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02/22 09:00
【オピニオン】「関税引き上げは米ドル高」は本当か
※画像はイメージです。 2025年2月19日、FRBは1月28-29日に開催されたFOMCの議事要旨を公開しました。この中で、参加者全員が政策金利の据え置きが適切だと認識していたことが示されました。一部の参加者は、トランプ政権の通商政策や移民政策がインフレ抑制のプロセスを妨げる可能性があると指摘しています。 また、2月7日に発表された25年2月のミシガン大学消費者期待インフレ率(速報値)は、5-10年先は1月確報値の3.2%から3.3%に、1年先については同様に3.3%から4.3%へ上昇しました。この要因の一つとしてトランプ政権の関税政策の影響を挙げています。 1月20日にトランプ政権が発足して1ヶ月が経過しました。事前に予想されていたとはいえ、関税を巡るトランプ大統領の政策を受け、市場のボラティリティー(変動性)は高い状況となっています。貿易相手国に対する関税率の引き上げが実際にどの程度実施されるか、それがひいては米国の消費者、企業にどの程度のインパクトを及ぼすか不透明感が強いためです。 様々な試算が示している通り、例えば中国に対して60%の追加関税、その他の国に対して10%の関税を賦課した場合、最終的には米国の消費者等の購買価格が押し上がると想定されます。下図が示す通り、米国の輸入価格に対する為替レート(米ドル)と関税の影響を比較すると、関税の転嫁率は90%以上と試算されています。 (注)1.0が完全転嫁を示す。NBERは「全米経済研究所」で民間の研究組織。(出所)ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナル・インク(NSI)より野村證券投資情報部作成 早くも26年11月の中間選挙に向けて、政局は動いています。24年の大統領選挙の主要な争点の一つは高インフレと所得格差の拡大でした。米国民のインフレ懸念が再燃するようであれば、トランプ大統領、共和党に強い逆風が吹くことになります。企業収益の悪化という形で株式市場にも下押し圧力がかかることが想定されます。 一般的には「関税引き上げは米ドル高」と認識され、足元の市場の反応もその様に見られます。しかし、果たしてそうでしょうか。期待インフレ率、あるいは実際のインフレ率の加速による長期金利等の上昇は必ずしも米ドル高とはならないでしょう。25年末に期限を迎えるトランプ減税の延長も財政赤字拡大要因となり、長期金利等を押し上げることが懸念されます。 その際、史上最高値圏にある米国株式市場も調整を余儀なくされることも予想されます。 (注)直近値は2025年1月(コアPCEは24年12月)。「コア」は変動の激しい食料品、エネルギーを除いたもの、スーパーコアは更に住居費を除いたもの。PCEは個人消費支出。野村予想は25年2月19日現在のノムラ・セキュリティーズ・インターナショナル・インク(NSI)による。(出所)ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナル・インク(NSI)より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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02/22 07:00
【来週の予定】日銀利上げ期待で金利上昇、主要経済指標に市場の視線
来週の注目点:米住宅指標と個人消費、国内長期金利、ドイツ総選挙 米国のS&P500株価指数は2025年入り以降、過去最高値圏ながらも、横ばいと方向感が見え難い展開を続けています。その背景として強弱錯綜する経済指標やトランプ政権の政策不透明感が挙げられます。FRB高官の多くは、足元でインフレが粘着的な動きを示す中、景気が堅調であることから、トランプ政権の政策の影響を見極める時間が必要として、利下げに慎重な姿勢を示しています。 米国では25日(火)に消費者信頼感指数、26日(水)に1月新築住宅販売件数、27日(木)に1月耐久財受注、28日(金)に1月個人消費支出・所得統計など重要な指標の発表が予定されています。先週18日(火)に発表された1月NAHB住宅市場指数の6ヶ月先の販売見通し指数は新型コロナ禍以来最大の低下幅を記録し、住宅需要の悪化を示唆しました。このため、新築住宅販売の動向は従来以上に市場の関心を集める可能性があります。また、金融政策の判断材料としては、個人消費支出(PCE)とPCEデフレーターの結果が注目されます。 日本では10年国債利回りが2019年以来、約15年振りの水準まで上昇しています。背景には日銀に対する利上げ期待があると見られているため、28日(金)の2月東京都区部消費者物価指数、1月鉱工業生産の結果が注目されます。12月の鉱工業生産は前月比+0.3%、同時に公表された1月の生産計画は同+1.0%でしたが、経済産業省は過去の計画と実績の乖離幅を勘案すると同-2.1%となるとの試算を示しました。このため、市場では下振れリスクに対する警戒感が高いと想定されます。 ドイツでは23日(日)に連邦議会(下院)選挙が行われます。支持率では野党第1党のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)が首位で、これに極右政党の「ドイツのための選択肢(AfD)」が続いています。現与党の社会民主党(SPD)は苦戦しており、政権交代の実現が広く予想されていますが、極右政党の台頭を抑えるため、選挙後はCDU/CSUとSPDの大連立となる可能性が高いと見られます。 (野村證券投資情報部 尾畑 秀一) (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2025年2月21日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(注2)画像はイメージです。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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02/21 16:50
