません。この情報は、ご覧いただいたお客様限りでご利用いただくようお願いいたします。詳しくは、所轄税務署または顧問税理士等にご確認ください。 ご投資にあたっての注意点
-
2024/12/30 16:37
【野村の夕解説】日経平均株価は35年ぶり年末での史上最高値(12/30)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 米国金利の先高観を受け米長期金利が上昇(価格は下落)し、前週末の米国主要3指数は揃って反落となりました。本日の日経平均株価は前週末比44円高の40,325円で始まりましたが、寄り付き後まもなく下げに転じました。先週末は5ヶ月ぶりに節目となる4万円台を回復したことから利益確定の売りも出たとみられ、日経平均株価への寄与度が高い値がさ株が下落し全体を押し下げました。その後も上昇に転じる材料に欠け、終値は前週末比386円安の39,894円となりました。年間の騰落率では、日経平均株価は昨年末比19.2%高、TOPIXは同17.6%高となりました。日経平均株価は1989年末の38,915円を上回り、35年ぶりに年末での史上最高値を更新しました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時45分頃。ドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 日本市場は、本日が大納会となり、2025年1月6日(月)が大発会と、長期間の休場となります。米国市場は2025年1月1日(水)が休場となり、2日(木)から通常取引となります。日本が休場の間に米国市場などが大きく動き、6日(月)の休場明けに国内市場が影響を受ける可能性には注意が必要です。また、1月6日(月)の上下両院合同会議においてトランプ氏が次期米大統領として正式決定され、20日(月)に大統領就任式が行われます。政権移行期の最中にトランプ次期大統領が発信する経済政策などを巡る情報に注意が必要です。 (野村證券投資情報部 清水 奎花) ご投資にあたっての注意点
-
2024/12/30 08:36
【野村の朝解説】前週末の米国主要3指数は揃って下落(12/30)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 前週末の米国市場は、参加者が少ない中で長期金利の上昇が嫌気され、主要3指数は揃って下落しました。中でも、ここ数日相場をけん引してきたテクノロジー株が利益確定売りに押され、重石となりました。一方、米ドル円レートにおいては、長期金利上昇の影響は限定的となり、前週末からはほぼ横ばいの157円台で推移しています。 相場の注目点 日本では本日大納会で、その後1月6日(月)の大発会まで休場です。米国市場は1月1日の休場を除いて取引が行われます。前週末の米国株下落の流れを引き継ぎ、本日の日経平均株価は下落しての取引が見込まれます。心理的節目の4万円を上回って今年の取引を終えるか注目されます。 本日のイベント 本日米国では、12月シカゴ購買部協会PMIの発表が予定されています。 (野村證券 投資情報部 神谷 和男) (注)データは日本時間2024年12月30日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
-
2024/12/29 09:00
【動画 3分チャート塾】シーズンⅢ:第2回 過去と同じだけ動いたら?「N計算値」
「動画 3分チャート塾」は、株価チャートの見方を学びたい初心者から中級者の方向けの動画シリーズです。 今回は、上値・下値メドの探り方の一つ、「N計算値」について、説明しています。 シーズン I:意外と知らないローソク足(全8回)ローソク足の基本の読み方や中長期的な相場の捉え方などについてわかりやすく解説していきます。シーズンII:相場の見方の強い味方、移動平均線(全9回)移動平均線の基礎や活用法についてわかりやすく解説していきます。シーズンIII:上値、下値のメドを探ろう(全10回)上値、下値メドの探り方についてわかりやすく解説していきます。シーズンIV:相場の過熱感を測るには?(全9回)オシレーター系指標についてわかりやすく解説していきます。シーズンV:トレンドラインを引いてみよう(全9回)トレンドラインについてわかりやすく解説していきます。 ご投資にあたっての注意点
-
2024/12/28 09:00
【オピニオン】金利上局面で企業はいかにすべきか?
