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【注目トピック】日本企業のV字回復は実現可能か 業種によって明暗が分かれると見る

※画像はイメージです。 日本:2024年10-12月期決算プレビュー 2024年10-12月期決算発表が始まる 2024年10-12月期決算の発表が1月下旬より本格化します。2025年1月6日時点での、ラッセル野村Large Cap(除く金融)のコンセンサス予想は、2.2%増収(前年同期比)、同3.8%営業減益となっています。2024年7-9月期に比較して、増収率、営業増益率ともに減速が予想されています。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注1)ラッセル野村Large Cap(除く金融)の四半期・増収率および営業増益率、経常増益率の推移。(注2)2024年7-9月期までは実績値、2024年10-12月期以降は、2025年1月6日時点のQUICKコンセンサス予想が存在する企業のみで集計している。(注3)ソフトバンクグループを集計から除外している。2024年1-3月期以降はさらに公益セクターに属する企業を除外している。(出所)QUICKなどより野村證券投資情報部作成 2024年度は期初段階では、中国での在庫調整の進展などにより、生産財や資本財の回復が期待されていましたが、結果的には不発に終わり年度を通じて増収率、増益率ともにスローダウンを余儀なくされました。 四半期ベースの企業業績は、余程の事業環境の急変が無い限り、事前の市場コンセンサスを数%ポイント上回って着地しますが、それを考慮しても、今回の2024年10-12月期決算を通じて2024年度期初以来の減速感を払しょくすることは難しいでしょう。 一方、スタートしたばかりの2025年1-3月期は、同2.4%増収、同18.7%営業増益が見込まれています。 2025年1-3月期のV字回復の可能性 トップダウンの観点から、2025年1-3月期のV字型回復の実現可能性についてみてみましょう。 企業業績に非常に大きな影響力をもつ鉱工業生産は2023年7-9月期以降1年以上にわたりマイナスとなり、業績押下げ要因となりました。為替も、日米の金利差縮小が意識されるようになり、2023年度のような一方的な円安米ドル高の進展とはなりませんでした。 2025年1-3月期は、自動車を中心に生産活動の活発化が見込まれ、久しぶりに大幅な増益が期待できそうです。業績に限らず、減速局面での将来のV字回復予想は蓋然性が低いと捉えられがちですが、今回は既に前年同期の水準が1年超にわたって低いことから、生産増を理由にした業績回復のハードルは低そうです。 (注1)ラッセル野村Large Cap(除く金融)の営業増益率の四半期の推移。2024年7-9月期までは実績値、2024年10-12月期以降はトップダウン(マクロ前提)による試算値。2024年10-12月期以降の鉱工業生産は2025年1月20日時点の野村證券経済調査部による予想、2025年1-3月期以降の為替は150円/米ドル、その他の要因は考慮していない。(注2)積み上げグラフは、営業増益率を、生産要因、為替要因、残差(その他)に分解したもの。1%の生産増加で4%、1円/米ドルの円安で0.4%弱、営業利益が増加すると仮定している。残差(その他)には、マージンの改善、イレギュラーなコストの発生に伴う利益変動、などの要因が含まれる。(出所)野村證券投資情報部作成 製造業で苦戦する業種も 2024年10-12月期の業種別にみた営業利益増減益寄与額では、生産活動の停滞を反映して輸出型の製造業のほとんどが減益になると見られています。一方、内需・サービス型の業種で大幅な減益を見込む業種はほとんどありません。また、ここ数四半期は内需・サービス型の業種で、コスト増分の転嫁が順調に進んでいることから、2024年10-12月期業績は内需・サービス型業種がけん引する可能性が高いでしょう。 (注)ラッセル野村Large Cap(除く金融)の営業利益の、四半期・業種別増減益寄与額の推移。2025年1月6日時点の市場コンセンサス予想で、コンセンサス予想が存在している企業のみ集計している。(出所)野村證券投資情報部作成 一方、2025年1-3月期は、鉄鋼・非鉄を除く輸出型製造業が増益に転換し、内需・サービス型業種でも引き続き増益が見込まれています。久しぶりに、多くの業種が全体の業績を押し上げる構図が期待されます。 2025年1-3月期は業種選別が重要に 2024年12月末に経済産業省より発表された、業種別の鉱工業予測指数に基づけば、2025年1月は輸送機械の大幅な生産増が見込まれています。型式認証不正問題で停滞していた自動車生産は2025年に入り本格的な回復の可能性が高まっています。 (注1)積み上げグラフは2024年12月時点での、2024年12月(灰色)および2025年1月(赤色)の業種別生産予測指数(前月比)。(注2)折れ線グラフは、2024年12月および2025年1月の予測指数の合計。合計値の低い順に表示している。(出所)経済産業省より野村證券投資情報部作成 また、予測では電子部品・デバイスや化学でも生産増が見込まれています。これらの業種では、情報機器や工作機械など資本財の不振をうけて、在庫調整を粘り強く進めてきました。2024年末の段階で、出荷・在庫のバランスは正常な状態に近づいており、生産活動回復の時期を模索する局面に近づいていると考えられます。 一方、素材系の業種では生産回復の足取りは鈍そうです。中国のデフレ輸出の影響が大きい業種でもあり、警戒が必要でしょう。2025年1-3月期は生産活動の回復により全体としては久しぶりに大きな増益率が達成される可能性が高まっていますが、業種ごとの景況感格差はかなり大きくなりそうです。 (野村證券投資情報部 伊藤 高志) ご投資にあたっての注意点

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