【野村の夕解説】植田総裁の金利上昇けん制発言受け日経平均は反発(2/21)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 本日寄り付き前に1月の全国消費者物価指数が発表されました。生鮮食品を除くコアCPIが前年比で2023年6月以来の高水準となり市場では日銀による追加利上げの思惑が強まり、日本の10年債利回りの上昇(価格は下落)とともに、寄り付き後の日経平均株価は下げ幅を広げる展開となりました。 午前中に日銀の植田総裁が、長期金利が急激に上昇するような状況では「機動的に国債買い入れの増額をする」と発言をしたと報じられ、市場では金利上昇へのけん制だと受け止められました。日本の10年債利回りは一時1.405%前後に低下(価格は上昇)し、外国為替市場では朝9時台の1米ドル=149.50円前後の水準から一時150.70円前後となり、円安進行を受けて株価は上げに転じました。その後は株価の更なる上昇への材料には欠け、大引けは前日比98円高の38,776円と3営業日ぶりの反発となりました。 ランキング 本日のチャート (注) データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 24日(月)は日本株市場は休場です。26日(水)は米国大手テクノロジー企業エヌビディアの2024年11月ー2025年1月期決算が発表され、本格出荷が始まった次世代AI半導体「ブラックウェル」の販売動向に注目が集まります。 (野村證券投資情報部 清水 奎花) ご投資にあたっての注意点
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02/21 12:00
【今週のチャート分析】日経平均株価、一時200日線を下回る、これまでと同様に反発となるか
※画像はイメージです。 ※2025年2月20日(木)引け後の情報に基づき作成しています。 日経平均株価、過熱感を示すテクニカル指標は1月末以来の低水準 今週の日経平均株価は、日銀の早期利上げ観測を受けた国内の長期金利上昇と、トランプ政権の関税政策への警戒から、上値の重い展開となりました。また、為替相場では円高・ドル安が進展し、株式相場の重荷となりました。 チャート面からこれまでの動きを振り返ってみましょう(図1)。日経平均株価は、中国の生成AI開発に関する報道や米トランプ関税への懸念から2月3日に38,401円まで下落しました。 その後は一旦値を戻したものの再び下落し、2月20日には一時200日移動平均線(2月20日:38,673円)を割り込み、38,468円まで下落しました。仮にこの先も下げが続く場合は、1月17日安値(38,055円)や、昨年9月以降の保ち合い下限(37,700~800円前後)の水準がさらなる下値メドとして挙げられます。 一方で今年に入ってから200日線を一旦下回った後は、反発となっており、今回も同様の動きとなるか注目されます。また、相場の過熱感を示すRSI(2月20日:38.5%)は、1月28日以来の低水準となっており、この先、底入れ反発となるか注目されます。その場合、75日線(同:39,064円)や25日線(同:39,129円)を回復し、2月13日高値(39,581円)を奪回できるか注目されます。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注1)直近値は2025年2月20日時点。(注2)日柄は両端を含む。 (注3)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 金先物、12ヶ月線を下支えとして上昇基調継続へ 金価格の上昇が続いています。トランプ米大統領が各国に対して貿易問題をはじめとして様々な点で強硬姿勢を示しており、これら政治経済面の不確実性の高まりが金価格の上昇につながっています。そこで今回は、NY金先物価格の長期チャート(2020年~)を基に先行きについて考えてみましょう(図2)。 金先物価格は、2020年に2011年高値(1,891ドル/トロイオンス)を突破後も、2,000~2,100ドル/トロイオンスの水準が上値抵抗となってきました。しかし、昨年春にこれらの水準を上回ることに成功しました。今年の2月には、心理的な節目である3,000ドル/トロイオンスに近づいており、今後この水準を突破できるかが注目されています。 2001年から2011年にかけての長期上昇局面では、2008年の世界金融危機時を除けば、12ヶ月移動平均線が下値支持線として機能し、安値から7倍以上の上昇が見られました。 しかし、今年の2月高値は、2022年11月の安値から計算すると1.8倍の上昇にとどまっています。仮に前述の長期上昇局面の後半である2008年安値から11年高値までの上昇倍率(2.7倍)を今回の本格上昇の起点(2022年11月安値)に当てはめて試算すれば、4,401ドル/トロイオンスとなります。 この先、チャート上のフシ等で一時的に上値を抑えられる可能性は考えられますが、上向きの12ヶ月移動平均線(2月18日:2,561ドル/トロイオンス)が下支えとなり、今後も更なる上昇となることが期待されます。 (注1)直近値は2025年2月18日。(注2)トレンドライン等には主観が入っておりますのでご留意ください。 (注3)日柄は両端を含む。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 岩本 竜太郎) 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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02/21 08:30