※画像はイメージです。 2024年最後の日銀金融政策決定会合では追加利上げが見送られました。ただ、市場参加者のほとんどが、経済ファンダメンタルズに照らして追加利上げは時間の問題と見ています。2025年は、複数回にわたり政策金利が引き上げられ、Rf(リスクフリーレート(長期金利))も大幅な上昇の可能性は低いものの、上昇圧力を受けやすくなると考えられます。今回は、金利上昇局面において求められる企業行動について考察してみます。 企業部門全体(図上)では、既に2023年度よりRf、WACC(加重平均資本コスト)ともに急上昇といってよい状況で、ROIC(投下資本利益率)とのスプレッドは縮小しています。ただ、2024~25年度にかけ利益拡大が予想されており、ROICとWACCのスプレッドは維持できる公算が大きいでしょう。 次に業種ごとに、Rfが1%から、(かなり極端な仮定ですが)2%に上昇した際に想定されるWACCの変化と、予想ROIC(2025年度)を見てみることにしましょう(図下)。まず製造業では、多くの業種でWACCを上回るROICを達成できていません。輸出比率の高い製造業は業績の変動性が高く、現時点では業績面で苦戦しておりこのような結果になりました。また、これらの業種では自己資本の厚い企業が多く、そもそもWACCの水準が相対的に高くなっており、金利上昇がその傾向に拍車をかける可能性が高そうです。 (注1)株式益利回りは、ラッセル野村Large Cap、ROIC(投下資本利益率)と WACC(加重平均資本コスト)はラッセル野村Large Cap(除く金融)を母集団。ROICは、NOPAT/IC。ただし、NOPATは、営業利益×(1-税率)。ICは、自己資本+有利子負債。WACCは、D/(D+E)×Rf×(1-t)+E/(D+E)×(Rf+Rp)。ただし、Dは有利子負債、Eは自己資本、tは税率、Rfはリスクフリーレート(長期金利)で、10年債パーイールドの各年度ごとの期中平均。Rpはイールドスプレッドとした。(注2)株式益利回りとWACC、リスクフリーレートの直近値は2024年度(2024年12月12日時点)。ROICの直近値は2024年12月12日時点の野村證券市場戦略リサーチ部による2025年度予想。(注3)右図の灰色の矢印は、Rfが現状の1%(起点)から2%に上昇(終点)した場合に想定されるWACCの変化。赤い●は、2025年度予想ROIC。ソフトウエアの予想ROICは軸の上限の9%を超える水準が予想されている。WACCは、D/(D+E)×Rf×(1-t)+E/(D+E)×(Rf+β×Rpm)。Rpmは市場のRp。(出所)野村證券市場戦略リサーチ部などより野村證券投資情報部作成 一方、内需・非製造業の業種では現状のRf1%ではROICがWACCを上回る業種が多いものの、Rf2%となると心もとない業種が複数存在します。もちろん、Rfが上昇すれば、多くの事業や資産でリターンが上昇することが見込まれ、ROICも上昇すると考えられます。ただ、金利上昇に追随してROICを引き上げることができる企業(業種)とそうでない企業(業種)との格差が顕在化することも予想されます。 まとめると、30数年ぶりの金利上昇局面で企業には、事業ポートフォリオを常に適正化することなどで、①収益性(ROIC)を向上させ、②業績の安定性を向上させ(≒Rp(リスクプレミアム)の低下)、さらに③適切な資本構成を実現する(≒WACCの低下)、などの施策が求められます。 2023年3月の東証による、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請から1年半強が経過し、要請の考え方は大半の企業に浸透したとみられますが、残念ながら結果にはつながっていません。2025年度は、東証要請に対して、金利上昇圧力が企業の背中を押す展開が予想されます。 ご投資にあたっての注意点
-
2024/12/28 07:00
【来週の予定】トランプ政権と日米金融政策が左右する2025年
来週の注目点:トランプ次期政権の動向、日米のインフレ・賃金・景気 欧米など多くの国・地域では年末年始を挟んだ休暇シーズン入りし、多くの金融市場では2024年12月31日(火)~2025年1月1日(水)が休場となります。一方、日本では、12月30日(月)が大納会、1月6日(月)が大発会と、長期間の休場となります。国内が休場の間に海外市場が大きく動き、6日(月)の休場明けに国内市場が影響を受ける可能性には注意が必要です。 25年年明けの相場を動かす要因の一つは、25年1月に発足する米国トランプ次期政権の動向です。1月6日(月)の上下両院合同会議において次期米大統領として正式決定され、20日(月)に大統領就任式が行われます。政権移行期の最中にトランプ次期大統領が発信する経済政策などを巡る情報に注意が必要です。 もう一つの要因は、日米の金融政策です。FRBは24年12月FOMCで政策金利を0.25%ポイント引き下げましたが、パウエルFRB議長は会見で、今後の利下げペースの鈍化を示唆するなどタカ派的(インフレ抑制重視)な姿勢を示しました。1月8日(水)公表の12月FOMC議事要旨では、インフレ・景気に関する議論に注目です。また、1月3日(金)の12月ISM製造業景気指数、7日(火)の12月ISMサービス業景気指数、10日(金)の12月雇用統計、1月ミシガン大学消費者マインド速報値などの経済指標にも注目です。 日本では、24年12月会合で利上げを見送った日銀の次なる動向が焦点となります。植田総裁は利上げ見送りの理由として挙げていた賃上げ動向について、直近の講演で、経済データと共に支店長会議で集められた地方の動向も参考にすると述べました。1月9日(木)の日銀支店長会議、11月毎月勤労統計に注目です。 政府が景気支援姿勢を強めている中国では、不動産市況の回復が大都市など一部に限定され、家電などの買い替え支援策の効果に息切れが見られるなど、景気の回復力が弱い状態が続いています。12月30日(月)の12月政府版PMIでは、足元の景況感について確認できます。 (野村證券投資情報部 坪川 一浩) (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2024年12月27日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(注2)画像はイメージです。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点