【野村の朝解説】米国株市場では主要3指数が下落(2/21)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 20日の米国株式市場では、主要3指数が揃って下落しました。小売総合大手のウォルマートの2026年1月期通期調整後1株当たり利益見通しが、市場予想を下回ったことで、不透明な経済環境が業績の重石となっているとの見方が高まったようです。米国債市場ではベッセント財務長官が米国債の発行で長期債の割合を増やす措置は「まだ先のことだ」と発言したことが好感され、長期金利が低下しました。一方で、植田日銀総裁が長期金利上昇に対して警戒感を示さなかったことから、日米金利差は一段と縮小するとの見方が高まり、米ドル円相場は1米ドル=149円台まで円高が進行しています。 相場の注目点 年明け以降、日本の10年国債利回りは急速なペースで上昇し、足元では1.4%台半ばと2009年以来、約15年振りの水準で推移しています。昨日、植田日銀総裁は石破首相と会談後、長期金利の上昇は話題にしていないと発言したことから、市場では政府・日銀ともに長期金利の上昇をさほど警戒していないとの見方が高まりました。一方で、米国では期間短めの債務で財政赤字を補うイエレン前長官の発行戦略を批判していたベッセント財務長官が、長期債の発行増額に慎重な姿勢を示したことから、市場の需給悪化懸念が後退しています。国債市場を巡る日米間の温度差が為替市場で円高・米ドル安材料視されやすい状況が続いています。 本日のイベント 日本では1月のCPIが発表されます。予想を上振れた場合、日銀利上げ観測台頭から円高材料視される可能性があります。また、週末にはドイツで総選挙が行われます。 (野村證券 投資情報部 尾畑 秀一) (注)データは日本時間2025年2月21日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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02/20 16:28
【野村の夕解説】国内金利上昇で円高が進む中、日経平均続落 486円安(2/20)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 19日に、米国で1月FOMCの議事要旨が公表され、FRBが量的引き締めの一時停止または減速を検討していることが明らかになり、米国長期金利は低下しました。一方で、日銀の高田審議委員は19日の講演で、金融政策に関して「一段のギアシフトを進める局面」と発言しています。日銀の追加利上げ前倒しへの警戒感は根強く、本日の国内債券市場で新発10年物国債利回りは1.440%まで上昇しました。また、ウクライナ情勢を巡っては、米国とロシアはウクライナを抜きに停戦交渉を進めるほか、欧州各国は緊急首脳会合を開くも平和維持部隊の派遣で足並みが揃わず、地政学リスクが高まりました。このような中、為替市場では円高米ドル安が進み、15:30時点の米ドル/円は150円14銭となりました。本日の日経平均株価は円高進行とともに下げ幅を広げる展開となり、一時前日比695円安となる場面もありました。13時過ぎに石破首相と植田日銀総裁が会談を行ったことが伝わり、下げ止まる場面はあったものの、円高進行が続く中で戻りは鈍く、終値は前日比486円安の38,678円となりました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注) データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 本日、米国でシカゴ連銀のグールズビー総裁やセントルイス連銀のムサレム総裁が講演を行います。その他、週間新規失業保険申請件数の発表もあり、FRBの政策運営に関連するイベントが注目されます。 (野村證券投資情報部 秋山 渉) ご投資にあたっての注意点
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02/20 08:16
【野村の朝解説】S&P500指数が連日で史上最高値を更新(2/20)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 19日の米国株式市場では主要3指数がそろって上昇し、S&P500指数は連日で史上最高値を更新しました。トランプ大統領が前日、自動車等の輸入に対して25%の関税を賦課する可能性を示したことなどが嫌気され、朝方の米国株は上値の重い展開となりました。しかし、午後に公表された1月のFOMC議事要旨で、債務上限問題が解決するまでFRBが米国債などの保有資産を圧縮する量的引き締め(QT)の一時停止または減速させることを検討したことが示されると、方針転換の検討がハト派的と捉えられた模様で、米10年国債利回りが低下し、株価を支えました。 相場の注目点 トランプ大統領が就任してから本日でちょうど1ヶ月になります。この1ヶ月間、国際政治や金融市場はトランプ一色であったと言えるのではないでしょうか。東京市場では今のところ、自動車関税や相互関税の導入といった懸念材料ばかりが目立ち、ロシアのウクライナ侵攻を巡る停戦交渉の本格化というポジティブな点は見過ごされているように思います。一方、ウクライナ情勢の安定化を見越して、欧州株は史上最高値を更新するなど好調に推移しています。世界的に投資家心理が上向いてくれば、米欧株と比べて出遅れている日本株にも投資資金が流入してくる展開が期待できると考えています。 本日は米国でシカゴ連銀とセントルイス連銀の総裁の講演が予定されています。両総裁は2025年のFOMCで投票権を有していることから、トランプ通商政策が米国のインフレに与える影響や今後の金融政策に関する発言に注目です。また、米国株式市場の寄り付き前に発表される小売大手ウォルマートの24年11月-25年1月期決算では、実績や見通しの数字に加え、個人消費の現状・見通しに関する会社側のコメントなどがポイントになるとみています。 (野村證券 投資情報部 岡本 佳佑) (注)データは日本時間2025年2月20日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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02/19 16:49
【野村の夕解説】日銀高田委員のタカ派発言で日経平均株価は上値重く(2/19)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 18日、トランプ米大統領は自動車や半導体、医薬品に対する輸入関税の税率について25%前後と発言しました。本日寄り前に発表された日本の12月機械受注統計は前月比-1.2%と、3ヶ月ぶりに減少し、2025年1-3月期の見通しは前四半期比-2.3%と、受注の一時的な鈍化を示す結果となりました。朝方、金融政策に対してタカ派的とされる高田審議委員の発言への警戒感から長期金利が上昇しました。これらの材料を消化し、日経平均株価は前日比プラス圏で推移する場面もありましたが、10:30からの講演では「一段のギアシフトを進める局面」と追加利上げの前倒しが示唆され、前日比-275円まで急落しました。その後、高田審議委員のタカ派発言はある程度予想されており、市場への織り込みが進むと日経平均株価は緩やかにマイナス幅を縮小させ、終値は前日比105円安の39,164円となりました。個別銘柄では、英投資会社による5%超の株式大量保有が明らかになった資生堂が前日比+13.04%となるなど、上昇が目立ちました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注) データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 本日、米国では1月のFOMC議事要旨が公表されます。トランプ政権の政策に対して、どのような議論がなされたか、注目が集まります。 (野村證券投資情報部 秋山 渉) ご投資にあたっての注意点
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02/19 08:24
【野村の朝解説】FOMC議事要旨を控え、米国株は小動き(2/19)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 18日の米国株式市場でNYダウとS&P500は反発、ナスダック総合は続伸しました。米10年国債利回りが4.55%台に上昇したことに加え、2月のNAHB住宅市場指数が市場予想以上に悪化したことも重石となり、NYダウは前日終値比マイナス圏で上値の重い推移が続きました。しかし、終盤にかけては買い戻しが強まり、小幅にプラス圏を回復する展開となりました。S&P500は1月23日以来約1ヶ月ぶりに史上最高値を更新しました。ドル円は152円前後で推移しています。 相場の注目点 2025年に入り、連日史上最高値を更新している欧州株の強さが目を引く一方、米国株はやや精彩を欠く状況が続いています。関税引き上げによるインフレ再燃懸念と、FRBが利下げに慎重姿勢になっていることが相場の上値を重くしているとみられます。先週は1月の米消費者物価(CPI)の伸びが加速しインフレ圧力の根強さが示された一方、同月の米小売売上高が前月比-0.9%と市場予想(同-0.2%)を大幅に下回り、利下げ期待が再燃していましたが、貿易摩擦やインフレ再加速への懸念は根強く、現在、市場は年内に少なくとも1回以上の利下げが行われる可能性を8割程度織り込んでいます。本日は1月28-29日開催分のFOMC議事要旨が公表されます。政策調整を急がない姿勢が改めて確認されると予想され、利下げ観測が一段と後退する可能性が注目されます。 日本では本日、高田日銀審議員の講演が予定されています。18日は日経平均が一時300円超上昇するなど日本株は底堅さを保っているものの、日銀の追加利上げ期待を背景とした円高と金利上昇は株価の重石となっています。田村審議員に続いてタカ派的な意向の強まりが示される可能性があり、円高圧力継続に対する警戒感が高まりそうです。 (野村證券 投資情報部 引網 喬子) (注)データは日本時間2025年2月19日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点